アクティビティー

第37回日本エイズ学会学術集会・総会報告・参加感想

第37回日本エイズ学会学術集会・総会(大会長 髙折 晃史 京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 教授)が、2023年12月3日(日)~12月5日(火)にリーガロイヤルホテル京都(京都府京都市)で現地開催+オンデマンド(一部ライブ)配信のハイブリッド形式で開催されました。

ぷれいす東京のスタッフや研究班メンバーの発表は以下でした。
一般演題(口演)
行動科学

PrEP・セクシュアルヘルス

陽性者支援

Scientific Engagement Satellite Symposium

ポジティブトークセッションでは、Kazuyaさん(ぷれいす東京)がスピーチをする予定でしたが、体調不良で参加できませんでした。ご本人から掲載の許可をいただいたので、ご紹介します。
「読まれなかった手紙 (Kazuya) ポジティブトークで読むはずだった手紙」

また、ぷれいす東京のSH部門メンバーが「日本エイズ学会からこんにちは!」と題して12月3日・4日に学会のNGOブースからLIVE中継をしました。
研究班では、12月3日(日)にトークイベント「PrEPやるなら、クリニックに行こう!」のLIVE配信を行いました。(いずれもTOKYO AIDS WEEKS 2023参加イベント)

学会に参加した方からいただいた感想文と、「日本エイズ学会からこんにちは!」「PrEPやるなら、クリニックに行こう!」の報告を掲載したので、ご覧ください。

参加者感想文

「立場を超えて共感できる場」青木理恵子(特定非営利活動法人CHARM事務局長)

エイズ学会は楽しい学会だと今年改めて思いました。
医療者、支援者や疾患を持ちながら生きている人たち、行政で方針を司る人たち、その人たちが人間として平場で参加する場所で多くの発表者がそれを意識してできるだけ多様な人たちに理解できる言葉で話をしようと限られた時間の中で工夫している様子を強く感じました。
今年は、NGOブースも会場の中心に設置され、地域支援や啓発活動について知る機会となりました。薬害被害者遺族の会の準備に力を入れたブースもあり、メモアルキルトも沢山展示されました。
また会場を別にした市民フォーラム(従来の市民講座)は関西と北陸のHIV関連団体が半年かけて準備し、多くの市民が参加しました。HIVは今世代交代の時期を迎えています。次の世代の人たちが心を揺さぶられるような出会いや経験をできる場としてエイズ学会は重要であると思います。

「安心と信頼」蒼-sou-(ボランティア・スタッフ)

私がHIVに感染して、7年が経過しました。
もともと、「U=U」が世間に出回る前から既に継続的な投薬治療をすれば「死の病」ではない事を認識しており、主治医を中心にした治療チームのおかげで「困りごと」や、「不都合」はなく生活していました。
しかし最近、SNSなどでHIVの情報に接する機会が増えたこととで、「自分以外の陽性者がこんなにも恐怖し困っているのか」と知り、自分の楽天さが恥ずかしく思えました。
そんな時、「HIVに向き合ってみたいから行こうよ」と同じ感染者の友人の前向きな一言で、学会に参加しました。
学会では、飛び交う医療用語に圧倒されましたが、「陽性者支援」や「陽性者における特異的な楽観性」など、自身を含めた感染者の心のあり様を客観的に分析されている演題には、凄く興味深かったことを覚えています。
学会に参加して、これだけ多くの人々が、「HIVゼロ」に向かって歩まれていることを知り、自分自身の治療への安心感や医療への信頼感が一層増したこと、そして、その「安心」を地方に住む仲間へも伝えたいと思いました。

「仲間とともに知と体験のgive-and-take」だいすけあ(SHプロジェクト・コーディネーター)

第37回日本エイズ学会が京都で開催された。わたしは「アディクション・ぽーと」の発表をした。半年前から準備して、チームで発表ツールを作った。会場からは「ほかのコミュニティとのつながりも研究してはどうか」との提案があった。年に一回開催している「居場所の交流会」が研究の対象となると示唆を受けた。知識や体験を共有すると新たなアイデアが生まれるんだと気づくことができた。
SHプロジェクトではTOKYO AIDS WEEKSの企画として学会会場からのライブ配信を行った。ぷれいす東京のブースで様々な学会参加者にインタビューをした。ぜひYouTubeにアーカイブがあるので見てほしい。インタビューを通して、2つの気づきがあった。ひとつはHIV/AIDSに関わる歴史を学ぶ必要があること。もう一つは、仲間との「対話の継続」がとても大事だということ。対話はそれ自体がgive-and-takeだ。それが歴史を作っていく。過去から学び未来への希望を創り出すのが私たち世代の使命だと思う。

「つながりと、感謝と、これからと。」あびちゃん(臨床検査技師。2021年度研修よりぷれいす東京に関わり始める。現在SHP部門スタッフとして、主に「アディクション・ぽーと」のスタッフファシリテーターとして運営をサポート。)

人生初の日本エイズ学会への参加。ぷれいすに所属した当初、まさか、NPOのスタッフとして学会に参加することになるとは思いもしなかったので、京都の地に着いたとき、なんだか新鮮な感覚でした。
「アディクション・ぽーと」の活動に関わり始めて、今年で丸2年を迎えようとしています。当時は「アディクション?」というところから、右も左も分からない状態でスタッフとして関わり始めましたが、これまで一緒に活動してきた運営スタッフ、ぽーとの参加者の皆さんからの温かい励ましに支えられ、今回「学会発表のスライド作成担当」という形で多くの方々に貢献できたことは非常に嬉しく、また、私自身も今日までアディクション・セクシュアリティにまつわること、何より、多様な生き方・考え方があって良いということ等、たくさんのことを学ばせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、展示ブースから学会の様子を生配信するという新しい試みがあり、その中で僭越ながら私、初日のMCを担当させていただきました。今回の配信を通して、改めてこの学会がたくさんの方々のご尽力によって支えられていること、そして、今日本が抱えるHIV/AIDSに関わる現状をなんとかしていきたいという、学会参加者の思いがひしひしとインタビューの中で伝わってきました。非常に意義のある企画だなと感じました。
学会参加という貴重な経験をいただき、私自身初めて耳にすることがたくさんあり、本当に勉強になりましたし、学会中お会いしたいろんな方々のお話を聴きながら、今後もHIV/AIDSに関わる方たちを応援し続け、共に活動をし続けていきたいと再び決意することができました。ご支援・ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。

「エイズ学会2023@京都」知念(ボランティア・スタッフ)

学会のテーマは「”AIDS”終幕を目指して」。治癒を目指した研究、臨床、差別の根絶に向けての議論が展開されました。エイズ学会ウキウキの京都開催そして初参加ということもあり、現在の潮流を掴もうと主に大枠のセッションに参加しました。
印象に残ったのは、抗HIV薬が進化する一方、糖尿病や他の疾患コントロールや生活ニーズに対応する必要がある。PrEP単独でなくコンドームや教育含め包括的な予防策が必要だという事。あと、当事者が未だ感じる偏見について気に留めていなかったなぁ、SEXをする全ての人が性感染症予防とは無縁ではない(by谷口先生)のに、当事者意識がちょっと薄かったなぁ(反省)、という気付き。
このような情報啓発には、Community-led(コミュニティ主導、2022年の学会で登場した用語だそう)の活動が非常に重要な役割を果たすとのことで、日々の活動への気持ちを新たにした学会参加でした。

「コロナ時代に求められる新たなピアサポートに向けた取組み」大島 岳

随分と久しぶりにエイズ学会に対面参加し、研究発表を行いました。演題は「コロナ時代に求められる新たなピアサポートに向けた取組み」です。内容は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、多くのピアサポートが中止や開催の縮小を余儀なくされたなかで、今後どのような取り組みや連携が必要となるかを探るというものです。そこで、全国ピアサポート円卓会議をオンラインで開き、各地の現状や取り組みを共有し今後の方向性について熱い議論を交わしました。オンライン・対面双方の利点や問題点を整理することができ、今後の活動に活かしていくことのできる様々なアイディアが出ました。また、エイズ学会では、実際に対面で会うことができた方が何人もいらっしゃりエンパワメントを得ることができました。実際に集うことができるという良さを改めて実感した大会となりました。

「一区切り、そして」ふくぴー(ぷれいす相談員)

第37回日本エイズ学会学術集会が、観光客で賑わう京都駅近くの会場で、ハイブリッド開催されました。
恒例の「治療の手引き」シンポは、いつになく多い6つの演題で、学術集会全体を総括するような流れでした。
昨年承認された持効性注射剤による2剤療法及び、全く新しい作用機序のカプシド阻害薬による注射剤の報告、現時点におけるCOVID-19とHIV陽性者との関係性、加齢に伴う非AIDS関連悪性腫瘍合併増加への対応、総会で公知申請の進展が報告されたCombination Preventionの要となるPrEPの実践、ケアカスケードの最初の95を達成するための多様な検査体制の構築、そしてその先にある2030年新規HIV陽性者“ゼロ”を目指すCommunity-led。HIVに関わるすべての「私が」できることをしていこうと、エンパワーされました。
コロナ禍に一区切りをつけ、幾つかの大きな変化を確信した学術集会でした。是非、上に書いた文章の中の言葉達をあらためて検索してみてください。
シンポ終了直後の閉会式では、来年の学術集会長、aktaの岩橋さんから挨拶があり、コミュニティーにつなげる最高の演出だと、ひとり感動していました。

日本エイズ学会からこんにちは!報告

「学会会場からのLIVE配信」という斬新な試み。僭越ながら、1日目の司会を担当させていただきました。特設ブースから、学会参加者それぞれの思い、展望を伺い、改めて自分がこれからHIV/AIDSにまつわる様々なことにどのように関わっていけば良いのだろう、と考えを巡らすきっかけになりました。(報告:SH部門 あびちゃん)

日時 2023年12月3日(日)15:00-16:00 
■アーカイブ動画

12月4日(月)11:00-12:00
■アーカイブ動画

トークイベント「PrEPやるなら、クリニックに行こう!」報告

エイズ学会が開催された京都で、PrEPをテーマにしたYouTube LIVEの配信をしました。20人限定で会場参加もありました。

■日時:12月3日(日)18:00~
■アーカイブ動画

■プログラム
・いだてんクリニック(大阪)
・性感染症とPrEP、コンビネーション予防とは KARADA内科/しらかば診療所案内
・PrEPユーザー4名によるトーク
・Q&Aコーナー(チャットで質問可能)

■出演者
《PrEPユーザー》
・マツバラ アラタさん
・上央慎さん
・Kさん(Xアカウント: @pg_kurumi33
・モウシンさん
《MC》
・いだてんクリニック 医師
・KARADA内科/しらかば診療所 医師
■主催
厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)
「HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究班」
研究代表者: 水島大輔(国立研究開発法人国立国際医療研究センター)
研究分担者: 生島嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京)

「第37回日本エイズ学会学術集会・総会」スタッフ出演情報

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