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2019年度新規ボランティア合同研修報告

2019年度新人合同研修集合写真

 

今年は、年に1回のぷれいす恒例?となった、ボランティアの募集と研修会を、いつもの9月からちょっとお引越しして7月に行いました。また、昨年まで3日あった研修をぎゅーっと濃縮、2日間にして初めての開催となりました。会場は、これまでと同じく新宿NPO共同推進センターにて。

今年もうれしいことに、説明会には28名の参加があり、研修には26名のボランティアと2名の専門家の参加がありました。まだまだたくさんの方が、ぷれいす東京の活動に興味を持っていただけていることを、とてもありがたく思います。研修はいつも通り、怒涛の情報攻めもあれば、あれこれ考えさせられる攻めもあり、満身創痍の2日間になったかもしれませんが、いろいろなことを感じながら参加いただけていたようでした。参加者のみなさまお疲れさまでした。また、これから各部門で細く長く一緒に活動できることを楽しみにしています。
(報告:牧原)

参加者感想文

「静かな熱意と、ほどよいドライさ」須藤

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私は昨年秋に大きな手術を受け、仕事を辞め、今はリハビリ的な生活をしている。

これまで医療系の援助職として働いてきたが、特に人が病気やマイノリティであることから陥る“孤立”に目を向け続けてきた。私自身もゲイで、かつアルコール依存症者本人で、マイノリティが偏見にさらされやすい病気を抱える困難を経験した。そういう観点から、HIV陽性者支援には以前から関心があった。

参加者は多様で色々な立場の人が集まっていた。みなの静かな熱意の気配は感じとれるが、ほどよくドライな雰囲気もあり、私には居心地が良かった。

講義も面白かったが、グループワークで自分自身の性に対する態度や考え方の傾向に気づけたことが、この研修ならではの収穫だった。1990年代に初めてHIV検査を受けた時の記憶が、ワーク中に当時の感情とともに蘇って不覚にもウルッときたりもした。

研修全体を通して、社会的な要因で感染者が孤立したり困難を抱えてしまう現状に改めて気づかされた。それと同時に、状況を改善していける可能性も感じた。

今の自分にできそうな小さなことから、少しずつ活動に参加していきたいと思う。

「内なる声をあげていこう」宙太

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昭和の末期に現れた「死に至る病」エイズ。平成の時代を通じ、暫定的ながらも治療方法が確立する中、これまで熱意を持ってエイズに関わってきた自然科学者や医師の多くが「いまさらエイズ」という眼差しに変わり始めています。

お祭りムードで幕を開けた令和の時代。こんなタイミングでHIV感染者へのボランティアを志願する「いまごろHIV?」の私たち。それでも皆全てが、何かしらの思いを持って研修に参加しているのには間違いありません。

「未だに終息しないHIV感染の予防・啓発活動をしたい」「偏見と差別に曝されているエイズの人の援助がしたい」という、ヒューマニズムに燃える研修生も大勢いる中、自分はと言えば、「この年になるまでクローゼットな日々を怠惰に過ごしてきた自分が、自身のHIV感染をきっかけに真の自己を開示できるのか」という、大げさな命題を抱いての飛び込み参加。単なるエゴイストであるような気がしています。

当事者として、あるいはアライの立場で、HIVボランティアを志す私たち。自らの内なる声を臆せず、しっかりと社会に発信していく貴重さに気づかされた今回の研修でした。

「ささやかな成長」ジュン

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比較的、知識があるつもりで参加したボランティア研修。ぷれいす東京でスタッフをしている友人もいるし、Living Togetherのイベントにも参加したことがある。ちょっと話を聞けば何とかなるだろう、なんて気持ちだったけれど、この2日間、目からうろこがポロポロと落ちることばかり。知っているつもりで何も知らなかったんだな、と意識させられた。

座学では、(世界ではこんな活動が行われているのか)とHIVを取り巻く現状を知り、(そもそもウイルスってこうなっているんだ)と医学的知識を学び、(ジェンダーは点ではなくスペクトラムなんだな)とセクシュアリティの多様性を再認識。

ワークショップでは、手記を読んで(当事者って一括りにしても、考え方は人それぞれ違うんだ)と気付き、色んなシチュエーションを書き出して(感染リスクってどういう状況で変化するんだろう)と悩み、ロールプレイでは(理想的な寄り添い方って何?)と頭を抱えた。

研修を受けてもなお、自分にできることがあるのか不安は残る。でも、できるできないを考える前に、何かを求めている人がいるならそこにさっと手を差し出せる、そんなことが大切なのかもしれない。

2日前の自分より少し成長できたかな、と思う帰り道だった。

「私って・・・」なし

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私は看護師をしており、以前、感染者の方やAIDSを発症された方に関わって、ぷれいす東京を知りました。その時から、機会があったらボランティアをしようと思っていましたが、そのままになっていました。転職を契機に申込みをしました。医療職だからと軽い気持ちでいましたが、この研修で私の中の私がほじくり返されてしました。あまりの事に完全フリーズ状態です。何が?と聞かれても自分でも分かりませんが、兎に角むき身にされました。でも、その後は不思議なくらい、むき身の自分を冷静に感じていました。こんな抽象的な感想で申し訳ないですが、でも自分って何かしら?本当の共感って何かしら?って考えるきっかけになりました。ボランティア、頑張ります!

「研修仲間との出会いに感謝」
ようこ

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今やAIDSは「死に至る病」ではないことは漠然と知っていた。ボランティアに応募したのは、以前から関心はあったが、この病にはまだ偏見が根強いことを当事者の知人から聞きかじったからだ。感染しても安心して暮らしていける世の中にしたいと思った。

濃い2日間の研修の中でも、他の参加者と協力して取り組むワークショップは、とりわけ目を開かされた。貴重な経験を共有し合った参加者たちに、感謝と尊敬の気持ちでいっぱいだ。皆それぞれの半生で無傷でいられたわけではない。それでも「今度は自分が恩返しをする番だ」と、まるで空腹時に1つしかないおにぎりを分け合うように、今困っている人に寄り添おうとしている。私はといえば、お年寄りと若者、障害者と健常者というように、ボランティア活動を支援をする側とされる側に分けて考え、「伴走」という視点が欠けていたように思う。「支えたい、力になりたい」と意気込んでいたが、独りよがりだった。研修が不思議と居心地が良かったのは「私も支えられたい、人とつながりたい」と、正直な気持ちに向き合えたからだろう。小さな一歩でも、この気付きが出発点。ボランティアとして自分にできることを増やしていきたい。

「自分自身を知ること」マサト

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今回ボランティア研修に参加させていただいて、改めて色々と自分自身の事やHIVについて考えさせられる事ばかりでした。自分自身あまり人と関わる事が少なかったのですが、ワークを行なって色んな方の考え方や思っている事を聞いて、自分自身を改めて知る事が出来ました。HIVについても色々と知る事が出来てとてもいい勉強になりました。

ボランティア自体、参加するのは初めてで、自分に何ができるか不安でしたが、研修を受けて不安が少しなくなりました。自分に何が出来るかわからないですが、少しでも困っている人の力になれればと思っています。ありがとうございました。

「新たな学びと出会いの場」みづほ

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2日間に渡って行われたボランティア研修は、私にとっていくつかの意味で新たな出会いと学びの場であった。

1つにはHIV/AIDSに関する今までは知らなかった生物学的な知識が講義から得られたという点があるが、より印象深かったのはエイズが「社会的な病」である、という社会的な側面よりエイズに着目した視点であった。自分の中に事前にあったのは、差別的な視線を浴びせられ研究が進みにくかったらしい、などとぼやけた乏しいイメージのみだったが、様々な具体例を交えた講義を聴きながら、政治的・社会的には「ケアよりも排除」の路線であったこと、またそのような風潮が残存している(内定取り消しなど)ということが胸に重くのしかかってきた。そしてそのような中で当事者たちの取り組みによって対策が推し進められてきたことを知り、その活動の重要性を学んだ。

またこの研修の活動自体が私にとって、今まで出会ったことのない人々との交流の場であった。私はHIV感染の当事者でも当事者が身近にいる存在でもなく、年齢も若いため異色な参加者な気がしており、参加する前は他の参加者の方々やスタッフの方々に受け入れてもらえるのか、非常に不安であった。しかしいざ参加すれば年齢・性・社会的背景など全く関係なく和やかな雰囲気で研修が進み、昼食や休憩時間には沢山、まるで友達のように交流することができたことが、非常に嬉しかった。

今回の研修で、講義ではもちろん、スタッフ・参加者の方々からも新たな学びが得られたという点で、有意義な二日間であった。

「ボランティア研修会を通じて」もみのき

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私にとって今回のボランティア研修を通じて感じたことは、改めて自分を知ることができたということである。2日間にわたるボランティア研修は雨にも関わらず、多くの参加者が集まった。参加者の性別年齢国籍セクシュアリティは多種多様で、このボランティアを通じて、社会に何らかの形で貢献したいというか何かを得たいという方が多かったように思う。

研修の内容は、HIV・性病・感染症の医学的な知識や歴史、HIVを取り巻く昨今の状況などボランティアに関わっていく為の基本的な知識の習得と、グループごとに分かれて行われるワークだ。性病やHIVという病気はセックスが絡む。座学研修では社会がタブー視する(してきた)性と真正面から向き合い、予防を行うためには各々がどのように考えて行動するべきなのか客観的に自分の立ち位置をきちんと知ることができた。

特に私はHIV陽性者だが、ここに集まった多種多様な人たち全員が恥じることなく、能動的にこうした問題を真剣に考えることができたのは、主催者側のプログラムの構成がしっかり組まれていたからだと思う。

グループごとのワークで特に印象的なワークは手記を読んで感想を述べるというワークであった。私自身はHIV陽性者なので当事者として手記に共感できる。しかしグループの中にはお子さんを持つ方、女性の方など様々な方がいて、彼女ら彼らがHIVについてどのように感じどう思っているのか、実際に生の声を間近で聴くことによって、いい意味で自分自身を客体化できたように思う。

この研修を通じて得たこと、そしてこの研修を通じて知り合った人とともに、実際のボランティアでも活かせるよう、自分らしく関わっていけたらいいなと思う。

2019年度新人ボランティア合同研修の主な内容

第1日目 7月14日(日) 社会的な背景
医学的基礎知識(1)
手記を読むワークショップ
セクシュアリティの多様性
制度や社会サービス
第2日目 7月15日(月・祝) 医学的基礎知識(2)
セイファーセックス・リスクアセスメント
ネスト・プログラムの取り組み
相手のある保健行動

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