パーティ

「忘れる、忘れない」オヤジ(50代/男性/服薬歴15年)

感染者は、ポジであるという事実を忘れてはいけないが、それと同時に、つかの間忘れないとハードな実社会で闘えないというジレンマを抱えている。いつも感染のことで思い悩んでいては、仕事ができないからだ。
今回、5年ぶりでイベントに参加させていただいた。しばらくぶりのオヤジの再来でも、懐かしがってくださるスタッフの方々の笑顔が心にしみる。
パーティがたけなわを過ぎた頃、ネスト・プログラムの様々なミーティングの紹介があった。なんと、ミーティングの多様さよ。この流れは、色々な理由によるのだろう。しかし、大きな流れとしては、「死」から遠ざかったことによって、余裕が生まれ、感染者に対応するイベントが多様性を帯びたのではないか(と勝手に想像する)。
15年前は、亡くなっていった近親者たちの思い出が記憶に生々しく残っていたり、自分自身が生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされていたり、飲みにくく回数の多い薬の服用や強い副作用に悩まされたりで、概ね医学上の問題で、感染者もスタッフ陣も右往左往していたように思う。
……そんな時代が去って、現在では、ある職種に限定されたミーティングや恋人同士の会が催されていたりもする。それは、結構なことだ。しかし、あの時代を生き抜いたオヤジとしては、たまにイベントに参加させていただくことで、「楽しみ」と同時に、日々実社会に没入している自分を、感染という現実に呼び戻すための、「戒め」ともしている。

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