アクティビティー

「学校でのLGBTへの新たなとりくみ?~文部科学省通達をうけて当事者と考える」開催

性の健康と性教育に関心のある方々などを対象に、セミナーが開催され、24名の方が参加しました。報告と参加者の感想文をお届けします。

■日 時
2015年11月3日(火・祝)13:00-17:30

■会 場
日本性教育協会セミナールーム

■プログラム
◎講義
「文部科学省の通達のポイント」池上千寿子(ぷれいす東京)
「性的マイノリティが直面する困難と教育の課題」

  • 若者の立場から  渡辺大輔(埼玉大学)
  • 親の立場から   小林りょう子(LGBTの家族と友人をつなぐ会)

◎グループワーク
◎まとめと資料の活用法など

■参加者
24名

■主 催 特定非営利活動法人ぷれいす東京
■協 賛 一般財団法人日本児童教育振興財団内 日本性教育協会(JASE)

東京性教育研修セミナー報告(丸井 淑美)

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11/3( 火・祝日)に東京性教育研修セミナー「学校でのLGBTへの新たなとりくみ?~文部科学省通達をうけて当事者と考える~」が開催され、三重県、静岡県など全国から教育関係者、医療関係者、現役大学生、NPO関係者、メディア関係者など、当事者を含む24名のみなさまにご参加いただきました。前半は、お二人の講師をお招きし、若者の立場から、家族の立場から、それぞれの現状や具体的な課題についてお話いただきました。埼玉大学教員の渡辺大輔さんからは、学校教育における「性の多様性」の位置づけや中高生を対象とした授業実践についてご紹介があり、「LGBTの家族と友人をつなぐ会」の小林りょう子さんからは、当事者であるお子さんのカミングアウトのエピソード、学校における心ない対応や未だ社会に存在するLGBTへの偏見や差別の事例等をお話しいただきました。後半のグループワークでは、参加者が4つのグループに分かれて、学校における性的マイノリティを取り巻く課題を挙げ、次にそれぞれの立場で何ができるかについて話し合いました。年齢や背景が異なる初対面の参加者によるグループワークでしたので、ファシリテーターの私としては内心とても緊張していたのですが、そんな心配はどこ吹く風、どの班も時間が足りないと感じるほどの盛り上がりをみせていました。各班からは「当事者の教師がカミングアウト出来ない学校で子どもがカミングアウト出来ないのは当然」「職場に帰ったら一人ずつ仲間を増やしていきたい」などの報告がありました。セミナー全体をとおして、いろいろな職種や立場の方々との交流から新たな発想や「これならできるかも」といった力が生まれてくることを実感したひとときでした。

参加者感想文

あっという間の4時間25分(澤井 純子)

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「こんなセミナーがあるんですけど 参加しませんか。」という声掛けに、「ぜひ」と言い参加した。参加者は大学生~70歳代の多種多様な職種とそれぞれ違った環境や価値観を持った人達。講義で課題と保護者からの声を聴いた。驚いた。母は強い、否、親は子供を愛しているからこそすべてを受け入れる事ができると強く感じた。グループワークで多くの人と交流。なんと同郷の人も。立場は違っていても、それぞれの人を認め、愛し、共に生きている人、若者を育てている人、色々な知識を得、成長し社会貢献をしている前向きな人々に出会い、多くの事を感じ考える事ができた。この出会いは今後の私に力を貸してくれると思った。あの声掛けがなければ、性的マイノリティーについて考えることはなかっただろう。それぞれの価値観や生き方を認め合えることが、何も考えずスムーズにできる日がきっと来ると思えた。そのために何が出来るかを考え、行動する力を身に付けていきたい。感謝と充実の4時間25分であった。

教員を養成する立場から(井出 智博/静岡大学教育学部准教授)

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今年の4月に文科省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知が学校現場に出されました。私は,教育学部で教員をしているため,学校の先生方を対象にした研修をさせて頂く機会があります。その際,「通知」が出たことを知っているかを尋ねると,ほとんど手が上がりませんでした。「LGBT」という言葉を知っているか,ということを尋ねると,ちらほら手が上がり,説明をすると「あー,知ってる」というような反応が返っ
てきます。どのようにして教員や学生たちにこのテーマを伝えたらいいだろう,ということに迷いを感じていました。そうした中で受講させて頂いた研修では多くの学びがありましたが,何よりも身近に「当事者」と呼ばれる人がいるのだという意識を持ち,直接話をし,知り合うことが大切だと感じました。特別なことをするというより,当たり前にその人が必要としていることに敏感であろう,ということを伝えていければいいなと思いました。

同時に,私自身,まだまだよく理解できていないことがたくさんある,ということにも気付かされました。貴重な研修の機会を頂き,感謝いたします。ありがとうございました。

豊作!(あっきー)

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いつもながら「性」の奥深さ、その多様性には、大いに驚かされ混乱させられた。多くの人から話を聴いて、ああ~そうだ~と納得すればするほど、新着情報や多様な性を生きる人々、またその周囲の人々の想いや声を聴けば聞くほど、どんどんわからなくなった。この混乱の深さが、自分がまた性について学べたという証拠。自分がいかに無知であるかということを知れた証拠。そしてもっと学ばなければとまた顔を上げる。この学び続けようとする姿勢こそ、多様性を感じら
れている証拠でもあるように思う。

グループメンバーなど多くの方々との出会い、共感、励まし、新たな情報共有など、疲れるのにエネルギーが充電される。不思議と来た時よりも元気になった。講師の先生方とも繋がれた。6年ぶりに JASEの皆さんにも会えた。あっという間の数時間。豊作の数時間でした。本当にありがとうございました。また次もぜひ参加したーい!

母であり、子どもと接する立場であり、一人の人間として(はにちゃん)

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私は、つい最近の文科省通達の文章でLGBTという言葉を知りました。ふりかえってみるに、ゲイ、レズビアン、性同一性障害という言葉を聞いたのはテレビです。つまり、テレビで取り上げられている情報しかありません。テレビでは、キャラ的に性をとらえているようで正直、違和感がありました。

セミナーに参加してすぐにテレビで取り上げられている情報だけではないことがわかりました。実際に話を聞いて性同一性障害の人でも多様で、その人らしい性をいきていることに初めて気が付きました。

そこで、ある記憶がよみがえります。
セミナーに参加している途中、思い出していたのは、中学生の同級生のことです。彼女は、いつも「本当は、女じゃなくて男にうまれたかった」と言っていました。スカートを嫌い、スカートの下にジャージを隠しながらはき、少しがに股で歩いていました。

セミナーで、その人らしい性を生きている人を前にして同級生の彼女は、確かに男性に生まれたかったと思いますが、世間一般に考えられている男性イメージ(体ががっしりとしていて、少し乱暴な言葉使いをして、がに股で歩くなど)にとらわれすぎていたのかもしれないと思いました。無理をしていたんじゃないかと思いました。

もし、中学生の彼女がそのときの思いを話す場があればまた違っていて、肩を張らずに違った感じになっていたのかもしれません。その頃の私は、言いたい事をはっきりいう責任感の強い彼女がうらやましくそこには、友だちとして、性別は関係ありません。でも、中学生の多感な時期に話す場があればと思いました。

今、私は縁あって子どもたちのそばで仕事をしています。性には、多様性があり、押し付けでなく自分らしくいきることができるように子どもたちに寄り添っていきます。

参加者アンケート自由記述より

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  • 明日からできそうなアイデアをたくさんいただきとても参考になりました。どうもありがとうございました。
  • とても充実した時間でした。本当にありがとうございました。やはり、多様性を感じられる本当に有意義な時間で、情報視点ともたくさん頂きおもしろかったです。
  • 研究者からのマクロ視点と、LGBTの保護者からのミクロな視点の講演がきけて、とても有意義でした。LGBTとひとくくりになってますが、実際はその中でも互いに知らないことが多いことに気付くことができました。
  • 性的マイノリティーについていろんな人たちと話すことができてよかったです。健康なからだの中にも人として自分らしくいきる、無理なくすごせることが一番ということがあります。これからもセミナーに参加して心を育てていきたいと思います。職場の共通理解の一歩にしていきたいです。
  • 充実した会でした。とってもすてきな時間でした。「教える」ではなく「伝える、わかち合う」の姿勢を大切にしていきたいなあと思いました。また学びたいです。ありがとうございました。
  • 大変勉強になりました。いくら勉強しても、十分ということのない内容だと思います。正確に言うと勉強というより自分を整理したり、ブラッシュアップしたりする機会でした。是非、大学(教員養成課程)で、生徒指導などを担当する教員むけの研修などをやって下さい。
  • いろんな教員の方の現場での活動、学校現場で何があればよりセクシュアルマイノリティに関する教育実践がやりやすくなるのか等、あらためてうかがう機会があればありがたいです。

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