陽性者と家族の日記

帰り道は遠回りしたくなる

何十年かの人生を生きてきて

人よりずっと遠回りをしてきたと思ってきました。

 

でも ムダだった、とか 後悔している…という気持ちはありません。

もっと楽に行ける近道はあったのかも知れないけど…

近道の存在を知らなかったのか…

知っていて あえてそちらを通ろうとしなかったのか…

よく分からないけれど…

(たとえ遠回りしたとしても)結果的にたどりついて

今 自分がいる場所の景色が やっぱ最高だな! と思うのです。

 

つい最近、自分にとって 生まれて初めて経験したできごとがありました。

正直言って、HIVの感染を知った時の何百倍、

いや とうてい比較なんかできるようなレベルではない衝撃…

 

こんな結果になることが分かっていたなら、もっと楽で

安全に行ける近道を選んでおけばよかったのかな…

今回はさすがに….楽天的な僕でも そんな思いが

頭をよぎらなかったわけではありません。

 

だけど…どんな道を選ぼうと…

いや たとえ本意で選んだわけではない道だったとしても…

その先にも 続く道があるんだなあって。

 

”運命の分かれ道”という言葉があります。

しかし 最後の目的地…運命?がどこなのか…

僕たちはだれ一人 知らされていません。

自分では「近道」と思っていても 実は ゆるやかに蛇行した道を

遠回りしているだけなのかもしれない。

 

大切なのは いまこの瞬間 自分がいるこの場所の風景を大切に

その先に続く道を恐れないことなんだろう、と感じています。

 

悲しみって 涙を流せるかどうかでは決められない

笑顔の陰で ずんと重く 黒く澱んで動かない

ごまかせそうで 絶対にごまかせない

とても手ごわい感情だって分かりました。

 

それでも…

どんな結末が待っていようと 人生は一度きり。

どうせなら (^^) をたずさえて歩いて行きたい。

 

僕にとっては 人生において最大の岐路に立っている「現在」…

たとえ時間がかかっても 未来へ続く道の彼方に

静かな暁がおとずれる瞬間を 待っています。

 

 

なぎさのペンギン

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