スタッフ日記

南ア便り④:アフリカのLGBT

南アフリカ共和国は、1996年、アパルトヘイト後に作られた新憲法において性別・ジェンダー・性指向いずれによる差別も禁ずる旨を憲法に明記した世界初の国になりました。2006年には南半球の国々では初めて、アフリカ諸国では現在もなお唯一、同性婚を合法化しています。

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Religion現在もいくつかの国が、同性愛を死刑とするソドミー法を持つアフリカ。それには宗教界による支持も少なからずあります。
そして、ほんの数十年前まで続いていたイギリスなど欧州諸国による植民地支配の影響を語らないわけにもいきません。

植民地支配の時代に勝手にソドミー法を作って置いていったのも西側諸国なら、今になってLGBTの人権を守れと警告してくるのも西側諸国、というアフリカ側のフラストレーションも伝わってきます。
しかし一方で、グローバル・ヴィレッジでセッションを開いたナイジェリア出身のオープンリー・ゲイの宗教家からは、植民地時代以前よりアフリカ文化の中にも同性間のパートナーシップがあったという史実もあり、LGBTの人権と宗教的価値観との共存の道を探っていこうという冷静な呼びかけがなされました。

グローバル・ヴィレッジは、参加登録をしなくても無料で入場できる開かれたスペースです。そして、そこにあるセッション・ルームでは、この宗教とLGBTの他にも、障害者とHIVといった忘れられがちだけれど大切なテーマが毎回扱われ、現地公用語ズールー語の同時通訳もありさらにインクルーシヴだったのですが、広報も立地もイマイチだったのか参加者が少なかったのがとても残念でした。

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TheLancet医学誌『ランセット』がトランジェンダーの健康に関する特集号を発行。地域によっては、HIV陽性のトランスジェンダーの医療へのアクセスやアドヒアランスを向上させることを目的に、HIV医療とともに性別移行のためのホルモン療法をあわせて提供する動きが広がっています。
ただ、ランセットに載っていた記事によると、南アフリカには性別適合手術が受けられる病院が2つしかないとのこと。法制度は整いつつあっても、その実施においては課題山積だそうです。

おーつき

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