つばさ/女性 30代後半 東海地方
地方に住んでいるHIV陽性者といっても、私がHIV感染を知った12年前とはだいぶ事情が違っているなあと思います。一番の違いは、情報が得やすくなったことです。
今はインターネットがあり、NGOやNPO、そして陽性者個人がウェブサイトを持ち、欲しいと思った情報はたいていすぐにインターネットで検索して拾うことができるし、同じ立場の人とネット上で交流することもできます。
でも、自分がそれを利用しているかというと実はほとんどしていません。もちろん、買い物や旅の予約などネットは活用していますが、 HIVに関しては「自分がこの県で唯一のHIV 陽性者じゃないか」と思ったほど孤独だったときから、少しずつ対面で知り合った人たちと今もつながりがあるので、今の私の状況ではネット上の情報や交流が必要ないからかもしれません。そういう友達とメールで連絡ができるという点では、インターネットはありがたいです。
ほかの部分ではまだまだ、地方(とくに田舎)に住んでいると HIVに関しては不便&不利だなあと思うことが多いです。私の住んでいるところのように小さい町だと、近くに拠点病院があっても医者や看護婦が知り合いかもしれないと思って行けないので、結局遠くの病院に通うことになってしまいます。しかもそうすると、選択肢があまりないのです。障害者手帳も、ほとんどみんな知り合いみたいな役場には、代理であれ郵送であれ申請できません。面白そうな会があっても、すべて東京か大阪で開かれるから、何万円も交通費をかけて参加することはできません。
でも逆に、そういう制約があったからこそ、自分のコミュニティのなかの友達と、自分がHIVに感染しているということも含めて、何でも話せる関係を作れてきたのかもしれないとも思います。