陽性者と家族の日記 “ニノ”

地方暮らし

ニノ

地方暮らしを始めて、暫くなりました。
最近ようやく、周りの風景を見渡す時間ができた気がします。

田舎の時間は東京のそれに比べ、緩やかに流れる。
よく人は言います。たしかに地方に来てから、ドラマの
「優しい時間」のような、時間の静止を感じる機会に恵まれます。

でもその一方で、街を歩いてみると、時間と共に周りの風景が
確実に押し流されている事に、ひどく気付かされます。
かつて友達と足繁く通った駅前は、全てシャッター街に。
商店街の雑踏の流れは、車の静かな流れに変わっていました。

案外、時の流れの速さを痛いほど感じさせられるのは、
東京よりも田舎の方なのかもしれないな。

最近は、そんな風に感じています。

キツネが言った奇妙な事

ニノ

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
           かんじんなことは、目には見えないんだよ」

さて、いよいよ日記を書き始めました!!それで最初くらいは、
自分の陽性について簡単に書こうかな、って思います。

正直に言って僕の場合、日常生活では自分の陽性を
あまり意識しないです。それだけ陽性は、僕のアタリマエな
生活の一部なのかもしれません。

ただ、それでもやはり陽性によって「ジブン変わったかな」、
ということもあります。それが、最初の一文です。

これは有名な絵本の中で、キツネが言う言葉なのですが、
今ならこの言葉の意味が理解できる気がするのですね。
「もし自分が陽性ではなく、ここでもマジョリティの立場で
あったのならば、今でもこの言葉にピンと来なかったかも」
そう考えることが、今では一番怖いです。

——–
僕の親は、僕が陽性になったことをやっぱり負い目に
感じているのかな、そう感じるときがあります。
またカミングアウトした親友も、私以上に私の気持ちに
思いを巡らしてくれ、いろいろ気を使ってくれたりします。

でも案外、今の僕にとって「陽性である」ってことは、
そんな良いとか悪いとかそういう問題なんかじゃなくて。
強調する必要はないけど、でも確かにジブンを創り壊してきた
大切な生活の一部。    最近はそんな気がします。

はじめまして

ニノ

こんにちは。
みなさん、はじめまして。

この度、新しく日記をつける事になりました。
名前は、ニノといいます。
大好きな映画の人物から何気なくとった名です。

できればこれから、僕の小さな日常風景や、
ふと思い巡らしたことの跡を切り取って、
簡素な言葉でここに書き留めてゆけたらいいな、
って思っています。

もしよければ、人生の大切な時間をほんの少しだけ
僕に分けて頂き、この日記に目を通して貰えれば
すごく嬉しく思います。

ゆっくり、自然体で頑張りますので、
どうかよろしくお願いしますね!