陽性者と家族の日記 “ひろき”

ARIGATO東京2020!

ひろき

コロナ対策の行動規制が撤廃されたロンドンでは、
街にだいぶ活気が戻り、人々の行動も正常に戻りつつあります。

先日、コロナ禍になって以来、初めて友人の家でガーデンパーティに参加しました。
2年近く会っていなかった友人らにも再会でき、
本当に久しぶりに大勢の人とのおしゃべりを楽しめました。

その中で話題になったのは東京オリンピック。
日本国民としては五輪関係の報道を耳にするたびに正直,げんなりしていました。
だって、あんなに五輪大好き国民が、今や五輪を目の敵にしてるようで。
マスコミの論調も日本人同士議論して批判しあい、結局どの道、誰も得しない、
正解のない不毛な議論が続いているように見えました。

両親の世代が経験した高揚感やレガシーを経験したかったのですが、
みんなが思い描いていた未来、納得する形での開催にできなかったのは本用に残念です。

そんな中、今回のガーデンパーティーでは唯一の日本人として、
五輪開催のお礼とお祝いの言葉(東京五輪は成功した、というのがイギリスでの受け止め)
をいただきました。

パンデミックで楽しみがない中(特にロンドンは4ヶ月間のロックダウン)、
感動と娯楽を提供、と受け止められているようです。
また、日本人が犠牲を払いながらも、
大変な状況下、何のメリットもないオリンピックを律儀に開催、
一番がっかりしたのは日本人、
と日本の状況を慮ってくれました。

こういったコメントを聞くと、私個人は五輪に何の関係もないのですが、
同じ日本人として誇らしく感じました。
そして、アスリートの方々やボランティア、
医療従事者の方々にあらためて感謝したいと思います。

クロスボーダーミーテイングが初開催

ひろき

クロスボーダー・ミーテイングが初めて開催され、
私もイギリスからオンラインで参加しました。

自分が参加している他のミーティングでの会話が企画発案につながったので、
参加者がいるのか少し不安だったのですが、
なんと計12名(正確でなかったらごめんなさい)もの方が参加してくださったようです。

色々なレベル、行先、事情で海外生活に興味がある方、
またすでに海外に住んでいる方が参加されていたので、
本当に刺激と元気をもらえました。
皆さん、海外に行こうと思った時点ですでに偉いのに、
病気を抱えてまで、というのはすごい行動力やチェレンジ精神だと思います。

そういう方が増えるということは、それだけ治療方法が進化したということ、
そして社会の風潮や陽性者の意識が変わってきたということだと思います。

陽性者が海外に移住する、というのではなく、
海外に移住したい人、もしくは移住した方がたまたま陽性者だった、という印象でした。
陽性であることを人生の前面に押し出すのではなく、やりたいことが先にあって、
陽性であっても、どうにか実現させたい、または実現させた、
という前向きなパワーを感じました。

イギリスで観戦する東京五輪

ひろき

いよいよ待ちに待った東京五輪が開幕しました。
イギリスでもBBCが連日、競技を中継しています。

実は開幕前、気持が落ち込んでいました。
五輪が大好きだった国民が、五輪が大嫌いな国民に変わり、
“おもてなし”をアピールしていたのに、五輪関係者の外国人が街に出ると
マスコミが告げ口のような報道をするようになっていたのが、
見ているだけで辛かったです。

五輪開催の是非を問う議論でお互いをけなしあうのも、
感染拡大して苦しむのも、中止の違約金を払うのもすべて日本人。
結局、どちらを選択しても誰もがハッピーではない、何の得もない、
というのがやるせなかったです。

母親から64年の東京五輪の話はよくきいていたので、
自分たちの世代のレガシーになることを期待していたんですが…。

蓋を開けてみたら、日本人アスリートのメダルラッシュで、
列島は大いに盛り上がっている、とのこと。
私も競技ルールさえわからないのに、
アスリートのインタビューを見ただけで涙が…。

お祭りの要素と観客を省いたことで、
結果的にアスリートと競技に集中できるようになったのは、
よかったのかなと思いました。

コロナ禍の診療

ひろき

パンデミックが始まってから、1年以上経ちます。
この間、診療はすべてオンラインで行われています。

イギリスの場合、国民健康保険制度に加入すると、
無料で治療と診察を受けられ、HIVの治療薬も無料で処方されます。
無料なせいか、血液検査と診察の間隔が、
ウィルスが検知不可能レベルの場合、半年に1回のみです。
薬も、一度に6か月分処方されます。

コロナ禍になってからは、医者の診察がすべてオンラインになりました。
半年に一回、医者の診察をZoomで行います。
個人的には対面式よりは若干、話にくい雰囲気に感じます。
これは、微妙な間や会話のタイミングがずれるので、
会話を早く終わらせたり、雑談しにくく感じるからだと思います。
ただ、本当に話さなきゃいけないことはちゃんと話せますし、
相談や質問もできるので、特別困ることはありません。

血液検査は病院にいって、看護師の方にしてもらいます。
その際、採血や血圧のチェックなど、
簡単な検査もしてもらいます。
処方箋は病院の薬局での引き取りか、
業者によるデリバリーを選べ、
私は在宅勤務なので自宅へのデリバリーを選んでいます。
これだと、薬局で待つこともありません。

考えてみると、時間的な制約が軽減されるので、
患者側のメリットも大きいです。
もちろん対面のコミュニケーションも大事だと思いますが、
リモート診療が選択肢にあると便利ですね。

ワクチン接種で分かる不都合な真実

ひろき

ワクチン接種はイギリスでも日本でもホットトピックになっています。
私は、なるべくワクチン接種に関する話題は避けるようにしています。
というのも、陽性者特有の事情があるからです。

イギリスの場合、陽性者が優先接種の枠に入っているため、
同世代よりも2か月ぐらい早く接種完了しているためです。
通常は年齢順に接種するので、自分の年齢の時期よりも早く接種すると、
医療従事者でない限り、あきらかに何らかの基礎疾患を抱えていることがわかってしまいます。

で、これを隠すのが結構、難しい。
1回目と2回目の接種がイギリスでは12週間空くので、
これも計算しないと、齟齬が出てきます。
また、あとから39歳以下へのアストラゼネカのワクチン接種を停止したせいで、
優先枠でアストラゼネカを接種した39歳の私の説明と齟齬が出てきてしまいました。
また、あとから1回目と2回目の接種を一緒に予約できるようにシステムが変わったので、
その点でも、私の説明と矛盾してしまうのです。

ついに、友人に陽性であることを打ち明けることになりました。
仲の良いゲイの友人なので、特に問題はなかったのですが、
ワクチン接種で分かる“不都合な真実”には、神経をすり減らします。
ちなみに、強制ではないですが、会社にも接種の状況を報告することになっており、
その時にも気を遣うことになります。

日本で陽性者が接種の優先枠に入るのか把握していないのですが、
接種会場で陽性であることを告げるときに、
地元の会場だと周囲の目を気にすると思います。

陽性だけでなく、基礎疾患に関すること、そして接種するかしないかは
とてもセンシティブなことですので、
ぜひ、気配りのある制度設計になることを期待します。

2回目のワクチン接種

ひろき

先週、ついに2回目のワクチン接種を受けました。
イギリスでは1回目と2回目の接種の間隔を長めに12週間としているので、
1回目から約3か月たったことになります。
この12週間という期間は、ワクチンの効果をより高めるためというのと、
まずは1回目のワクチンを多くの人に接種することを優先させるためだそうです。

1回目と同じように連絡が来て、希望の日時を予約し、
同じクリケット会場で再びアストラゼネカ・オックスフォード大のワクチンを接種しました。
噂によると、2回目の接種のほうが副作用が重くなるそうなので、
当日はやや緊張しました。
そういわれると、2回目のほうが注射の時間が長くて、
ワクチンの量も多いような……ただ、これは思い込みかもしれません。
さすがにちょっと心配で、接種のあと10分間くらい、
休憩スペースで様子を見ることに。
が、今回も副作用を感じることありませんでした。

2回目の接種を終えると、だいぶ気持ちが楽になりました。
緊張感が収まり、前向きになることで、行動が変わり、
そしてまた気持ちが軽くなっていく、そうなれたらいいなと思います。

ロックダウン解除

ひろき

イギリスでは4月初旬にロックダウンが解除されました。
私が住むロンドンでは12月中旬から実質的なロックダウン状態だったので、
約4か月間のロックダウン。
その間、美容院やレストラン、生活必需品以外を取り扱う店は閉まっており、
基本的には家族以外の人に会ってはいけない、家にいる、
居住エリアからの移動禁止というのがルールでした。

これだけロックダウンが長いと、解除されてもすぐに外に出よう、
人に会おうと思えません。
気持ちが外に向くのも、準備体操が必要なようです。
暗い穴から、恐る恐る出てくる原始人のような気持ちです。
ゆっくりでいいのかな、と思ってます。

ワクチン接種!

ひろき

2月中旬、テキスト・メッセージでNHS(イギリスの公立病院)から
ワクチン接種のお知らせが携帯に届きました。
「詐欺じゃないよね?本当だよね?」と思いながら専用サイトから接種日時を予約して、
数日後にワクチン(アストラゼネカ・オックスフォード大学のもの)を接種できました。
イギリス国内では、ファイザーのワクチンを接種した人もいるようです。

筋肉注射ですが、痛みはほとんど感じませんでした。
接種後は特に副作用を感じることはありませんでした。
筋肉注射の痛みは数日間残りました。

私は外国人ですが、イギリスの国民健康保険制度に登録しています。
この制度は長期滞在の外国人でも無料で利用可能で、HIVも無料で治療が可能です。
イギリスの接種にスピードが速いのは、この国民健康保険制度で、
接種対象の年齢や基礎疾患の有無などを把握しているのも一因にあると思います。

2月中旬だとまだ高齢者の接種の段階だったのですが、
状況(同年代の陽性者の友人も同時期に接種)から推察するに、
陽性者であるということで、早い時期に接種できたのだと思います。

接種に関して事前説明とかはまったくなく、注射を打つときに、
早口でアレルギーなどを質問されたのみ。
接種前後に注意することや、副作用については紙を渡されただけでした。

日本とは病院の制度や文化が違うので、比較するのは難しいですが、
ワクチン接種はスピードと数を重視、という印象でした。

2回目の接種を数週間後にまだ控えているのですが、
1回目の接種でだいぶ気持ちが軽くなりました。
また2回目の接種の様子をこちらに報告したいと思います。

オンライン発信者ミーティングに参加

ひろき

先月、ドキドキしながら、オンライン発信者ミーテイングに初めて参加しました。
コロナ禍でリモート化が進みましたが、海外に住む人間としてはオンラインイベントは本当に助かります。
尊敬申し上げている生島先生に10年ぶりに、そしてもう一人の日記ライター、なぎさのぺんぎんさんに
オンラインでお目にかかることができました(興奮!!歓喜!!)

こういったオンラインイベントに参加するのは初めてだったのですが、
皆さんに温かく話を聞いてもらい、逆に話を聞いて、勉強になったり、
励ましていただきました。
オンラインで国境を越えてつながりを持てるって、すごい時代ですね。

意外だったのは、細々と続けてる日記を読んでくださっている方がいらっしゃるということ。
いや、ちゃんと読者いると信じていましたが、実際に対面して実感する、というのが初めてだったので、
本当にうれしかったです。

思えば、12年ぐらい前に、地図を調べて高田馬場の駅から歩いて、
ぷれいす東京の事務所を訪れたんですよね。
最初はすごく緊張して、入居するビルに入るときも、おどおどしてて。
勇気を出して押したドアの先で、温かいスタッフの皆さんに会い、
ミーティングを通して話を共有できる利用者の方々に会って、
少しずつ、自分が置かれている状況を理解していったんです。

ぷれいす東京を通じてお会いできた方に本当に感謝、ですね。
またオンラインイベントに参加する予定なので、
他のライターの方にもお会いできるのを楽しみにしています!

何となく新年

ひろき

2020年の思い出といえば、ほとんど記憶がない、です。
クリスマスと年越しは、ロンドンで一人で過ごさなければならないので、
お祭り騒ぎのテレビはなるべく見ないようにしていました。

イベント感がまったくないと、正月気分もありません。
お雑煮だけ作って、ささやかなお祝いをしましたが、
こんな新年の迎え方は初めてですし、何となく新年、といった感じ。

思えば、昨年から、時間が不思議な感覚で流れていきます。
季節感も曜日の感覚も薄れていきます。
時間が止まったかのように感じることもあれば、
すごい勢いで一週間が過ぎていくように感じることも。

一生のうちで、こんな時間を過ごすのも最初で最後(であってほしい)だと思うので、
この感覚を楽しむようにしています。

皆さんが健やかで、幸多き一年を迎えられますように。