ぷれいすコラム

新型コロナウイルスに感染した経験から

生島 嗣 認定NPO法人ぷれいす東京 代表


今回は、私が新型コロナウイルスに感染した経験からコラムを書かせていただく。

2020年12月1日夜間、オンライン学習会の最中に発熱の予感があった。帰宅して検温すると37.6℃くらい。なんとなく嫌な予感。念のため、24時間運営されている東京都発熱相談センターに電話すると、自宅から徒歩でいける、発熱外来がある医療機関を2箇所ほど教えてくれた。

翌朝1番で発熱外来にいくと、フル装備の医師が常駐していた。問診の後、鼻腔ぬぐい液による検査(新型コロナウイルス抗原検査、インフルエンザ抗原定性検査)を受けたところ、30分〜40分くらいで結果が出て新型コロナウイルスのみ抗原陽性であることが判明した。検査の自己負担は健康保険を使用して、2,580円だった。

予想外の結果に驚くのと同時に、早く感染に気づけたことへの安心感もあった。医師からは、自宅で保健所からの連絡を待つようにとの指示があった。

午後になり、保健所の保健師から連絡があった。保健所の職員には知人もかなりいて、気恥ずかしさもあったが、気兼ねなく質問できてよかった。年齢が60歳を超えていること、発熱症状が強く出ていること、やや肥満であることなどから、入院を強く勧められた。12月の時点では幸いなことに、東京都内では、入院も受け入れられる状況であった。

午後2時頃、保健所の車が、電話で指示された路上にやってきた。保健所関係の車だとはわからないボックスカーのドアがあく。運転席と座席の間はビニールで遮断され、掃除機を改良したような排気装置がついていた。感染症指定病院まで5分程度の移動。病院到着後は、救急外来前に横付けし、運転手が電話連絡をすると、フル装備のナースが迎えにやって来た。ここから13日間の僕の入院生活が始まった。

僕の濃厚接触者として、国立感染症研究所のガイドライン(令和2年5月29日暫定版)の定義に該当するのは、「患者の痰や体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い手で触れることのできる距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、陽性者と15分以上の接触があった者(周囲の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断されます)」ということだった。

僕の発症日は12月1日、潜伏期間は最大14日、中央値5日。発症日の前2日間は、感染力の強い時期であることがわかった。ぷれいす東京事務所内は対策済みであったため、濃厚接触者はおらず、発症日から二日前までに食事を一緒にした人、発症前日に講演でご一緒した講師、企業関係者に連絡した。食事を一緒にした人は外出の自粛と健康観察2週間の指示を住所地の保健所から受け、PCR検査を受けた。他にPCR検査は必要ないけれど、健康観察が必要となった人の中には、会社のルールで2週間の自宅待機となった人もいた。ことの影響の大きさを知るとともに、原因を作ってしまったことに対して大変に申し訳ない気持ちになった。一応、僕の濃厚接触者となった人は全てPCR陰性だった、あるいは健康上、問題なく過ごし陰性であったと推測された。

僕の入院のタイミングがエイズデーのど真ん中であったため、イベントへの出演予定等が多くあり、関係者に大変な迷惑をかけてしまった。改めてお詫びを申し上げるとともに、直前の依頼にもかかわらずピンチヒッターを務めてくれた方々、関係者に感謝を申し上げたい。

改めて振り返ってみると、僕の感染経路は全く不明だ。事務所内はもちろん、外出時には必ず不織布のマスクをし、予防にはとても気をつけていた。普段から手指消毒用のアルコールも携帯しているほどだった。しかし、それでも感染してしまった。

東京都の統計を見てみると、感染経路不明者がかなりの割合を占めている。しかし、メディアでリリースされる感染経路に関する情報は、この部分を省いた形で報道されていることが多く、個人的にはそこがとても気になっている。個人の意識、行動だけでは止められない感染もあり、僕もその一人だからだ。

HIVが出現した初期にも、水際対策という視点があった。しかし、感染が広がっていくにつれて、当事者を巻き込んだリアリティの喚起、行動変容という啓発に移行していった。私は幸い軽症で回復することができたが、新型コロナウイルス感染症の今後の取り組みに、サバイバーの一人として関心を持っていきたいと思っている。

生島 嗣 認定NPO法人ぷれいす東京 代表

生島 嗣

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