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「HIVと性の教育 UPDATE! いまどきのエイズ・性感染事情と新たな取り組み」報告

東京HIVと性の教育セミナー2018

東京HIVと性の教育セミナ−2018

「HIVと性の教育 UPDATE! いまどきのエイズ・性感染事情と新たな取り組み」

2018年11月3日(土・祝)に日本性教育協会セミナールームで、参加者30名でセミナーが開催されました。

セミナー前半は三人三様のトーク。まずは、池上が味もそっけもない冊子の文章にこめられたエイズのスティグマ解消への思い、短い文章の根拠となる画期的な最新情報とその意味を改訂委員の立場から熱く語りました。ついで加藤が、当事者外部講師としての経験から、生徒に伝えたい当事者の思い、教職員との連携の課題などをソフトにしっとりと語りかけました。最後に生島がLGBTを対象にした大規模調査のスライドを駆使し、LGBTのかかえるメンタルの課題をやさしく、わかりやすく、丁寧に紹介しました。

かなりの情報がつめこまれましたが、後半は参加者どうしの語り合い、出会いと交流の時間です。生島の絶妙な司会でグループごとの語りの結果がみるみる横に広がり深まり、ほのぼのながらパワフルな雰囲気につつまれました。

外は秋晴れの祝日でしたが、半地下のセミナールームもまた充実の秋の午後でした。
(報告:池上)

参加者感想文とアンケート自由記述

「ぎゅっ!と詰まった濃い時間」SACO

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 参加者30人限定ということで、体調万全、気合を入れて参加しました。前半部分では、改定された「教職員のための指導の手引き」のまえがきと本文についてキーワードを教えていただき、凝縮された本文の一つひとつの言葉の裏に、文章化できなかった意図とリアルな現状がたくさんあることを知りました。後半はグループワークと会場全体での共有。学校に限らず保健所・行政・福祉施設その他、様々な立場で実践されている方々と意見交流できたことは大きな刺激でした。性に関する教育のベースとして、多様なセクシュアリティを踏まえる必要があることを実感しました。心で繋がる前に体が繋がってしまう若者たちがいる現状。そして私が毎日関わっている生徒たちは、簡単に人とネットで繋がれる時代にいます。学校でネットやSNSトラブルによる生徒指導がおこるたび、子どもたちに「人権感覚」をどう伝えていこうか考えさせられていますが、今日のセミナーを通じて「関係性に着目する視点」など多くのヒントを得ることができました。養護教諭は子どもたちに継続的に関われる立場。目の前にいる子どもたちへの言葉かけ一つひとつを大切にしたいと思います。

「情報も考え方も指導案もUPDATE!」中村美智恵(中学校養護教諭)

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 私は毎年3年生に「性感染症とエイズ」の授業を実践しています。今回、学習指導要領改訂によりHIV予防教育がどうなるのか知りたくて参加しました。「教職員のための指導の手引き」が出来上がるまでの経緯と上手な活用方法を知り、現場の授業実践に活かすことができそうです。また、今まで私が持っていた情報もイメージも「HIV感染者は病弱で性行動も制限され、日常生活で苦労している」というものでしたが、今回加藤さんから感染者の生活を聞き、私の情報も考えもかなり古いことがわかりました。後半のグループワークでは、異業種の方と一緒に「学校現場での実践アイディア」を考えました。学校現場にはまだ性に関する指導や外部との連携に大きな壁がある中でも、様々な業種が繋がっていく事の必要性と、それは可能だという事を確かめる事ができました。10年ぶりの学習指導要領改訂に合わせ、今回の研修で私の情報も考え方も指導案もすぐにUPDATEしなければ!と強く思いました。

「自らを検証し、性教育2.0へUPDATE」えんちゃん(都内保健所 保健師)

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本日は、多面的に「性教育」をupdateすることができました。特にグループワークでは、様々な職種の方々と意見交換する機会となり、多くのことを感じ・学ぶことができました。
感染経路や致命率等の医療的側面からみれば、HIV/AIDSは既に「性感染症のうちの1つ」と言える時代になっているはずです。しかし、そうなっていないのはHIV/AIDSの抱える歴史や偏見、無理解が社会に根強く残っているからだと再認識させられました。
私の経験から、近年の中高生がHIV/AIDSに対して恐怖や偏見を持っていることは少なく、むしろ、エイズパニック時代を経験した40代以降の学校教育者のほうが偏見と無理解を引きずっていることが多いと感じます。
そうした意味では、性教育に携わる私達は、本日のようなセミナーに参加するなどして、常に自らのなかに偏見や無理解がないかを検証し、性教育をupdateすることが重要なのだと思います。
これからの性教育では、性に関するメディアリテラシーを高める教育や、性について自ら考える機会(グループワーク・ピアエデュケーションなど)の提供、自分と相手を大切にする性(SEX)に関するアサーティブなコミュニケーション(合意形成)についての教育、LGBTなど性の多様性に関する教育などを充実させていかなければならないとセミナーを通じて感じました。
とても有意義なセミナーでした。ありがとうございました。

「やっぱりライブは刺激的」discovery(中学校所属)

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初めて参加させていただきました。とても有意義な時間をありがとうございました。都会に出ることがほとんどない私は、電車を乗り間違え、また、会場の入り口も分からずドタバタセミナールームに辿り着くと、席はいっぱいになっていました。隣の席の方が感じの良い方で、声をかけてくださり、一気にホッと安心。間もなく始まりました。二部構成で始まったセミナーは前半ディープな情報とともに“教職員のための指導の手引き”について池上さん、当事者の立場で加藤さん、データ盛りだくさん用意してくださり支援者の立場から生島さんがお話しくださいました。私の頭は古いままだったので、そうなんだそうなんだとUPDATEしっぱなしでした。U=U、身近にHIV感染者が、LGBTの方がいるかもしれない。でも、大丈夫。それが普通。後半5人のグループごと意見交換。その後全体でシェア。性教育に興味、理解のある若者たちの感覚や頭の回転は素晴らしく、お話も上手で感心するばかりでした。最後に参加者全員の1分間スピーチ。私は立ち上がってマイクを持つと、支離滅裂ちんぷんかんぷんな上タイムオーバーでごめんなさい。あぁ恥ずかしで帰路につきました。新しい、正しい知識を持ち、皆んなで安心して安全な環境を作っていこう。

アンケート自由記述

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  • 性の健康は、どの人にも大切なテーマだと実感しました。
    どの子どもたちも通る道なので、特別なことと構えず、日常の中であたりまえのように伝えられるようになるのが目標です!
    たくさんの資料をありがとうございました。
  • セミナーのタイトルどおり、情報がアップデートされました。
    グループワークから、自分には何ができるか?どうしていくかを考えることができました。
    得られた知識を職場でも共有していきたいと思います。
    ありがとうございました。
  • ありがとうございました。
    来てみて、いろいろな職種の方がいらしてびっくりしました。
    やはり文字だけではなく人と生で話をすることは大切だなと感じました。
    楽しい刺激でした‼
    また宜しくお願いします。
  • 新しい知識を得ることができ、とても勉強になりました。
    講師の先生の話も、もっとお聞きしたかったです。
    グループワークでは、たくさんの方の意見を聞くことができ、勉強になりました。
    セクシュアルマイノリティについて勉強中なので、HIVを通して、セクシュアリティについても子ども達に伝えていきたいと思いました。
  • 生徒への情報、新しい学習内容、HIVの現状と今後について、講義とワークショップにより勉強させて頂きました。私の指導案もUPDATEしたいと思います!
    ありがとうございました。
  • いろいろな職種の方の実践やお話、課題などをうかがうことができて、大変勉強になりました。
    又、今現在のHIVやLGBTの現状なども詳しく知ることができ、本当に良よかったです。
    現場にもどって、取り組めることから、取り組んでいきたいと思います。職員にも伝えていきたいと思います。
  • 人と人とのコミュニケーションが大事ということをあらためて実感しました。
    学校現場でLGBTの生徒やHIVに感染してしまった生徒への支援をする機会があり、それでも子供たちが「先生には話しておきたくて・・・」とうちあけてくれたことで支援できたと実感しています。
    日頃のコミュニケーションのおかげかと、実感しました。
  • エイズについて正しい知識を得ることができ、とても勉強になりました。
    子どもたちが自分らしく生きていけるよう、学校全体で手引きを活用しながらかかわっていきたいと思います。
    本日はありがとうございました。

  • 学校は事が起きてから動き出すくせがあり、対応の遅さを感じています。
    よりよく子どもたちが生きていくための教育をしていきたいと思います。
    本日は貴重なお話をありがとうございました。
  • 教育現場における教育内容(特に性教育)は、校長をはじめ、教育者の理解や、価値観に依存するのだと再認識しました。
    生徒を知り、教育を知り、これからの性教育をUPDATEしていきたいです。
    「自分を大切にし、相手を大切にする」このSEX(性)における合意形成が重要だと感じました。
  • 生島先生のお話で新しい知識を得ることができました。データをもとにお話くださり、理解しやすかったです。
    また当事者による語りでリアリティを感じてもらうといことも非常に重要だと思いました。経験者、当事者のお話というのは、はやり、子どもの心にも残ると思いました。
    “コミュニケーション”というのが、性の教育の中で、掘り下げていくと良いポイントだと強く感じます。
  • 新しい知識やデータ 刺激をいただきました。職場で周知していきたいと思います。
  • もっとたくさんの時間があるとよかった。でも短時間でこい時間をすごすことができました。
    陽性者はどこにでもいて当たり前に生きているということ特に伝えていきたい。学校だけでなく地域でも伝えていきたい。
  • 自分で気づいていなかった偏見に気づくことが出来た。
  • <池上先生>執筆にあたって直面した困難や、冊子にくみこんだ熱い思いなどが池上さん自身の言葉で聞けて非常に興味深かった。
    <加藤先生>他のお二人とは異なる形のプレゼンテーション(語り)で、非常に印象深かった。当事者というカムアウトや、当事者ならではの体験、思い、言葉を全く配慮せず、ふみにじるような対応の学校があることを聞いて、すごくショックを受けた。泣きそうだった。私はまだ自分のセクシュアリティが「迷い中」であることは、身の周りの人全員には言えない・・・
    <生島先生>パートナー研究の話がおもしろかった。多くの情報量をまとめてくださってありがとうございました。
    <全体>データの説明や言葉えらびが丁寧で、すばらしい発表を聞けたと感じた。
    ブループワークのはじめに、紙をどう何枚使ってよいか等、もう少し説明があるとよかった。
    あと、ギロン中に話題が分離しすぎてしまったので、「こういう視点でギロンしてね」という指定をある程度してもよいかも。

※日本性教育協会発行のPDF形式のマンスリーレポート『現代性教育研究ジャーナル』No.93(2018年12月15日)にも、報告が掲載されているのでご覧ください。
※関連ページ スタッフ日記「天高く 性の教育 肥ゆる秋」by ちずこ

※セミナーで使用した『教職員のための指導の手引き~UPDATE!エイズ・性感染症』は、日本学校保健会のサイトからダウンロードできます。
https://www.gakkohoken.jp/books/archives/206

東京HIVと性の教育セミナ−2018

HIVと性の教育 UPDATE!
〜いまどきのエイズ・性感染事情と新たな取り組み〜

■日 時 2018年11月3日(土・祝)13:00~16:30

■会 場 日本性教育協会セミナールーム

■参加者 30名
■プログラム
プログラム1 性の教育UPDATE~それぞれの立場から

  • 改訂委員の立場から:改訂の背景、改訂のポイントと課題(池上 千寿子)
    教育現場では何をいかにUPDATEすればよいのか?
  • 当事者・外部講師の立場から:子どもたちに伝えたいこと(加藤 力也)
    ゲイ、HIV陽性者として子どもたちに語った経験から
  • 支援者の立場から:学校教育の落とし穴、LGBTの性の健康(生島 嗣)
    性の健康の啓発と調査活動の現場から見えてくる現状と課題

◎プログラム2 グループワーク
「手引き」の活用と工夫について、意見交換・交流

■主 催 特定非営利活動法人ぷれいす東京
■協 賛 一般財団法人日本児童教育振興財団内 日本性教育協会(JASE)

東京HIVと性の教育セミナー2-18

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