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2021年度新規ボランティア合同研修報告

2021年度新規ボランティア研修 新規ボランティア研修オンライン講義中
9月の恒例となっている、新規ボランティアの募集とボランティア向け研修を今年も行いました。昨年に引き続き、COVID-19の流行を受け、すべてリモートでの開催となりました。9月11日(土)の説明会には22名が参加、別日程も含めて合計で27名の参加がありました。実際の研修には、19名の参加希望があり、9月23日(祝・木)と9月26日(日)の両日に朝から夕方まで、参加できない方は補講という形で、研修に参加いただきました。リモートになって2年目ということで、昨年より運営も多少は慣れたつもりでしたが、参加者の方々に助けられつつ、なんとか無事に開催することができました。みなさまお疲れさまでした。これから、ぷれいす東京の中で、それぞれの場を見つけて、ぜひ細く長く関わっていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
参加者が、どんなことを考え、感じながら参加していたのか、参加者の感想文をぜひご覧ください。(報告:牧原)

参加者感想文

「講習会に参加して」あや

今回、ぷれいす東京の講習会に初めて参加してみた。手記を読むワークではHIV陽性者の方の手記を一人一つずつ読むことを行った。手記には一人一人のリアルな声が書かれていて、より身近にHIVのことを感じれたし、一人一人色々な思いを抱きながら生きていることを感じられ、とても印象的な体験だった。また、HIV以外の性感染症の説明も聞き、自分が中学校の時に習った感染症の名前が出てきて、昔習ったことが思い出された。一度習っても自分と関係のないことだと思って、しばらくすると忘れてしまうので、定期的に思い出せる機会が大切だと思った。説明から、性感染症の中には女性だと分かりにくい症状だったりして分からないこともあったり、子宮にかかわるものだったり、赤ちゃんにも母子感染で感染する性感染症があり、死産や流産の可能性が高まるなどのものがあると知った。これらは将来に関係することがあるため、自分に関係ないことだとほったらかしにして後に見つかって後悔するよりも、定期的に健診などを受けて早期発見することが大切だと感じた。しかし病院に行っても何科に行けばよいのか分からないというのが本音であった。そのことについても、今回の講習会から、性病科や皮膚科、女性であれば産婦人科などに行けばよいと教わったので知れて良かったと思う。これらは私が講習会に参加して特に印象的だったものであるが、講義すべてがとても重要な内容でとても勉強になった。

「感じたこと、思うこと。」サトウ

都合や不都合、いろいろな理由をつけて1年ごと先送りしてきた研修参加をとうとうしてしまった。研修を終えてそんな感慨を覚えています。先送りにしてきたのは、自分自身のストーリー、あるいはナラティブに向き合うことになるから。私はそれがこわかった。

自己責任という声があまりに大きくなりすぎました。踏み込んで述べると、私は自己責任なんてありえないと思っています。その人、個人が引き受けなければならないのは選択と決定、そしてその結果であって、責任は社会全体で引き受けることがらだと、私は思うのです。パンデミックという状況で、そんな思いをあらためて感じます。

それぞれの事情、原因や理由があって、選択決定のための検討が苦手であったり、難しい状況にある人がが世の中にはいます。ぷれいす東京にどんなかたちであれ訪れる人は、なにかを探し、なにかを求め、なにかを掴みたいと心底で思っている人なのではないかと想像します。なぜなら私がそうだから。

できるならよりよい選択を。そしてあるいは悪くても(愚行権)その人ならではの選択をその人ができるように。そんなことに私はおつきあいさせてもらえたらと、思っています。

「きづき」あびこ

「実は、検査で(HIVが)陽性だってわかって…」 以前からぷれいす東京への活動には興味がありましたが、突如友人から発せられたこの一言が、活動参加への決定打となりました。

この2日間、実際に専門的な話を聞いたりワークショップで話し合ったりして、非常に有意義な時間を過ごすとともに、これまでの自身の考え方を振り返る、良い機会になりました。

例えば手記を読むワークでは、親や子、パートナーなど、色々な関わりの中における当事者の皆さんの生き方について考え、「より自分らしく生きる」ことが大切であるということに改めて気付かされました。

また、相手のある保健行動のワークでは、HIV陽性者からの相談のロールプレイングを行い、当事者-相談者(あるいは当事者の関係者)の間には様々な要素が絡み合っていて、対応の仕方、当事者への気持ちの向け方など、その時々で配慮しなければならないことがたくさんある、ということを実感することができました。

私たちが生きていく上で必ず絡むことになる、HIVに関することも含む、「性」に関する事象。とても大切なものだからこそ、よりオープンにしていくべきものだと、個人的には思います。しかし、未だに「関わりにくい」ものとして扱われる場面も多く、そのせいで苦しむ人も多くいらっしゃると思います。だからこそ、もっと考えて、色んな人と関わり、その人の気持ちに寄り添いながら行動すべきなのだ、と、研修を通して思いました。

今回得ることができた「気づき」を大切にしながら、これからの活動の中で当事者の皆さんとより良い関係を築いていけたら良いなと思っております。ありがとうございました。

「「早くボランティア活動してみたい!」~ボランティア研修に参加して~」りゅうすけ

「2日間?しかも、朝から夕方まで、休憩を挟みながら、でもみっちり?」 送られてきた研修日程にくじけそうになりましたが、オンライン研修だったので、いざとなれば自宅のベッドで横になりながら、受講しようと思い(笑)、研修に参加しました。

以前、他団体でボランティアをしたこともありましたが、そこでは研修などありませんでした。そのため、研修があるというぷれいす東京さんのボランティアに対する姿勢がとても丁寧で親切だなぁと思いました。

研修の参加者は年齢・職業・属性もバラバラでした。研修は、講義を受講する形式とグループワーク形式に分かれていました。グループワークでは、その都度、メンバーが異なり、色々な人の意見が聞けて 「そういう見方・考え方もあるんだ」と改めて気付かされることが多かったです。中でも、ロールプレイングでは「この場面、自分だったらどう対応するだろうか」と深く考えさせられることが多かったです。

2日間の研修を終えての感想は、純粋に「楽しかった」です。そして、勉強になったというより「ためになりました」。様々な背景を持った参加者の考え、感じ方、意見を聞き、「自分だったらどう思うか」ということを深く考える作業を普段することがないので、とてもよい機会になりました。

研修を終えて、「早くボランティア活動に関わりたい!」と今からうずうずしています。

「研修を通じて学んだこと」よしなり

ぷれいす東京新規ボランティア研修2日間参加させていただきました。この場をお借りしまして貴重なご講演の演者の先生やワークショップを主催してくださったスタッフの方々へ感謝申し上げます。

私は、臨床現場でHIVの患者さんに接してきた経験があります。主治医から病名を告知されたあとに、戸惑いながら懸命に前を向き、退院された患者さんのことを今でも覚えています。不安や苦悩しながら私も一緒に寄り添っていきたいと考え、今回の研修を受ける決意をしました。今まで、自分のセクシャリティについてあまり考えたことがなかったので、実際に自分の意見として言語化するのに戸惑いましたが、良い経験になったと思います。また、ロールプレイの中で、擬似的な当事者体験を通じて、様々なことを思い巡らせながら考察する事ができたのも、私にとってよい学びが得られたと感じています。また、HIVの社会的背景やその時代の流れを通じて、治療の進歩と制度の確立など学習しましたが、性に関する複雑な価値観や思いは、個々人の捉え方や感情によって大きく異なっているものだと改めて思いました。その中で、ボランティアとして活動していくのであれば、人それぞれの思いに寄り添うながら、異なった一人ひとりの答えを出していくことへ支援していきたいと感じました。私自身、何ができるかわかりませんが、一緒に考えていけるボランティアの一員になりたいと思いました。

「新たな知識、新たな気づきをもらった濃密な二日間」よう

自分自身がゲイだということもあってHIVを身近な問題だと考えてきたため、HIVに関する新しい情報には比較的注意を払ってきたつもりでした。しかし今回の研修に参加し、まだまだ知っておくべき事、知らなければならない事などが多くあることが分かりました。HIVの社会的な背景も知らないことが多く、かつて直面した問題を克服するための対策が、今回の新型コロナウイルス感染症対策にも多く生かされているということを知ったのも、大きな驚きでした。

また、ワークショップでは当事者の方の手記を読んだりロールプレイを行うなど、非常に刺激の多い活動をすることができました。メディアなどから得た知識として知っているものではなく、当事者の方からの生の声というのはとてもインパクトがあり、自分の理解がまだまだ足りていないということを思い知らされました。ロールプレイではどのように答えようか苦しみ、与えられた役割で話すというよりもほとんど素に戻って話してしまっていました。ロールプレイ後も、あの時はこのように話した方が良かったのではないかと、反省することばかりでした。

まだこんな未熟な自分ではありますが、助けを必要としている人のために少しでもできることがあれば嬉しいなと思っています。そのためにも、これからも勉強を続けなければならないと感じました。丸二日間の研修、どうもありがとうございました。

「地方で暮らす人とつながるきっかけにしたい」すけちゃん

数年前、転職を機に移り住んだ地方都市では、新規感染者はほとんどなく、日常生活でHIVや性的マイノリティが話題に上ることは全くありません。それまで陽性者支援の仕事に従事していたので、もう私にはこの件に関して出番はないのかと内心残念に思っていました。

しかしまもなく、私の身の回りにも複数の感染者がひっそりと生活していることを知りました。彼(女)らは、不慣れな医療従事者や、戸惑う家族に囲まれて、とても肩身の狭い思いをして生活をしているようでした。何か力になれないかと思うものの、何の後ろ盾もない私にはどうすることもできませんでした。そこで、いっそ自分の方から彼(女)らの近くに行き、助けが必要な時に声をかけてもらえるようになろうと思いたちました。まず、ぷれいす東京の活動に参加し、そこから少しずつつながっていくのではないかと考えたのです。

今回の研修では、しばらく忘れていた診断、治療、生活上の課題などの知識を再確認することができました。また、参加者一人一人の個人情報保護への配慮が行き届いており、これから支援を行う際に相手に対してどのように接したらよいかがわかるようになっていました。また、当事者から見ればマイノリティである私も、安心して温かく受け入れてもらったと感じました。

今後は、ぷれいす東京の活動のお手伝いをしながら、地方で孤独に暮らしている当事者とつながる機会になることを期待したいと思います。

「希望を示してくれる研修会」たつや

新規ボランティア研修に参加させていただきました。内容が凝縮された講義とグループワークで、二日間に渡って行われました。今までにもHIV予防啓発に関する活動には参加していたのですが、今までにない充実した内容の研修でした。複雑な内容も分かりやすく講義してくださるので更に興味をそそられ、同時に自分の知識の不十分さを感じました。最も驚かされたのは、HIV陽性者が時代とともにどう扱われてきたのかを教えてくださる講義です。HIVの発見から、陽性者がどう見られ、どう扱われてきたのかを当事者の社会的な立場の変化だけでなく、実際の当時の画像や当事者がとっていた行動にも注目して講義してくださり、MSMのコミュニティ内外での不安の広がりや危機感の持たれ方なども教えてくださいました。そういった当時の生の声に触れるということが珍しく、HIV発見の当時から今まで、多くの人が迷い苦しみ、その中から何とか活路を見出そうとしてきたからこそ今に繋がっているということを改めて目の前に示された思いになりました。現状の中で苦しんでいる方をサポートすることが、その方たちへのサポートになると共に次に続く人たちへの希望の道になっていくということを感じました。ボランティアの必要性と意義を改めて感じることができ、とても充実した2日間になりました。

「僕なりの社会貢献」ピロ

私は、同性パートナーと10年一緒に暮らしている36歳の男性です。

昨今の同性婚訴訟の原告の方々の姿を見て、自分自身もLGBTQ+コミュニティに対して、何か貢献できることはないかと悶々とした日々を過ごしておりました。そんな時、ちょうどSNSでぷれいす東京さんの研修のツイートが目に入ってきて、「これだ!」と思い応募させていただきました。

研修では、知っているようで知らなかったHIV/AIDSの知識について、専門家の方々から様々なレクチャーを受けることが出来ました。HIV/AIDSについては、基本的なことは分かっているつもりでしたが、「結構知らないことがあるな〜(頑張ろう><)」と思うことが出来る貴重な機会になりました。医学的なお話はもちろんなのですが、個人としては、HIV/AIDSが日本で初めて社会問題になった当時の時代背景を、実際にその時代を体験した方から、当時の空気感も含めてお話も聞くことができたのが大変有意義でした。

また、HIV陽性の方や周囲の方々がどのような思いをされているのかを、ロールプレイング形式で考え学ぶことも出来ました。自分事として考えることの重要性を知ること、また、寄り添って話を聴いてもらうことの嬉しさや安心感についても、実感を持って学ぶことが出来たと思います。

これから、活動させていただくにあたり、様々な気付きが得られた研修でした。研修で学んだ内容をもとに、自分なりの社会貢献をして行きたいと思います!

2021年度新人ボランティア合同研修の主な内容

第1日目 9月23日(祝・木) 社会的な背景
医学的基礎知識(1)
手記を読むワークショップ
ネスト・プログラムの取り組み
セクシュアリティの多様性
第2日目 9月26日(日) 医学的基礎知識(2)
制度や社会サービス
セイファーセックス・リスクアセスメント
相手のある保健行動

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