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語り場・ぷれいすトーク“話してできる心のデトックス”報告

語り場・ぷれいすトーク

普段の生活では話しにくい3つのテーマで安心して語り合える場所をもうけました。
参加者同士が明るく楽しく交流することを通して、情報を増やしたり、今後に役立つ何かを発見してもらうことを目的にしました。この事業は、2015年度 ザ・ボディショップニッポン基金 の助成を受けて実施しました。

■テーマ
第1回 「子どもやパートナーと性の健康について話してみる?」
第2回 「話しにくい何かを抱える気持ちをシェアする会」
第3回 「HIV陽性者と話そう! Living Togetherを体験するワークショップ」

■会場 CASE Shinjuku(ケイスシンジュク)東京都新宿区高田馬場1-28-10 三慶ビル4F

■参加費 無料(事前申し込み不要)

■主催 特定非営利活動法人 ぷれいす東京

第1回 子どもやパートナーと性の健康について話してみる?

「性の健康ってナニ? 性のこと家族となんか話せない?性なんて恥ずかしくて口にできない?でも、だれもが性の健康リスクをもっているし、話すキッカケはじつはたくさんある。そんなチャンスをつかまえて話してみませんか?」

■日 時
2016年4月29日(金・祝)14:00~16:00

■スピーカー シングルマザー、20代のゲイ男性 各1名

■司会 生島嗣

■ファシリテーター 池上千寿子

■参加者
参加者 計18名:来場者10名、運営者8名(うちボランティア2名、スタッフ6名)

■アンケート結果(抜粋) n=10
・年代 20代:2 30代:4 40代:3 不明:1
・感想 とてもよかった:8 まぁよかった:2
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話しにくいテーマであったためか、残念ながら参加者は10名と少なかったが、ゲストスピーカーのお二人が興味深い話を、オープンにしてくれた。シングルマザーのお母さんは子どもとの性の話しづらさについて、20代のゲイ男性は家族へのカミングアウトやこれまでの恋愛などを話してくれた。グループワークでは、お母さんからゲイ男性まで多様な参加者があったが、それぞれの経験を話してくれ、性に対する様々な考え方、在り方をお互いに共有できた印象だった。最後に参加者全員での振り返りを行ったところ、参加者から色々な方の話を聞けてよかった、との感想をいただいた。
課題は、参加者の少なさであり、参加しやすい切り口での広報の必要性を感じた回となった。

第2回 「話しにくい何かを抱える気持ちをシェアする会」

「心やからだ、経済状態、セクシュアリティ…。 何に難しさを感じているかは人それぞれ。いろいろな立場の人と交流し、経験を共有してみませんか。」

■日 時
2016年5月 5日(木・祝)14:00~16:00

■スピーカー 企業の障害者枠で働くHIV陽性者、トランスジェンダーのHIV陽性者 各1名
■司会 生島嗣
■ファシリテーター 大槻知子

■参加者
参加者計33名:来場者23名、運営者10名(うちボランティア5名、スタッフ5名)

■アンケート結果(抜粋) n=18
・年代 20代:1 30代:9 40代:5 60代:3
・感想 とてもよかった:12 まぁよかった:3 どちらともいえない:2 不明/無回答:1
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参加者が多く、また多様な方が集まった会となった。スピーカーはトランスジェンダーのHIV陽性者、企業で働くHIV陽性者の2名で、トランスジェンダーの方からは、これまでの生活史から感染に至った経緯など、企業の方も自分のセクシュアリティや感染経緯など、両者ともに話しにくい何かを複数を持った経験を話してくれた。今回は東京レインボーウィークの参加イベントにもなっており、参加者のなかに、多様なセクシュアリティの方の参加があり、ゲイ男性、FTM(female to male)の方、自分の性別に違和感を感じている方から、パートナーをエイズで亡くされた方、精神疾患をもつ方の支援者、外国人の方など、多様な方が集まり、グループワークが活発になった。参加者からは、自分も当事者として話したかった、自分の気づいてなかった色々な難しさに気づける機会になった、それぞれの気持ちをグループでシェアできたのがよかったという感想があった。ただ、参加者それぞれの話しが興味深くワークの時間が短かった、それぞれ話し出すまでに時間がかかるため時間が短かった、という意見があり反省点であった。

東京レインボープライド参加イベント

第3回 HIV陽性者と話そう!〜Living Togetherを体験するワークショップ〜

「陽性者ってどこにいるの?仕事やプライベートでも、あったこともないけど、話してみたいという方。陽性者の現状データの紹介やワークショップで楽しく交流しましょう。

■日 時
2016年5月15日(日)  15:00~17:00

■スピーカー兼ファシリテーター りきや、いく
■情報提供 生島 嗣

■参加者
参加者計28名:来場者18名、運営者10名(うちボランティア5名、スタッフ5名)

■アンケート結果(抜粋) n=18
・年代 10代:3 20代:4 30代:4 40代:3 40代:3 50代:2 60代:1
・評価 とてもよかった:12 まぁよかった:3 不明/無回答:2
HIV陽性者と話そう!
スピーカー兼ファシリテーターを2名のHIV陽性者が務めた。2人からは陽性とわかった経緯、人間関係、セックス、就労など、プライベートなことも含めて色々な話をしていただいた。参加者は、保健師、妻をエイズで亡くした方、看護学生、HIV陽性者など、また多様な顔ぶれになった。参加者からは、こうして実際に話を聞ける機会を増やして欲しい、社会の差別偏見を感じた、会うことでイメージが変わったなどの感想があった。今回も、最後に参加者全員で一言ずつの短い振り返りを行い、それぞれの感想を共有することができた。

3回を振り返っての評価、反省点、今後の展望

今回、初めて参加型のワークショップを主体としたイベントを開催した。開催にあたっては、参加者の安全を守るために、グラウンドルールを作る、ファシリテーターを置くなどの準備をして臨んだ。話しにくいテーマが多いなかで、参加者にとって、安心して話せる環境、安全な場の確保は概ねできたのではないかと思う。
参加者の数は、広報期間が短くなってしまったため、行き届かないところもあり、当初の予定より少なくなったのが反省点である。ただ、こちらの想像よりも多様な参加者があり、参加者からもこうして自分のことを話せる場がもっと欲しい、という声が聞かれ、今後もいろいろなテーマで継続して実施する必要性を感じた。また、こちらがいままで気づけていなかった課題に触れ、団体としても新たな地域のニーズに気づく機会を得られた。
今後は、今回の参加者から得られた声を生かしつつ、HIVや性の健康に関わる様々な人が話せる場として、またそうした声を社会や市民に身近に届ける機会として、より多様な人を巻き込みながら、定期的に開催していければと考える。多くの人を巻き込むことで、HIV陽性者が顔の見えないモンスターではなく顔のある同じ人間であること、HIVが決して他人事ではないことを、多くの人に知ってもらえる機会になれればと思う。また、人がそれぞれで何らかの生きる難しさをもつなかで、HIVもその中の1つとして認識されるような社会づくりに貢献できればとも考える。もちろん、草の根的な小さな活動ではあるため、浸透していくには時間がかかると思うが、今後もぷれいすトークを地道に継続して開催し、HIV陽性者の声を中心として、多様な当事者の声を社会に届けていきたいと考える。

最後に、試行的なイベントにもかかわらず、ボディショップニッポン基金を助成し、ぷれいすトークを開催する機会をくださった、ボディショップの皆様に深く御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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