陽性者と家族の日記

もうひとつ、幸せ。

つばさ

 久々に会社に出た。
 昨日の日記にも書いたけど、アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)で、
土日も含めて一週間まるまる休んでいたので、仕事が山のようにたまっていた。

 疲れたなあと思いつつ、ランチタイムになり、
いつものメンバーでランチを食べようとしたら
そのなかの1人の女性が、かばんから何かを取り出して、
「これ、できるだけは切り取っといたから」と私に渡してくれた。

 何かと思えば、ICAAPに関する新聞記事の切抜きだった。
「つばささんが参加するって言ってたから、気になって毎日見てたのよ。
ニュースもいろいろとりあげてたのを注意して聞いてたんだ」と彼女。

 ICAAPに行くとは言ったけど、どうして私がそれに参加するかは
もちろん言ってない。それなのに、こんなに気にしてくれてたなんて。
彼女の新聞の切り抜きがきっかけで、お昼休みはみんなで、
会議のことやHIVのことをたくさん話した。
もちろん、今回はカミングアウトするつもりは全然なかったけれど、
セクシュアリティやセックスなど、これまでそのメンバーで話したことが
全然ないことも含めて、いろんな話ができた。

 また、昨日の日記の繰り返しになるけど、会議のおかげで、
またひとつ、かけがえのない時間を持てた。幸せだなあって思った。

 

 

カミングアウト

つばさ

 昨日まで神戸でアジア太平洋地域エイズ国際会議に参加してきた。
HIV陽性者として、こういう会議に参加するのは初めてだったので、
すごく緊張して行ったのだけど、いろんな国々の人たちと出会えて、
有意義なワークショップに参加できて、自分の想いやスタンスが
とてもクリアになった。

 で、今日は家に戻ったのだけど、娘の参観日だったので、会社を休み、
午前中、学校に行ってから、お母さん友達2人と一緒にごはんを食べた。
2人は趣味を通じて仲良くしている友人でもあり、
いろんな話をしてきているので、初めは昨日までのいろんな体験を、
「自分は仕事で行ってた」という感じで話していたのだけど、だんだん、
「こんなんじゃ、言いたいことの半分も伝わらない!」と思って、
「実は私自身もHIV感染者なんだよ」と伝えることになった。

 2人とも最初はなにが何だかわからなかったみたいで、
ただただびっくりしていたのだけど、とくに過剰に反応することもなく、
私の話を聞いてくれ、ちょっとずつ気を遣いながら、
いろんなことを私にもきいて、デザートのアイスが溶けるのにも
気がつかないくらい、たくさん話をした。

 これまで学生時代の友人達にも自分のHIV感染を伝えたりしてきたけど、
いくら仲良くなっても地元の友達には絶対に言わなかった。
生活している地域には絶対に知られたくないということもあったのだけど、
今考えてみると「いわゆる普通の主婦の人たちにはわかってもらえないかも」
と自分で勝手に思い込んでいたのかもしれないな。
実際は全然そんなことないにもかかわらず。
そんなふうに思っていた自分がすごくはずかしいなと思った。

 会議のおかげで、世界中のPLWHAと会い、友達になれたけど、
かけがえのない友人を日本で、地元でも得ることができた。
私って幸せだなあ。

たんぽぽ

先日、今度イベントをする○の浦と○○島へ観光パンフレットを取りに行ってきた。
4月にも行ったのだが、随分と変わっているところがあり、
諸行無常だなぁ~、と思ったりした。

お気に入りの場所なので、イベントの下見と称しているけれど、
私自身の気分転換がホントのところかも…。

何度も行っているのだけれど、また、新しい発見があった。

○○島の島の向こう側まで出て、
入り江で波を見ながら、波の音を聞きながら、ボーっとし、
違う道から島越えを出来ないだろうかと、山に向き直った時、
海に迫った山の木々に、波の打ち寄せる音が木霊して、
山全体が鳴っているのに気が付いた。

寄せては帰っていく波を見ながら、
胸で波打ち際の音、背中で山の木霊を聞きながらしばしボーッ…。

地球の窪みの中にスッポリと包まれたような、
不思議な感覚を味あわせていただいた。

○の浦の○○ホテルの最上階の茶店から、
海の上に蜃気楼のような町並みを見た。
現実の船が、蜃気楼のように映っている船に重なりながら通り過ぎていく。
光のプリズム現象だと、茶店のお嬢さんが説明してくれる。
いつも見えるわけではないらしい。

そのお嬢さんが「龍宮城」なるモノを見せてくれた。
海の中に、城のように見える屋根が2つばかり、家ごと沈んでいる。
何のことはない、海のすぐ側に立っている家が海の中に映っているのだが…。
「見ていると、吸い込まれそうでしょう」
と、言われるように、その見えない底を覗き込んでしまう。

「面白いねェ~。今生きているのが現実なのか、
死ぬと今の現実がなくなってしまう、そこにあるのが本当なのか。
何だか、そんなことを思ってしまう…。」

私にしては、随分と忙しい旅だったけど、
旅に出れば、生活の流れを変えることが出来る気がする。
旅に助けられながら、少し方向性が変わった新しい流れの中で、
新鮮な時を紡いでいこう。

患者思い(笑

蔵人

少し前のガジさんの日記で、扁桃腺の話が出ていたので私もそれに絡むことをひとつ。

私も以前に扁桃腺の摘出手術を受けた。丁度4年前の今頃の時期である。手術を受けた病院はいつものところ、つまり先々月の日記に書いた「整形外科外来がレントゲン室から一番遠い」とっても患者思いの病院に一週間入院した。
で、手術も術後経過も比較的順調だったが、入院中の一番の思い出はそこでの病院食である。
手術した日の夕方から食事は出されたが、最初は重湯中心のほぼ流動食である。なにせのどに思いっきりメスを入れた直後だからろくなものが食べられなくて当たり前。そしてトレイの片隅にコップがあり、中に葡萄ジュースが入っていた。

何の疑問もなくひと口飲む。
・・・・・キエーーーーーーーーッ!!!!!

卒倒しそうな位に傷口にしみわたる。普段飲むときには気が付かないがあの酸味は傷にはかなりキク。未体験の人は例えば口内炎だったとして生パイナップルを食べてしまった時のその痛みを想像して欲しい。あれがのど中に拡がるのである。
・・・手負いの患者にこんなもの出すとは・・恐ろしい所だ・・・
そう思ったが、まだ甘かった。

次の日の朝食。
トレイの上にはオレンジジュースが!!!
さすがに手を伸ばす気になれなくてトレイを片付けにきた看護師に「こんなの飲めないよ」と文句を言ったら代わりに牛乳を持ってきてくれた(あのときの看護師さん有難う)。
その日の昼、HIVで掛かっている外来へ点滴台をずるずる引っ張りながら暇つぶしに行き、そこにいたコーディネーター(体育会系女子)にジュース2連発の話をすると、
曰く「うちの病院も、なかなかやるわね(笑)」
おい・・・・・・

firefly

ガジ

週末、近くの水田に嫁さんとホタルを観にいった。
ボクの住む町もいくら地方とはいえ、
少しは開けてきているので
残念ながら、ホタルがたくさん舞うような
幻想的な風景は期待できないけど。

たまたま、他に誰もいなかったせいか
暗闇でポツリポツリと点在する光を探し
「あっちで光った!こっちで光った!」と
二人が競うように一応、抑えめに歓声をあげて
しばし、の~んびりした時間を過ごした。
(抑え気味のつもりが結構、大声あげてたかも?!)

梅雨の合間の晴れた夜に、
いつもとは違う時間を過ごした気がする。
雨の季節は少し憂鬱だけど、
こういう楽しみで気分転換もいいかも。
今度はアジサイを観にいきたいなぁ。

仕事やめました。

朱美

5月31日で、仕事やめました。仕事から解放されて、今は、ゆったりした時間を過ごしてます。なんて幸せなんだろう。ストレスが一杯タマッテ、カリカリしていた自分が嘘みたいです。
これからは、今まで出来なかった事を、ゆっくりやっていこうと、思ってます。

異文化体験ツアー

蔵人

ちょっとした用事で○○○市へ相方と日帰り旅行した。
以下はその○○○での不思議な体験を書き綴ります。

①金シャチにタッチ!
相方(注:○○○市在住暦あり)が是非行きたいというので開催中の○○○城博へ赴く。
○○○城は金シャチで有名なのだが、それがいま修復だか何かの加減で地上に降ろされていてしかもそれに触れるらしい。

(私: そ れ が ど う し た )

会場は悪天にもかかわらず結構な人手。金シャチタッチは60分の待ち時間らしい。それでも相方はどうしても触りたいらしくイソイソと行列に並ぶ。
待ってるうちに雨足が強くなってきた。それでも前後の行列の人々は諦めずに他愛もない話をしながら少しずつ前に進む。後ろの家族連れはおじいちゃんが孫に「金シャチには雄と雌があって、ちゃんと見分けがつくんだ。どちらかがね・・・」

(私: お お 、 幼 少 よ り 金 シ ャ チ 教 育 だ !)

1時間もしないで金シャチにはタッチできた。感慨深げにタッチしている自分の周囲の人々。そうか、そんなに嬉しいんだ。よかったねぇ。

(私: 感 想 ? 別 に ・ ・ ・ )

②台湾ラーメン
なるモノが○○○には存在するらしい。但し、台湾には無さそうである。なんだそりゃ。
元祖台湾ラーメンの料理屋に入って件のものを注文する。
ひき肉が入っていて辛い、という話を聴いていたので坦坦麺の様なものを想像していた。意外なことにスープは透明。しかし、上には真っ赤な唐辛子の刻みと大量のニンニクが盛られている。
食べる。想像通り辛い。しかし卒倒するほどでもなく平静を装いながら食べれる範囲である。それ以上にニンニクの香りが辟易する。麺は固めで味噌煮込みを彷彿とする生っぽさである。
正直言って、美味くない。二度と食べる気がしない味である。
こんなものが名物になってしまうなんてナg・・失礼、○○○の食文化って一体何なのだろう。

今まで結構この街には立ち寄っていた筈だが、改めて文化の違いを肌で感じた旅でございました。

ナマケモノで、楽楽で。

たんぽぽ

タンポポさんは、ナマケモノです。
前の書き込みから、随分日にちが経ってしまいました。
けど、忘れてないだけ上々。
ハードルが低いと、楽でいい。

4月の末にイベントを一つ終わり、
7月半ばのイベントの準備に入り、
講師とスタッフの手配、チラシの作成。
近しい方々にチラシを手渡したところで、
息切れがして、動かなくなった。

チラシの郵送や、メールでの送付を気にしながら、
「ハリー・ポッター」第5巻の上下を読み始めてしまった。
1週間ほど、横になったり座ったり、
ちゃんと寝ないで、ちゃんと食べないで、動かないで。
2度読みするほどでもないのに、2度読みしてしまった。

時々、ボーッと起きだして、テンション低いまま仕事へ。
遅刻しないで行くだけ、上々。基準が低いと、楽でいい。

ハリー・ポッターの魔法の世界。ありえない世界?
けど、リアリティ溢れている。
作者は、6、7年がかりで書き込んで、
その世界が、作者の今の人生の多くを占めているのだろうな。

フッと気分がそがれる時って無いのだろうか?
こんなことしてて、何になるのだろう? って。
そこからまた、自分の意欲を繋いでいくのって難しいよな。
役に立っても立たなくっても、人のためにと言いながら、
ホントは自分を支えているのかも…。

さぁ、私も自分を支える仕事に戻ろう。
ハードル低く、楽楽で。

Once a day

ガジ

今月の通院日は結構まとまった時間、
薬剤師さんと話をする機会があった。
自分はクスリを始めた時に次から次へと副作用に
悩まされた経験あり、(重篤なものではないが)
「クスリを変えること」に、新たな副作用の出現を懸念して
二の足を踏んでしまうところがあった。

話をしてみて薬剤変更に対し、もう少し気軽に
考えてみるのもいいかもしれないと思い始めた。

最近の流れのである「一日一回処方」の情報を聞き、
「昼の服薬時に会内で気を遣うことから開放される」のは
魅力的かも?!と前向きに考え始めた。
もちろん、飲み忘れには更に気を配らないといけないが。

今のクスリを飲み始めてかれこれ2年半近く。
自分を生き長らえさせてきた
今の処方を変更するのは
遠い未来じゃないのかもしれないかなぁ。

いそぢん しゃわ~

ガジ

週末に風邪をひいた。
金曜夕方には「風邪引き予感」の兆候を感じていたが
日付が変わり、サッカーを見る前の時間には
既にカラダがヒットアップして、計った体温は38。5℃。
懸命なイソジンのうがいの成果もむなしく
翌朝には喉もやられて。

日曜の夜、熱は治まりつつあったけど
翌日は会社を休めないので
かなり濃いめのイソジン水溶液でうがいをしたら、
あまりの刺激の強さに、むせ返って
勢いよく霧状に噴き出してしまった・・・・
(しかも鼻からも → 天然鼻うがい状態)
おかげで喉も鼻もしびれたけど
その味と刺激で、ふと3年くらい前に扁桃腺を
切除して入院した時のことを思い出した。

自分の場合は、昨日、蔵人さんの書かれた
キレイな記憶の回想とは程遠いけど、
同じ系列にエントリーしていいでしょうか?

そんなキヲクに想いを馳せ、
白い壁紙にまで広がった一面の茶褐色のシミを
嫁さんに文句を言われつつ、掃除しながら
「極端なことはやめよう」と反省しました。