アルチンゲール
僕は、看護師養成過程途中でHIV感染を知りました。なんか、患者さんの健康管理を行う側の僕がHIVに感染してしまったことはとてもショックでヘンな感じがしています。
なぜかというと、例えば婦長さんから「〇〇くん、あの患者さんは〇〇感染症だから、気を付けてケアーしてね。」と言われると、なんだか「〇〇くん、あなたはHIV感染しているから患者さんをケアーするときに気を付けてね」と言われているような感じがするからです。アメリカのドラマのERにHIV感染したナースが登場します。彼女は感染の事実を同僚にカミングアウトしたときに、上司から「“ナースとして逸脱行為”があると困る」と言われました。(逸脱行為とは例えば、患者さんに自分の血液を注入するとか・・。)通常業務でHIVポジティブナースが患者さんへ二次感染を起こす確率はほとんど無いのが現状ですよね。だけれども倫理的に僕たちが臨床で働くことに??を抱くのです。
こんなことがありました。
小児科実習の時に受け持った、脳性麻痺の男の子に指を噛まれて、その男の子の口に僕の血液が入ってしまった事がありました。カミングアウトしていない僕は一人で、その事実と対処方法を考えました。最大の不安はそのこがHIV感染の危険が少しでも有るのではないかということで、自責の念として、カミングアウトせずに臨床実習に出ていることでした。で、僕が出した結論は、“何もしない“でした。まぁ、自分に都合の良い結論で有った訳ですが。その時の僕のこじつけは「限りない少ない感染の可能性を告げて、家族に不安感を与えることは良くない」でした。
今僕は、将来の体力を考えて、保健福祉の道に行こうとしていますが、この出来事は僕にとってはショックな出来事だったのです。