不機嫌なアランの遺したもの–正常性バイアスという陥穽
ニューヨークの病院に、アランというゲイの青年がエイズで入院しているから自分の代わりに見舞いに行ってくれないかとカナダの友人に頼まれて、私は指示どおり赤い薔薇の花束を買ってコロンバス・サークル西側にあった病院のエイズ階に彼を見舞いました。今から30年前の1993年5月、同地に赴任して3ヵ月後のことでした。 » 続きを読む
「ぷれいすコラム」をオープンしました。ぷれいす東京NEWS(2017年2月号〜)とぷれいす東京NEWSLETTER(No.89:2016年5月号〜No.37:2003年1月号)の巻頭言の記事を、最新号から順次掲載していきます。
ニューヨークの病院に、アランというゲイの青年がエイズで入院しているから自分の代わりに見舞いに行ってくれないかとカナダの友人に頼まれて、私は指示どおり赤い薔薇の花束を買ってコロンバス・サークル西側にあった病院のエイズ階に彼を見舞いました。今から30年前の1993年5月、同地に赴任して3ヵ月後のことでした。 » 続きを読む
HIV感染予防対策は、時代と共に大きく変わってきた。そんな中でも変わらないことは、HIV検査の重要性である。検査無くして対策無しである。
1.エイズ戦略研究
日本でHIV感染者が増え始めたのは2000年少し前で、その頃から感染経路としてMSMが主流となっていった。2004年に年間新規感染者数が1,000人を超え、2005年には累計の感染者数が1万人を超えた。 » 続きを読む
私は「アフリカ日本協議会」という、アフリカに関わる日本のNGOや研究者などが集まるネットワークで、国際保健分野の仕事をしています。もともとは「途上国にエイズ治療薬が届かない」という問題について、薬の値段の高さや、その原因となっている「知的財産権」の問題について取り組んでいたのですが、それだけでは追い付かなくなり、今では、保健分野を超えて、国際協力全般に関する政策提言や、海外の市民社会組織と日本のつなぎ役のようなことを全般的に引き受けています。 » 続きを読む
2020年春以降、私たち生活困窮者支援団体のもとには、コロナ禍の経済的な影響により収入が減少し、生活に困窮した人からの相談が次から次に寄せられるという状況が続いています。
東京都内の各ホームレス支援団体が定期的に実施している食料支援の場に集まる人の数も、増加の一途をたどっています。 » 続きを読む
NPO法人CHARMは、大阪を拠点にHIVと共に生きる人たちが必要としている支援活動を複数の言語で行なっています。
2020年春頃からCHARMの相談窓口に「薬がない!助けて!!」と言う切羽詰まった相談が次々と入るようになりました。相談してきた人たちは、コロナによって国際移動が止まる前までは、抗HIV薬を自国や海外で入手して国際輸送していました。それがコロナ禍で輸送が止まり入手できなくなり困った果ての相談でした。 » 続きを読む
私たちは2003年から約5年毎に、厚生労働省科学研究費の助成を受けて全国の拠点病院に通うHIV陽性者を対象とした「健康と生活に関する全国調査」を実施してきました。健康状態や受診・服薬などの健康管理、メンタルヘルスや生活上の課題、仕事や余暇生活、人間関係、情報、エイズ対策評価など広範な内容を尋ねています。本稿では、医療や介護サービスの利用に視点をあてて結果をご紹介します。 » 続きを読む
1853年、アメリカのペリー提督率いる4隻の黒船が突然浦賀沖に停泊し幕府に開国を迫った「黒船来航」、ここから「幕末」が始まります。蒸気船をお茶の銘柄になぞらえて、強烈パンチをくらって狼狽する幕府の様を詠んだとされる狂歌がこれ。 » 続きを読む
日本は、国民の違法薬物生涯経験率がきわめて低く、国際的には薬物乱用防止が奇跡的に成功した国といわれています。そして、その成功は、34年間の長きにわたって、厚生労働省が推進してきた、「ダメ。ゼッタイ。」というキャッチコピーによる薬物乱用防止啓発の効果である――少なくとも国はそのように折に触れて主張しています。
しかし、本当にそうでしょうか? » 続きを読む
2020年初頭からはじまったCOVID-19のパンデミックをうけ、保健所の職員による感染症対策が注目されるようになった。しかし、保健所はこの1年以上をCOVID-19対策に忙殺され、通常業務を圧迫することとなっている。このようなCOVID-19対策の背景で起こっている次の2点から、with/afterコロナ時代のエイズ対策についての保健所の役割を考えたい。1点目は、保健所のCOVID-19対策の増大に伴うエイズ対策の圧縮の問題であり、2点目はCOVID-19対策を通して見えた感染症対策における人権の課題である。 » 続きを読む
今回は、私が新型コロナウイルスに感染した経験からコラムを書かせていただく。
2020年12月1日夜間、オンライン学習会の最中に発熱の予感があった。帰宅して検温すると37.6℃くらい。なんとなく嫌な予感。念のため、24時間運営されている東京都発熱相談センターに電話すると、自宅から徒歩でいける、発熱外来がある医療機関を2箇所ほど教えてくれた。
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