サンゴ/30代 女性
きっとパニックだと思いますが、心を落ち着ける時間を持てるだけ持って、その後、HIVについての知識、自分の現在の状態、そしてHIV+の女性の妊娠と出産についてなど、充分な情報を集めて欲しいと思います。そのうえで、生むか生まないか(生めるのか生めないのではなく)を決めたらいいと思います。
HIV+の母親として、今の一番の心配は子どもに感染させてしまわないかということだと思います。現在の日本の医療では、適切な治療をうければ、感染の確率を数%まで下げられると聞いています。ただ、データ的にはそうでも、自分的には、感染するかしないかの2分の1という感じなので、精神的にとても苦しいです。
私は妊娠、出産を通して自分のHIV感染を知りませんでした。出産数ヶ月後に、あるきっかけでHIV+ということがわかりました。当然、妊娠中の抗HIV 薬の投与もなし、自然分娩、そのうえ母乳も与えていました。当時、感染する確率は30%と言われました。
逆にいえば、妊娠中は何も不安を持つことはなかったのですが、その頃はまだ、子どもの感染が確定するのは生後1年半と言われていたので、その期間が本当に地獄のように長かったです。
また、すごく低い感染率といっても、ゼロではありません。感染していた場合の状況も丸ごと受け入れられる覚悟が必要だと思います。私も結果待ちの期間で、心の整理をしようと一生懸命でした。つらかったけれど、必要な時間だったと思います。
私の場合、子どもは感染していませんでした。そうなったらそうなったで「私がもしも早く死んだらこの子はどうするんだろう」という新たな不安にさいなまれました。でも、それから5年以上たった今、私が思うことは、子どもは、というか生命はたくましいです。うまく言えませんが、うまれてきたあとは、そのこの命はその子のもの。私は私なりにできることをすればいいんだと今は思っています。