スタッフ日記 “生島”

台湾 2016世界エイズデー主題歌「愛相同」by郭蘅祈を紹介します。

生島

12月1日はWHOが呼びかる世界AIDSデーです。この日は都庁がピンク色になったり、東京周辺でもHIV啓発のためのイベントが多数開催されたりします。
さて、日本以上にHIV感染の広がりが心配される台湾ですが、今年、2016年国際エイズデーには主題歌「愛相同」がつくられたようです。この郭蘅祈さんという歌手。きっと有名な方なのだと思います。このビデオには多様な人たちが出演します。そこには、もっとも影響を受けている人たちのことも、踏まえたつくりはとても素晴らしいと思いました。

この動画に出演している人たちのメイキングビデオのうち、HIV陽性者とそのパートナーのインタビュー(2:20〜)を翻訳してもらいました。

 

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右(陽性者):自分がエイズに感染したと分かった時は、頭が真っ白になって、どうやって考えればいいが分からなかった。将来の計画、未来は自分の予定どおりに実践できるかどうかも分からなかった。その当時は家族、友達、むしろすべての人に知られるのが怖かった。
でも、とある人と知り合って、感染した人でもポジティブに生きれば、周りの人も安心できると話されて、カミングすることにした。
最初は友達に話して、友達から気にかけてもらったり、支えてもらったりして、勇気をもらった。それからは、ほかの人にも言えるようになった。

左(パートナー):彼と付き合う前から彼が陽性者だと知ってた。最初は怖かったけど、試してみてもいいと思った。実際に付き合って、そんなに怖くないと分かって、逆に前向きな気持ちになった。
最初の頃、生活上にはいろんな問題があって、心配することがたくさんあった。彼の血液に触れること、もちろんエッチの時など不安な気持ちはあったけど、一緒に話して、一つ一つこなして、解決してきた。だから今日まで一緒に歩いてきた。
エイズに関する情報、資料はいっぱいあって、足りていると思うけど、不安な気持ちの解決には実際ならないと思う。一番解決できる方法は実際に陽性者と接すること、どうやって生活してるのを知ること、理解することだと思ってる。そうすれば陽性者と自然に接することができ、生活することができ、もっと親密に付き合っていける。

この二人が来ているTシャツは、今年の東京レインボープライドに来日した、台湾ホットラインの人たちがおこなっているキャンペーンの
Tシャツだ。なかなかカミングアウトが難しい、台湾ではこうしたキャンペーンはとても大切なものだ。今回の動画とこのキャンペーンがどう関連しているかは、10月末に台北を訪問するので、その際に聞いてみたい。
《轉角遇見愛》—全台愛滋零距離巡迴計畫  台灣同志諮詢熱線 Taiwan Tongzhi Hotline
1998年に設立され、2003年から始まった「台灣同志遊行」(台湾LGBTプライド)では初回からその運営団体の一つとして活動してきた「台灣同志諮詢熱線協會」。今や台湾で最も古いLGBT活動団体の一つである「台灣同志諮詢熱線」が、現在、力を入れて取り組んでいる「HIV感染者との距離をゼロに!」、今年5月に原宿で開催された東京レインボープライドで開催したシンポジウムでは、この担当者が登壇した。

 

安全な歯科医を探すことは誰にとっても大切なこと

生島

HIV陽性者の方を対象にした学習会「2016.9.21(水) 19:00-  歯科医と話そう」 が開催される。ゲストには、東京HIVデンタルネットワークの皆様を迎える予定だ。彼らのように、HIV陽性を受け入れる歯科医療機関は感染症対策に自信がある歯科だ。実はそのことは、HIV陽性者にとってだけでなく、感染していない人や、自分の感染を知らない人など、誰にとっても大切な情報なのだ。

プロなんだから、ちゃんと感染症対策してくれているでしょうという前提でいたら、実はそうでもない現状もあるようだ。平成26年5月18日 の読売新聞にとてもショッキングな記事が掲載された。

国立感染症研究所などのグループが歯科医療機関を対象にした調査を実施し、3,152施設に質問紙を配布しそのうち、891施設から回答があったのだという。回収率は28%というとても低い回収率の調査結果であるので、実際はもっと悪い状況なのかもしれない。この調査わかったことは、歯科医の7割がエアータービンの柄の部分(歯を削るドリル部分は調査対象外)を患者ごとに必ず交換しているのは34%であるというだったという。専門家によると、交換していない場合には、アルコールで拭くなど、簡易な消毒や洗浄だけという対応も多いとみられるとのこと。さらに、歯科関係者の間では、柄だけでなく、ドリル部分も同様に滅菌せずに使い回されているという指摘もあるのだ。

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今回のゲストの一人、鈴木 治仁さん(鈴木歯科クリニック院長)は、2014年6月24日の日本歯科新聞のインタビューに以下のように答えている。

──── 院内感染対策を意識したきっかけはあるのですか?
認識を改めたのはエイズ患者の治療をするようになってからです。必然的に今まで教わってきたものを見直さなくてはならないと思いました。私やスタッフの身を守り、交差感染を防止するのはもちろんですが、免疫不全に陥った患者さんに万が一、肝炎でも感染させたら死に直結します。感染は絶対に避けなければなりません。
残念ですが、エイズ患者を受け入れるという歯科医師はわずか3割程度という調査結果があり、受け入れない理由の一つとして、院内感染対策に自信がないという回答があるのも事実です。

しかし、受け入れていない歯科医院にエイズ患者やHIV感染者が受診していないという保証はどこにもありません。

そういった意味で、誰が感染者であっても問題のない診療体制(スタンダードプリコーション)は、全ての歯科医院に求められています。

『日本歯科新聞』2014年6月24日付、第6面-第7面。

 

血液で感染する病気はたくさんある。そのなかで、HIVは感染力の弱いウイルスになる。ですので、HIV陽性者にとっては、感染症への対策が実施されているかどうかは、自分の健康問題として、とても気になるポイントだろう。もちろん、HIV陰性の人、どちらかわからない人、誰にとっても、HIVや肝炎などに、きちんと感染症対策済みの歯科を選ぶことが個々人の健康にとっても大切であることは共通している。

HIV陽性者を差別なく受け入れる=感染対策をきちんととっているので、自信があるという歯科である場合が多い。安全な歯科医を探すことは誰にとっても大切なことなのだ。

HIV陽性者の方を対象にした学習会「2016.9.21(水) 19:00-  歯科医と話そう」 はまだ席に余裕がある。

東京レインボープライドパレード2016報告

生島

東京レインボープライドパレード2016 5月7日(土)〜5月8日(日)
今年のフェスタ&パレードは、フロート(梯団)数が18、イベント広場でのブース出展は約120と、いずれも過去最高となったとのこと。東京レインボープライドによると、動員も過去最高で、7日のフェスタが23,000人。8日のパレードの日は、パレード4,500人、沿道&会場43,000人で、47,500人。フェスタ&パレード2日間合計で、70,500人を記録という。

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ブース「AIDS IS NOT OVER」を出展
LIVING TOGETHER計画(ぷれいす東京とaktaが呼びかけ団体)が
AIDS IS NOT OVERのブースやフロートを運営しました。

当日は、ぷれいす東京・研究班の資材、隣ではaktaの資材、全国のコミュニティセンターの資材を配布した。また、基金を集めるためのバッチやTシャツを頒布を行った。

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フロート
フロートの搭乗スタッフは、人気のドラッグクイーン、人気ゴーゴーボーイズ、
そして、音楽はDJ:HIDEOによるプレイによるサポートによりとても楽しいフロートになった。

AIDS IS NOT OVER~エイズはまだ終わっていない
WE’RE ALREADY LIVING TOGETHER(MSM首都圏グループ)
Drag Queen:エスムラルダ  DJ:HIDEO
GOGO BOY :DEG (DEGPAG)、孔明

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AIDS IS NOT OVERは18フロート中15番目スタートの予定でした。

多くの方が一緒にあるいてくださいました。

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日台HIVシンポジウム
台湾と日本のHIVの現状と課題を考える。

5月7日(土)13:10~13:50
@代々木公園野外ステージ
主催:NPO法人 東京レインボープライド
協力:台灣同志諮詢熱線協會、NPO法人ぷれいす東京、NPO法人 akta

[司会]生島嗣   (NPO法人ぷれいす東京)
[出演]杜思誠   (台灣同志諮詢熱線協會)
范順淵   (愛滋感染者権益促進会ソーシャルワーカー)
荒木順子(NPO法人 akta)ほか

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1998年に設立され、2003年から始まった「台灣同志遊行」(台湾LGBTプライド)では初回からその運営団体の一つとして活動してきた「台灣同志諮詢熱線協會」。今や台湾で最も古いLGBT活動団体の一つである「熱線」が、現在、力を入れて取り組んでいる「HIV感染者との距離をゼロに!」の担当リーダーが来日し、TRPのステージに登壇。台湾のHIVの現状と、それに対する取り組みについて語る。一方、日本側からは、東京からHIVの情報発信の中核を担うNPO法人aktaが陽性者が共に暮しているリアリティを伝える「LIVING TOGETHER」の取り組みについて報告する。そして、日本や台湾のプライドパレードにおいて今、HIVを語ることの意義を考える。

 

薬物使用者の支援に関する情報交換ミーティング

5月8日(日)パレード終了後、代々木公園の芝生の上で、台湾の医師、台湾ホットライン薬物使用に関するプロジェクト担当者、川崎ダルクスタッフ、国内関係者などとクローズドのミーティングを行いました。台湾サイドから、日本国内の薬物依存からの回復支援の取り組みについて聞きたいというリクエストがあり、コーディネートしたものです。以前から、交流の場をなんどか設けておりました。台湾での感染拡大の背景には薬物使用の問題があり、これは日本、台湾という国境を超えた課題である。そのために、お互いの連携について話し合いました。

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台湾NGOとの交流会

パレードの翌日5月9日に交流の時をもちました。写真は、台湾の愛滋感染者權益促進會、台灣同志諮詢熱線協會、ぷれいす東京スタッフ、通訳に協力してくださいった皆さんです。彼らのサポートでともて良い交流の時となりました。
台湾は年間に2000人以上のHIV感染者の新規報告があり、メインの感染ルートは男性同性間の性行為となっています。台湾の人口は日本の5〜6分の1なので、とても大きな数字です。
今回のシンポジウムは、台湾LGBTプライドの運営団体の一つとして活動してきた「台灣同志諮詢熱線協會」から東京レインボープライド側にあり、実現しました。現在、熱線が力を入れて取り組んでいるのは、「HIV感染者との距離をゼロに!」。ぷれいす東京発の「LIVING TOGETHER」の発想とかなり近いものがあります。今回の交流をとおして、今後も国を超えて連携していきたいと思います。

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寄付と報告

AIDS IS NOT OVERのブースやフロートは寄付で運営しました。
寄付の受付はパレード会場内にある AIDS IS NOT OVER ブース、5月5日からは、コミュニティセンター aktaでも、1000円以上の寄付でオリジナル・缶バッチ(3個)を差し上げた。

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寄付額と会計の報告します。
東京レインボープライド2016にて、「AIDS is NOTOVER」のアクションをご支援いただき、誠にありがとうございました。ブースやaktaでの寄付の総額は、225,363円でした。

ボランティアで参加いただいたクリエイターの方々のご好意にも助けられ、コストを抑える努力をしていましたが、残念ながら赤字が出てしまいました。
今後もakta、ぷれいす東京のネットワークで寄付をお願いし、バッチの配布を続けていく予定です。引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いします。
末筆になりますが、今回のフロートにご登場いただき、AIDS IS NOT OVERのメッセージを路上で発信し続けていただいたみなさん、
DQ:エスムラルダ、GOGO:DEG(DEG PAG)、孔明、DJ:HIDEO
また、フロートと一緒に行進をしてくれた、200人以上の皆様に、この場をお借りして心より御礼を申し上げます。これからも、みなさまと共にHIV/エイズの取り組みを継続していきたいと思います。

[支出] フロート音響      :139,778
レンタカーなど :  20,270
フロート材料      :  90,590
プラカード材料   :  11,495
リボン、バッチ   :  57,615
ブース用材料費 :    8,670
合計費用      :328,418
[収入]   バッジ、寄付      :225,363

「ラッシュ」輸入でいきなり逮捕

生島

ここのところ、ラッシュを個人輸入し、税関からの通報で警察が動きだし逮捕されるという事例が増えている。以前は、「もし税関でひっかかっても、所有権を放棄すれば大丈夫」という認識が多く流通していた。しかし、指定薬物となったところから、取り締まりが強化されたのだ。

このあたりの経過を少し、報告しておく。

ラッシュは、2007年4月から薬事法改正により指定薬物として販売が規制された。

この指定薬物という枠は脱法ドラッグ(現:危険ドラッグ)と同じ枠組みにはいっているのだ。その後、脱法ドラッグ(現:危険ドラッグ)による交通事故などが多発したため、2014年4月からは規制が強化され、所持・使用等も禁止となった。

さらに、2015年4月からは、改正関税法が施行され、個人輸入も取り締まりの対象になった。個人輸入をし、税関で発見されると、警察は連動して捜査を開始する。

ぷれいす東京には、これまでにも、何人かのゲイから実際に捜査を受けた際の相談を受けている。個人で所持していた事例もあるし、他人から依頼されて名義を使われてラッシュを輸入されて、数週間拘束されたひともいる。

最近、イギリスでもラッシュの所持で7年の刑罰になったというニュースが流れた*。ラッシュ使用による健康被害が報告されていることが影響しているのかもしれない。重大な視力障害の発生がしばしば報告されるようになり、著名なイギリスの学術誌「ランセット」2014年11月号には、眼科医の症例報告とラッシュに含まれる亜硝酸エステル乱用への警告が掲載されていたという。また、日本でも過去には、亜硝酸を含有した液体の経口摂取による死亡例が報告されたりしているという。

依存性も少ないのにどうしてとか、ラッシュくらいという声も聞こえてくる。しかし、法令が変ってしまった今、違反してしまうと社会生活に大きな影響が及ぶ。その事実を踏まえて行動して欲しいと思う。

ーーーーーーーーーーーーー
訂正:
後日、イギリスではこう精神作用がないということで、規制の対象から外れた。その際にゲイの国会議員がカミングアウトし、自分も昔は使っていたと議会で証言し、規制に反対している。

弁護士小森榮の薬物問題ノート

http://33765910.at.webry.info/201604/article_7.html

ぷれいすトークの報告

生島

普段の生活では話しにくい3つのテーマで安心して語り合える場所をもうけました。
参加者同士が明るく楽しく交流することを通して、情報を増やしたり、今後に役立つ何かを発見してもらうことを目的にしました。この事業は、2015年度 ザ・ボディショップニッポン基金 の助成を受けて実施しました。

語り場・ぷれいすトーク

 

第1回 子どもやパートナーと性の健康について話してみる?
「性の健康ってナニ? 性のこと家族となんか話せない?性なんて恥ずかしくて口にできない?でも、だれもが性の健康リスクをもっているし、話すキッカケはじつはたくさんある。そんなチャンスをつかまえて話してみませんか?」

日時 4月29日(金・祝)14時〜16時
司会 生島嗣 ファシリテーター 池上千寿子
スピーカー シングルマザー、20代のゲイ男性 各1名
参加者計18名: 来場者10名、運営者8名(うちボランティア2名、スタッフ6名)

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<アンケート結果(抜粋) n=10>
・ 年代  20代:2 / 30代:4 / 40代:3 / 不明:1
・ 感想 とてもよかった:8  / まぁよかった:2

話しにくいテーマであったためか、残念ながら参加者は少なかったのだが、ゲストスピーカーのお二人が興味深い話を、オープンにしてくれた。シングルマザーのお母さんは子どもとの性の話しづらさについて、20代のゲイ男性は家族へのカミングアウトやこれまでの恋愛などを話してくれた。グループワークでは、お母さんからゲイ男性まで多様な参加者があったのだが、それぞれの経験を話してくれ、性に対する様々な考え方、在り方をお互いに共有できた印象だった。最後に参加者全員での振り返りを行ったところ、参加者から色々な方の話を聞けてよかった、との感想をいただいた。
課題は、参加者の少なさであり、参加しやすい切り口での広報の必要性を感じた回となった。

 

第2回 話しにくい何かを抱える気持ちをシェアする会
「心やからだ、経済状態、セクシュアリティ…。 何に難しさを感じているかは人それぞれ。いろいろな立場の人と交流し、経験を共有してみませんか。」

日時 5月5日(木・祝)14時〜16時
司会 生島嗣 ファシリテーター 大槻知子
スピーカー 企業の障害者枠で働くHIV陽性者、トランスジェンダーのHIV陽性者 各1名
参加者計33名: 来場者23名、運営者10名(うちボランティア5名、スタッフ5名)
★ TOKYO Rainbow Week参加イベント

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<アンケート結果(抜粋) n=18 >
・ 年代  20代:1 / 30代:9 / 40代:5 / 60代:3
・ 感想 とてもよかった:12 / まぁよかった:3 / どちらともいえない:2 /
不明・無回答:1

参加者が多く、また多様な方が集まった会となった。スピーカーはトランスジェンダーのHIV陽性者、企業で働くHIV陽性者の2名だった。トランスジェンダーの方からは、これまでの生活史から感染に至った経緯など、企業の方も自分のセクシュアリティや感染経緯など、両者ともに話しにくい何かを複数を持った経験を話してくれた。今回は東京レインボーウィークの参加イベントにもなっており、参加者のなかに、多様なセクシュアリティの方の参加があり、ゲイ男性、FTM(female to male)の方、自分の性別に違和感を感じている方から、パートナーをエイズで亡くされた方、精神疾患をもつ方の支援者、外国人の方など、多様な方が集まり、グループワークが活発になった印象であった。参加者からは、自分も当事者として話したかった、自分の気づいてなかった色々な難しさに気づける機会になった、それぞれの気持ちをグループでシェアできたのがよかったという感想があった。ただ、参加者それぞれの話が興味深くワークの時間が短かった、それぞれ話し出すまでに時間がかかるため時間が短かった、という意見があり反省点であった。

 

第3回 HIV陽性者と話そう!〜Living Togetherを体験するワークショップ〜
「陽性者ってどこにいるの?仕事やプライベートでも、あったこともないけど、話してみたいという方。陽性者の現状データの紹介やワークショップで楽しく交流しましょう。日時 5月15日(日)15時〜17時
スピーカー兼ファシリテーター りきや、いく 情報提供 生島 嗣
参加者計28名: 来場者18名、運営者10名(うちボランティア5名、スタッフ5名)img_7247
<アンケート結果(抜粋) n=17>
・ 年代  10代:3 / 20代:4 / 30代:4 / 40代:3 / 40代:3 / 50代:2 /
60代:1
・ 評価 とてもよかった:12 / まぁよかった:3 / 不明・無回答:2スピーカー兼ファシリテーターを2名のHIV陽性者が務めた。2人からは陽性とわかった経緯、人間関係、セックス、就労など、プライベートなことも含めて色々な話をしていただいた。参加者は、保健師、妻をエイズで亡くした方、看護学生、HIV陽性者など、また多様な顔ぶれになった。参加者からは、こうして実際に話を聞ける機会を増やして欲しい、社会の差別偏見を感じた、会うことでイメージが変わったなどの感想があった。今回も、最後に参加者全員で一言ずつの短い振り返りを行い、それぞれの感想を共有することができた。
 

▼ 3回を振り返っての評価、反省点、今後の展望

今回、初めて参加型のワークショップを主体としたイベントを開催した。開催にあたっては、参加者の安全を守るために、グラウンドルールを作る、ファシリテーターを置くなどの準備をして臨んだ。話しにくいテーマが多いなかで、参加者にとって、安心して話せる環境、安全な場の確保は概ねできたのではないかと思う。
参加者の数は、広報期間が短くなってしまったため、行き届かないところもあり、当初の予定より少なくなったのが反省点である。ただ、こちらの想像よりも多様な参加者があり、参加者からもこうして自分のことを話せる場がもっと欲しい、という声が聞かれ、今後もいろいろなテーマで継続して実施する必要性を感じた。また、こちらがいままで気づけていなかった課題に触れ、団体としても新たな地域のニーズに気づく機会を得られた。img_7249
今後は、今回の参加者から得られた声を生かしつつ、HIVや性の健康に関わる様々な人が話せる場として、またそうした声を社会や市民に身近に届ける機会として、より多様な人を巻き込みながら、定期的に開催していければと考える。多くの人を巻き込むことで、HIV陽性者が顔の見えないモンスターではなく顔のある同じ人間であること、HIVが決して他人事ではないことを、多くの人に知ってもらえる機会になれればと思う。また、人がそれぞれで何らかの生きる難しさをもつなかで、HIVもその中の1つとして認識されるような社会づくりに貢献できればとも考える。もちろん、草の根的な小さな活動ではあるため、浸透していくには時間がかかると思うが、今後もぷれいすトークを地道に継続して開催し、HIV陽性者の声を中心として、多様な当事者の声を社会に届けていきたいと考えている。

最後に、ぷれいすトークを開催する機会をくださった、今回はザ・ボディショップニッポン基金の皆様に深く御礼申し上げます。また、多様な課題をもちつつ、勇気をもって、語る場に参加してくださった皆さまとの出会いも、大変にうれしくおもいます。

活動報告会へのご来場ありがとうございました。

生島

2016.5.29 ぷれいす東京の活動報告会には、
大勢の皆様にご参加いただきました。

一般の来場者、賛助会員・寄付者などのサポーター、スタッフ、ネスト登録者など、あわせて72人の方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。

日頃の活動について8つの部門のスタッフが報告をさせていただきました。ぷれいす東京の全体像を感じていただけたのではないでしょうか。
また、後半では、武田飛呂城さん(特定非営利活動法人日本慢性疾患セルフマネジメント協会 事務局長)に、治療による血液製剤で感染し、それを高校1年の時に告知された経験などをお話しいただきました。

武田さんの話は、とても心に響く話でした。

2001年、単剤治療ですべての抗HIV薬が薬剤耐性となり選択肢がなくなった状況で、1年後の生存は保証できないが、耐性のない薬が3剤できるまで、頑
張ってといわれたのだという。待っている5年間のあいだの免疫を表す数値
はCD4一桁だったという。その最後の7ヶ月間は入院して過ごしたそうです。

そんな辛い状況下で彼の気持ちを支えたのは仲間の存在でした。
「あの人たちの所に戻りたい、ここで負けては申し訳ない。」
そうした気持ちが彼の心を支えたのだという。

血友病であり、HIV感染していることをも含めて理解して、寄り添ってくれる人たちの存在が彼の心を支えていたのだそうです。これは、感染経路にかかわらずおおくの人に共通することかもしれません。

また武田さんが見通す未来は、HIVが完治する時代が将来くるであろうこと、その時には社会的な支援は少なくなるのかもしれず、その時のことを踏まえて生活することを、根拠がある訳ではないけども、考えているということを話されていました。

「HIVが治るようになったら、どうするのか?」

かつて治療の選択肢が無くなってしまったという困難を乗り越えてきたサバイバーである武田さんからの問題提議は、会場にいた一人一人にどのように響いたのだろうか。今後、みなで語りあっていきたいと感じている。

サポーター100人募集中!認定NPO計画に是非ご協力ください

生島

ぷれいす東京では、サポーター100人を募集中です。

皆様、2016年もよろしくお願いします。

私たちは、より安定した運営基盤を築き、継続的にサービス提供を行うため、
認定NPO法人になることを目指しています。是非皆様の応援をお願いします。

認定NPO計画サポーター募集中

認定NPO法人になると、寄付者が寄付額に応じた税額控除を受けることができるようになり、税金が還付されるなど、これまでにはない優遇を受けられます。

非公開の寄付者リストに名前と住所(団体は名称と事務所の所在地)を記載。このリストを東京都に提出しますが閲覧・公開はされません。

認定の基準は、年間3,000円以上の寄付者が100名必要です。2017年に認定申請をする場合、2015年度と2016年度の2年間で判定されます。この2年間の年3000円以上の寄付者が平均で100人以上いることが条件となります。ただし、残念ながら生計をいつにしている場合には、何人が寄付をしても1名となります。

☆銀行振込の場合
E-mail:office☆ptokyo.org ⇒☆を@にしてください。
以下の内容をメールでお知らせください。

件名:「認定NPOサポーター希望」
本文:1) 振込情報(振込日/振込名/金額)
2) 寄付者情報(名前/住所)

☆クレジットカードの場合には、決済情報欄に、「認定NPO計画サポーター希望」とお書きいただき、お名前、ご住所をご入力ください。

⇒詳細は以下で。
http://www.ptokyo.org/news/6346

2014年度の主な活動実績/利用者数    (すべて:のべ数)
HIV陽性者への在宅/入院先への訪問活動:292件
HIV陽性者や周囲のための相談サービス:3,388件
HIV陽性者や周囲のためのピア・プログラム :1,325人
HIV感染不安/予防の相談サービス:2,999件

皆様の応援、どうぞ、よろしくお願いします。

NPO法人 ぷれいす東京 代表  生島嗣

スタッフ一同

Tokyo AIDS Weeks 2015 まもなく始動。

生島

ぷれいす東京では、新人ボランティアのための基礎研修が修了し、各部門ごとの研修がスタートしています。本日は電話相談員を希望する方々のための研修がはじまりました。生島は毎年、ピアカウンセリングの基礎を担当させてもらっています。続いて、バディ・スタッフ、ネスト・ボランティアなどの研修が続きます。本当に熱心に参加してくれる方々、運営にかかわってもらっている先輩ボランティアの皆様など、多くのスタッフたちに支えられて、日々の活動がなりたっています。

11月30日〜12月1日に、第29回日本エイズ学会学術集会・総会が、国立国際医療センターの岡慎一さんを会長に開催されます。そのプレ・イベントとして、11月28日〜29日まで、国立国際医療センターをメイン会場に、Tokyo AIDS Weeks2015が開催されます。大阪では、すでにOsaka AIDS Weeksが開催されていますが、その東京版です。10月15日あたりに、最初の情報リリースをしますので、どうぞ、ご期待ください。

「HIV陽性」看護師への就労制限、情報の目的外利用は違法の判決

生島

昨日、福岡高裁で係争中の、HIV陽性の看護師による裁判の判決がでた。地裁での判決に続き、『「HIV陽性」看護師への就労制限は違法 2審も病院に60万円の賠償命令』という判決がくだされました。

この裁判の争点は、職場で対象不良になった看護師が職場の医師により大学病院に紹介され、その紹介状への返信に書かれていた「紹介患者は陽性であった」という情報の扱いです。勤務先だとはいえ、それを本人の同意なく、労務管理を目的とした利用が妥当かどうかというプライバシーの扱いの是非、自宅待機が就労制限なのかが論点になっていまし た。

この裁判への判決の情報を探すため、ツイッター上で検索してみたら、なんとも微妙なコメントがあまりも多いのに驚きます。「HIV陽性の看護師の世話になりたくない」などとつぶやく声が複数ありました。こうした身近にはいない、陽性とわかった人たちと関わりたくないという、初歩的な誤解は、当事者がなんとかすることではなく、社会が理解を促進すべきことです。

自分の感染に気付き、医療的なケアをしているHIV陽性者は身体のウイルスをコントロールしており、その多くは、もはや感染源ではあり得なくなっています。課題になっているのは、生活者のなかに、自分の感染を知らずにすごしている人たちがいること、このような人たちをどのように少なくできるかが、私たちの社会が解決すべき問題なのです。

実は、この原告と同じような経験をもつ、HIV陽性の医療従事者は多くいます。
ぷれいす東京の研究班による全国調査では、就労している829人中の14%が医療福祉の職場ではたらいていました。
http://www.chiiki-shien.jp/image/pdf/atyousa.pdf

ぷれいす東京では、HIV陽性の看護師にミーティングを開催したり、相談活動のなかで、多くの似た状況の方に数多くお会いしますが、すべてがこのような排除にあっている訳ではありません。受け止めて、職場で情報をコントロールしながら、就労継続をしている事例も多々あります。

このような訴訟や、控訴を続ける医療のスタンスは、今後、看護師として働く人たちがHIV検査にいくことが、不安であったり、人によっては恐怖になってしまうと、発症まで感染に気づかないなどの事例が増えてしまうのではと心配になります。

実は相談のなかでは、発症で初めて 感染に気づく人に多々出会います。「看護師だし、検査を受けるのが怖かった」という人も。看護師であることを辞めてしまう人でさえいます。この日本の社会で、 医療の現場がHIV陽性者でが安心して働ける場になることを期待します。本当は、安心して、HIV陽性であることを伝えられて、適切な配置が模索できる環境が実現することが、HIV陽性の医療者にとっても理想なはずです。

参考までに、アメリカでは、以下のガイドラインで、HIV、肝炎をもつ、医療従事者が血液中のウイルスの状態にあわせて、業務の範囲が定められています。医師でHIV陽性の場合も想定されたものになっています。
SHEA Guideline for Management of Healthcare Workers Who Are Infected with Hepatitis B Virus, Hepatitis C Virus, and/or Human Immunodeficiency Virus
https://www.cpso.on.ca/…/memb…/membership/shea-guideline.pdf

第3回「HIV陽性者の健康と生活に関する実態調査」報告書を公開

生島

ぷれいす東京の研究部門が実施した、以下の2つの調査の報告書を公開しました。ぜひ、ご覧ください。この調査は、平成26年度厚生労働科学研究費 補助金(エイズ対策研究事業)として実施したもので、若林チヒロ(埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 准教授)さんがこの調査を分担研究者と して担当しました。この調査は5年おきに実施してきた調査の第3回目にあたります。

 

「HIV陽性者の健康と生活に関する実態調査」
 分担研究者:若林チヒロ(埼玉県立大学)

A調査【ブロック拠点病院とACC調査】報告書 

【A調査】ブロック拠点病院とACC調査 9病院 1,100名
【配布回収】対象者数は各病院の陽性者数の40%とし、2病院は実施体制等を考慮して抽出率を下げた。
配布1,786票、回収1,100票(回収率61.6%)
【調査期間】2013年7月~12月
【対象病院】ACCと全国8地域の各ブロック病院の計9病院。地域内に複数のブロック病院が指定されている場合は、もっとも陽性者数の多い1病院を対象とした。


B調査【中核拠点病院等調査】報告書

【B調査】中核拠点病院等調査 22病院 369名
【配布回収】各病院の陽性者数と配布可能数を考慮して配布数を確定した。
配布687票、回収369票(回収率53.7%)
【調査期間】2013年8月~ 2014年4月
【対象病院】すべてのエイズ治療中核拠点病院(2012年9月現在)と、A調査で対象外としたブロック拠点病院に、郵便とメールで調査協力を 依頼し、実施可能と返信があった病院を対象とした。58病院中30病院から回答があり、26病院が可能であった。実施段階で日程等の都合で4病院が対象外 となり、最終的に22病院を対象とした。

 

平成26年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)

地域においてHIV陽性者等のメンタルヘルスを支援する研究

研究代表者:樽井正義(特定非営利活動法人ぷれいす東京理事/慶應義塾大学名誉教授)