ぷれいす東京 専任相談員 生島 嗣
2000年11月にぷれいす東京が行ったアンケートによる調査(注)では、東京都内の拠点病院に通院するHIV陽性者156人が回答してくれました。その内容からすこし紹介します。
感染の告知を受けた当時に仕事をしていたのは、全体の87.9%の人でした。回答者は、65%が4年以内に告知をうけた人で、35%が4年以上前に告知を受けた人でした。調査を行った、2000年11月では、77.5%(休職を含む)が仕事を継続していましたが、それ以外に「治療に専念」という人も9%いました。
過去1年間に就労継続の困難さを感じた者は23.3%でした。その理由としては「身体状況の変化」、「就労と通院の調整のしづらさ」、「職場で感染の事実が知られる恐れ」、「精神的な不安定さ」が多くをしめていました。他に「入院が必要になったため」などがあげられました。
告知後に、HIV感染が直接・間接の原因となり転職・退職者した人は33名いましたが、「自分で変えようとして」18.2%、「仕方なく/そうせざるを得なかった」76.8%でした。告知直後の相談場面においては、具体的な社会生活の継続に関する情報提供が不可欠である。
ぷれいす東京に相談してくる人のなかに、病気がわかるとすぐに仕事をやめてしまう人がいます。しばらくして、精神的に落ち着くと、自分の行動を振り返って、やめなければよかったと後悔している人もいます。どんな仕事でも、HIVに感染していることで問題になる仕事は非常に少ないので、まずは冷静に考えることをおすすめします。もちろん自分の体調保持のために仕事がどう影響するのかは冷静に判断する必要がありますが。
仕事をやめるべきか迷った時には、すぐに仕事をやめないで、次の予定がたってからでも遅くはありません。まずは情報や知識をあつめましょう。必要な時には、ぷれいす東京にぜひ連絡してください。
(注)都内の拠点病院18施設の協力のもとに、質問紙調査票を配布し、156部の回答を回収しました(回収率67.0%)。調査期間は2000年11月~2001年1月。回答者は男性が93%をしめていました。全体でみると30代38.5%、40代23.7%、50代20.5%、20代12.2%となっています。また感染経路は性的接触が84.6%をしめていました。