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ぷれいすトークSpecial「マイナンバー制度と個人情報」開催

「マイナンバー制度と個人情報
〜性別や健康に関する個人情報、障害者控除などの情報はどう扱われるのか?」

2015年10月からマイナンバー(個人番号)の通知が始まり、2016年1月からは、社会保障、税、災害対策の行政手続でマイナンバーが必要になると報道されています。しかし、個人の視点で、何がどう変わるのか、何が課題なのかなど、実態はあまり見えてきません。
そこで、LGBT支援法律家ネットワーク有志との共催で専門家をお招きして学習会を開催しました。前半1時間は講義をしていただき、後半は参加者からの多数の質問にお答えいただき、会場の理解を深めるときとなりました。司会は、中川重徳弁護士(LGBT支援法律家ネットワーク)と
生島の2人でつとめました。(生島)

■日 時  2015年11月16日(月)18:30~20:30

■会 場 新宿区戸塚地域センター 7F 多目的ホール

■講 師 清水 勉氏(日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員)

■参加者 46名

■主 催 特定非営利活動法人ぷれいす東京

■共 催 LGBT支援法律家ネットワーク有志

「マイナンバー制度と個人情報」中川 重徳(弁護士/LGBT支援法律家ネットワーク)

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11月16日、マイナンバーについての学習会をしました。講師は日本弁護士連合会で個人情報保護の問題に長く取り組んできた清水勉弁護士です。
マイナンバーは、日本国内の市町村に住民登録しているすべての人(外国人も)に割り振られる12桁の番号。既に番号を記載した「通知カード」の配達が始まっており、任意で「個人番号カード」(顔写真付き)の申請ができるとされています。税金や社会保障、災害対策で効率的に情報を管
理するための制度とされ、たとえば、会社は、税務署・市区町村に提出する源泉徴収票や健康保険組合あての資格取得届等に、今後は、従業員から提供を受けた個人番号を記載することになります。そのため、会社に告げずに医療機関を受診し後に確定申告をしている人の場合、会社に番号
を提供することで、税務署が把握している医療控除の情報が会社に伝わることは無いのかという不安がよく聞かれます。
学習会では、清水弁護士にこれらの質問の一つ一つに丁寧に回答していただきました。まず、会社は従業員に番号の「提供を求めることができ」それを税務署等への提出書類に記載するというだけで、その番号に紐付けされている税務署保有の個人情報を知ることはできません。そもそも、
番号の提供は、従業員の義務ではないので法律上は拒むことができ、その場合会社にも罰則はありません。また、番号を提供するためにはカードを提示すれば足りますから、カードのコピーを提出する必要はありません。
清水弁護士によれば、むしろ危険なのは、今後、政府がめざすように、民間サービスを含めマイナンバーの利用が拡大された場合、いろいろな場面でカードが安易に提示されたりコピーされ、番号に応じた個人情報のデータベースが違法に作成され流通してしまうことであるとのことです。国も、源泉徴収票等を本人に渡す場面では番号の記載は不要であるとしており、安易な番号の提供や使用をしないさせないことが重要と思われます。
時宜に適した有益な学習会でした。(ぷれいす東京Newsletter2016年2月号 No.88より)

参加者感想文

「情報不足からくる不安を解消できました」 ガジ(40代/男/会社員/服薬歴10年以上)

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マイナンバー制度の導入について大きな関心がありました。仕事を切り上げ遅れて会場に着くと、既にたくさんの人がいて、関心の高さを実感しました。
自分の周りでは、数日前に、会社からもマイナンバーの開示依頼が発信されたり、社内でも「今後は銀行口座を開設するにはマイナンバーの開示が必要だ」とか、情報が錯綜していました。そんな中で自分も、金銭流動が考えられるすべての事項には個人情報が紐付けられるだろうという印象を持っていました。一通りの説明の後で、質疑応答の時間があり、たくさんの質問があったのが非常に印象的でした。多くの人が積極的に参加していることを改めて感じました。
自分が一番懸念していたことは、通院・服薬におけるレセプト情報が健康保険組合経由で会社に情報等が伝わってしまう恐れはないのかということでした。例えば、その金額からどのような治療をしているのかを詮索されたりしないか。さらに、身体障害者手帳を取得していることまでわかってしまったら…と。会社としても「社員の健康管理の把握」という大義名分があることも理解してますので、仮にそのようなことを聞かれること自体が不安だったのですが、行政分野以外への利用の可能性について、どのように運用されていくのかが、まだ不透明のようで、マイナンバー導入時点で一気に情報が伝達されるわけではない状況だということがわかりました。
自分は今この時点で不安を感じることは時期尚早で、あまり意味がないのではと思えました。そのため、抱いていた懸念は払拭されることとなり、自分にとって大変有意義な時間となりました。

「マイナンバーの理解」ジャスミン(男/ 30代)

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「マイナンバー制度と個人情報」に参加させて頂き、改めてすぐに身近で活用が頻繁になるということは感じませんでした。お話いただいたことが、真なら国が個人情報をばら撒いているだけにしか感じないと思います。企業側も、導入に向けてキチンと研修等しないと取扱を雑多にしたり、悪質に使われたりと、色々問題もありそう。今回のお話では、国民としてのメリットがさらっと流されていたので、全て把握した上で判断しないと偏った知識で理解してしまう、そうも感じました。
今回のマイナンバーは2007年の年金記録問題から導入にいたったと、噂を耳にしました。それであれば、国や役所の仕事を国民に押し付けては欲しくないですね。キチンと導入の説明など、マスコミを頼らず周知してほしいです。どうも、批判的に話してしまいますが、個々の理解が重要
な内容であった会だと感じました。
参加してよかったです。演壇、運営された皆様ありがとうございました。

「知ることでできること」 F(女性/ボランティア)

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10月からマイナンバーの番号通知が始まり、連日テレビ番組で組まれる特集から受ける印象(制度を評論しながらも最終的に良い面ばかり押し出す)に違和感を覚えつつ、何も分かってない自分に危機感をもち、今回参加することにしました。
講師はマイナンバー制度に反対の立場をとる日本弁護士連合会の清水弁護士で、終始制度について批評的に教えてくださいました。そのため、この制度の何を理解し何に注意しなくてはいけないのかが、自分のなかで違和感なく明確になったように思います。基本的なことではありますが、マイナンバーは住民票コードと違い民間でも使うことが法定された番号で秘密性の保持は難しいこと、個人番号そのものと個人番号カードをもつことについて(個人番号カードの交付を受けるかは今すぐ決断する必要はない)などを学べたことで、私が今自分でできる個人情報管理を考えることができるようになったと思います。また今後マイナンバーの民間での利用拡大もあるとのことでしたので、これからもアンテナを張っていきたいと思います。貴重な講座をどうもありがとうございました。

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