スタッフ日記

世界平和や人類の未来よりも、今日の歯痛が優先事項か

そわそわとした季節です。僕の周囲にも、異動の内示が出て住居のことや家族のこと学校のことなどあわただしく手続きをしている人もいるし、年度末の仕事に 追われて無酸素運動で突破しようとしている人もいるし、季節が春めいてきてなんとなくロマンチックな気分だったり、ただただエロい気分になっている人も(笑)。僕はといえば、仕事環境が変わりあれこれ手続きなどをしつつ、年度末までに仕上げるべき仕事がいよいよ待ったなし、でもなんだか春めいていて浮かれたいような気持ちも少々。

そんなときに、折り悪く歯が痛くなった。どんどん痛くなる。奥歯が噛み合わせられないほど痛い。突然なにもかも手につかなくなってしまった。 急遽かかりつけの歯医者に行き、レントゲンをとり、あーなるほどふむふむと、10年前のかぶせものをとり除き、深海油田を掘り当てるみたいな感じで、歯の芯をギリギリグリグリと掘り進むこと(僕の感覚では)1時間以上、根っこのあたりにたまった膿が吹き出てきてめでたしめでたし。抗生剤をもらって帰り、万事休す。

HIV陽性である僕にとっては、歯科治療はいまだ解決していない社会的な課題です。ですが、陽性者としてできることは、やはり「歯が痛くないうちに、かかりつけの歯医者を作っておく」です。だって、この激痛の中で「HIVなんですけど診てもらえますか?」と訪ね回ったりするのもしんどいし、かといって、膿を出したり、もしかしたら切開していたかもしれず、抗生剤も処方されてて、HIVを隠して受診するのは気がひけるという以上に、自分にとって不安じゃない? 年に一度の定期検診しかしてなかったけど、HIVを理解してるかかりつけの歯医者さんがいてほんと助かった!

「世界平和や人類の未来よりも、今日の歯痛が優先事項である」とは、だれかが言った、ちょっとふざけてると思う人もいるかもしれないけど、ちっぽけで愛らしい人間っぽさをあらわす格言じゃあございませんか? それに、「ころばぬ先の杖」とも言います。歯痛ごときとあなどることなかれ。備えあれ。

矢島 嵩

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