スタッフ日記

安全な歯科医を探すことは誰にとっても大切なこと

HIV陽性者の方を対象にした学習会「2016.9.21(水) 19:00-  歯科医と話そう」 が開催される。ゲストには、東京HIVデンタルネットワークの皆様を迎える予定だ。彼らのように、HIV陽性を受け入れる歯科医療機関は感染症対策に自信がある歯科だ。実はそのことは、HIV陽性者にとってだけでなく、感染していない人や、自分の感染を知らない人など、誰にとっても大切な情報なのだ。

プロなんだから、ちゃんと感染症対策してくれているでしょうという前提でいたら、実はそうでもない現状もあるようだ。平成26年5月18日 の読売新聞にとてもショッキングな記事が掲載された。

国立感染症研究所などのグループが歯科医療機関を対象にした調査を実施し、3,152施設に質問紙を配布しそのうち、891施設から回答があったのだという。回収率は28%というとても低い回収率の調査結果であるので、実際はもっと悪い状況なのかもしれない。この調査わかったことは、歯科医の7割がエアータービンの柄の部分(歯を削るドリル部分は調査対象外)を患者ごとに必ず交換しているのは34%であるというだったという。専門家によると、交換していない場合には、アルコールで拭くなど、簡易な消毒や洗浄だけという対応も多いとみられるとのこと。さらに、歯科関係者の間では、柄だけでなく、ドリル部分も同様に滅菌せずに使い回されているという指摘もあるのだ。

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今回のゲストの一人、鈴木 治仁さん(鈴木歯科クリニック院長)は、2014年6月24日の日本歯科新聞のインタビューに以下のように答えている。

──── 院内感染対策を意識したきっかけはあるのですか?
認識を改めたのはエイズ患者の治療をするようになってからです。必然的に今まで教わってきたものを見直さなくてはならないと思いました。私やスタッフの身を守り、交差感染を防止するのはもちろんですが、免疫不全に陥った患者さんに万が一、肝炎でも感染させたら死に直結します。感染は絶対に避けなければなりません。
残念ですが、エイズ患者を受け入れるという歯科医師はわずか3割程度という調査結果があり、受け入れない理由の一つとして、院内感染対策に自信がないという回答があるのも事実です。

しかし、受け入れていない歯科医院にエイズ患者やHIV感染者が受診していないという保証はどこにもありません。

そういった意味で、誰が感染者であっても問題のない診療体制(スタンダードプリコーション)は、全ての歯科医院に求められています。

『日本歯科新聞』2014年6月24日付、第6面-第7面。

 

血液で感染する病気はたくさんある。そのなかで、HIVは感染力の弱いウイルスになる。ですので、HIV陽性者にとっては、感染症への対策が実施されているかどうかは、自分の健康問題として、とても気になるポイントだろう。もちろん、HIV陰性の人、どちらかわからない人、誰にとっても、HIVや肝炎などに、きちんと感染症対策済みの歯科を選ぶことが個々人の健康にとっても大切であることは共通している。

HIV陽性者を差別なく受け入れる=感染対策をきちんととっているので、自信があるという歯科である場合が多い。安全な歯科医を探すことは誰にとっても大切なことなのだ。

HIV陽性者の方を対象にした学習会「2016.9.21(水) 19:00-  歯科医と話そう」 はまだ席に余裕がある。

生島

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