「認定NPO法人ぷれいす東京 2025年度活動報告会」報告

2026年5月24日(日)に、来場者・スタッフ含めて50名が会場に集まり、ぷれいす東京の2025年度の活動報告会が無事終了しました。YouTubeのライブ配信も同時に行い、多くの方にご視聴いただきました。終了後、写っても良いというサポーター、連携先の皆様、ぷれいす東京スタッフで集合写真を撮影しました(photo by Yoshiki Hase)。
報告会では、2025年度の活動について、HL(感染不安の電話相談)、セクシュアル・ヘルス・プロジェクト(SH)、Gay Friends for AIDS、ネスト・プログラム、バディ活動、陽性者向けの相談、研究・研修など、各部門から10名を超えるスタッフが登壇してこの一年の報告を行いました。
ゲストトークでは、「PRISM調査 2794人の思い~LGBTQ+の医療の未来を変えるのは誰か~」と題して、高井 ゆと里さん(東京大学特任研究員 / Tネットアドバイザー)、武田 裕子さん (順天堂大学大学院医学研究科 医師)、吉田絵理子さん(一般社団法人にじいろドクターズ医師)をゲストに迎え、昨年度実施した「PRISM調査」から見える医療の実態を紹介するとともに、誰もが安心してつながれる医療について貴重なお話を伺うことができました。

ご来場いただいたみなさま、ご視聴いただいたみなさま、参加していただいたみなさま、本当にありがとうございました。
当日、ご来場いただいたみなさまに、2025年度年間活動報告書をお渡ししましたが、PDF版をWebサイトにも掲載いたしておりますので、ご覧いただければ幸いです。
2025年度活動報告書(約6MB)
当日の模様は以下のぷれいす東京チャンネルでアーカイブ動画をご覧いただけます。
ぷれいす東京2025年度活動報告会
以下のタイムスタンプで、お好きなところから視聴いただけます。
00:01:23 開会のあいさつ
00:04:25 【第1部】各部門報告
01:25:35 【第2部】ゲストトーク
02:30:50 閉会のあいさつ
参加者感想文
「受診記録を裏返す理由 ― 見えにくい生きづらさと日常の負荷」Eiji Nakano
Xジェンダーの一人として、またボランティアスタッフとして、ぷれいす東京の活動報告会に参加した。そこで、高井ゆと里先生、武田裕子先生、吉田絵理子先生のご講演を拝聴する機会を得たが、そのお話は私自身の経験や記憶に深く重なり、思わず涙が溢れた。
私は、元トランスジェンダー当事者である。そのため、お三方が語られた「生きづらさ」や「見えにくい苦悩」、「社会との関係性」についての言葉の一つひとつが、単なる知識や理解としてではなく、自らの身体感覚として胸に迫ってきた。
講演を聞きながら、ふと病院を受診する際の自分の行動が脳裏をよぎった。私は毎回、受付後に受け取る受診記録を無意識のように裏返して置いている。そこに記載された男性名を他者に見られたくないという思いがある。また、診療科名によって、自分の背景や事情を周囲に推測されたくないという気持ちもある。さらに、自分の存在や受診理由によって、他の患者が不快な思いをするのではないか。そんなことまで考えてしまう自分がいる。
もちろん、頭では理解している。誰かが私を見ているとは限らないし、実際には誰も気にしていないのかもしれない。しかし、「見られるかもしれない」「何かを思われるかもしれない」という感覚は、理屈では消えない。それは日常の中に静かに存在し続け、何気ない場面でふと顔を出す。
病院という、本来は安心して助けを求められるべき場所でさえ、自分の存在や属性を隠そうと無意識に振る舞っている。その事実に改めて気づいた時、私は講演で語られていた「マイノリティであることの負荷」とは、特別な出来事や露骨な差別だけを指すのではなく、日々の小さな選択や逡巡の積み重ねの中にも存在しているのだと感じた。
今回の活動報告会は、知識や支援について学ぶ機会であると同時に、自分自身の内側にある感情や経験と向き合う時間にもなった。そして、自分が感じてきたものは決して個人的な弱さや過敏さではなく、多くの人が社会の中で抱えている「見えにくい生きづらさ」の一つなのかもしれないと、改めて考えさせられた。
「「“健康でいること”は権利」という言葉に感銘を受けました」おだし(20代男性ゲイ)
活動報告会では、第一線で活躍されているセクシュアルマイノリティの医師や研究者から、LGBQ+を含めた「誰も取り残さない医療」を実現するにあたっての意見を聞くことができました。信頼性の高いPRISM調査に加えて、実際に登壇された方の生の声もあったため、非常に学びのあるトークプログラムでした。
そこでは、LGBTQ+フレンドリーな教育が医療従事者の場で行われていることや、偏見や差別のないサービスが受けられる選択肢が増えていることを知りました。
しかし、驚いたのは、医師を志すトランスジェンダーの医学生でさえも、現在の形態の医療を受けることに拒否感をもつということでした。
こういったセクシュアリティに問わず適切な配慮を受けられることに課題が残っている現状に対して、一人でも多くの人が声をあげること、そして多様な性のあり方について理解を止めないことの重要性を改めて感じました。
来年もこのような学びの機会があれば、ぜひとも参加したいです。
「活動報告会をライブ視聴して」 ジャンジ
ぷれいす東京の活動報告会をYouTubeライブで視聴しました。全体としてはトークイベントがあったので気になりませんでしたが、活動報告者に女性がいなくてさみしく感じました。
報告を聞いて、沖縄や地方でのエイズ発症報告割合の高さに改めて驚き、課題を感じました。全国のレインボーパレードやフェスとコラボしてきたCONSENTプロジェクトの成果がこれから楽しみです。HIVやセクシュアルヘルスの課題を各地域のコミュニティと連携して取り組む土台ができてすごいと思います。おつかれ様です。これからですね!
トークイベントは出演者のバランスがとてもよくて内容もわかりやすく興味深かったです。順天堂の地道な取り組みが素晴らしくこれからのモデルケースになりそうです。調査結果からみえるトランスジェンダーやノンバイナリーの健診・医療へのアクセスしにくさは私も実感としてよくわかります。高井ゆと里さんも話しておられたけど、約5年前と比べてLGBTQ+への差別・偏見が悪化したと回答している割合が、シスよりトランス・ノンバイナリーの方が高く、特にトランス女性を含むグループが約43%と突出して高い事に驚きました。でもSNS上の誹謗中傷や国内外の情勢を思えば確かにそうだと感じます。
厚労省のセックスワーカー班が今年もトランスジェンダーの性の健康調査を行って現在分析中なので、今回の調査結果と合わせて検討する機会があるとよいと思いました。勝手ながら調査の先にある当事者への啓発を高井ゆと里さんたちの世代が中心になって若い人へ広げてもらえるといいなぁと期待しています。長く活動されている吉田さんたちのにじいろドクターズと武田さんの信頼関係も垣間見えました。みなさんのトークと活動に希望を感じます。ありがとうございました。
「ほっこりトークも、ためになる報告もありました」福太郎(福祉事業所勤務/40代/ゲイ男性/2008年の陽性告知あり)
今年こそは現地で参加したいと思っていましたが、体調が少し不安定だったため、今回はオンラインで参加しました。こうした時にも、自分の状況に合わせて参加方法を選べることは、とてもありがたいことだなと改めて感じました。
第1部では、ぷれいす東京の各部門を担当するスタッフの皆さんから、日頃の活動について報告がありました。画面越しではありましたが、普段活動を支えている皆さんのお顔や、それぞれの人柄が感じられる時間となり、とても安心しました。また、新しく加わったスタッフの皆さんや若い世代の方々のお顔を見ることもでき、これからの活動への心強さを感じました。
第2部では、PRISM調査の結果についての解説があり、ゲストの皆さんからのさまざまな視点も加わることで、より身近に感じながら学ぶことができました。普段の自分の仕事とも重なるテーマが多く、改めて考えさせられることや、新たな気づきがたくさんありました。
今回の時間を通して、誰もが健康に生きる権利を持っていること、そしてどのようなセクシュアリティの人であっても、安心して医療や福祉につながることのできる環境の大切さを改めて感じました。
私自身も、日々の仕事や暮らしの中で、自分にできることを焦らず一つひとつ積み重ねていきたいと思います。
「情熱、想いが直に熱く伝わりました」小嶋道子(都立駒込病院ソーシャルワーカー)
久しぶりの現地参加。TOKYO PRIDE直前、そしてぷれいす東京が2024年に30周年を迎えたということもあり、皆さんの情熱、熱い想い、ずっと受け継がれてきた想いがビシバシ伝わってきました。みなさん、ほんとうにありがとうございます!!
バディの活動報告を聴きながら、年数が経っていくと、つらいお別れがあったり、新しい悩みが生まれたりいろいろあるよな・・って思いました。あと、私もいつまでも若者気分でいたら、結構だいぶ年齢を重ねてきたことに気づきました。
ゲストトークでは自身のセクシャリティを公にしてのお話を聴けたこと、直接会って聴けたこと。本当に感謝です。全ての人の健康格差をなくすことを目指そうというメッセージ、想いを皆さんで共有できたこともよかったです。
気づかなかったこと、知らなかったことがあれば学びを深め、共に歩むということを胸に刻んでいきたいと初心に帰った気持ちでした。皆さんの情熱をもらいました。私もまたがんばります。
「一年に一度の交差点」某スタッフ(40代/女性)
今回で2回目の参加となりました。全く畑違いのところからぷれいすにやってきたもので、活動報告会でのトークは何もかも勉強になることばかりです。今回は、病院を受診するときにLGBTQ+の人々がどんな不都合を受けているかについて調査したものを、トランスセクシュアルの当事者の方や医療関係者の方に解説いただきました。中でも先進的な対応をしていらっしゃる順天堂大学のお話には感銘を受けました。徹底的に当事者に寄り添う姿勢は、どんな仕事においても必要なことだと思いました。
また活動報告会当日は、普段オンラインや郵便といった遠隔でのやり取りが中心の皆様と直にお会いできる機会です。今年も多くの寄付者の皆様、医療・行政関係者の皆様、スタッフの皆様にお会いし、ぷれいすの活動が本当に多くの方の善意に支えられていることを改めて実感いたしました。30余年の歴史を踏まえつつ、今後新たな空気を入れて、ぷれいすが息長く継続していくことを願い、またその一助となりたいと思う活動報告会でした。
2025年度活動報告会概要
■日 時 2026年5月24日(日)14:10〜16:30
■開催方式 会場(ワイム貸会議室高田馬場3階 Room C)およびYouTubeライブによるハイブリッド開催
■プログラム
- 部門報告
ホットライン / Gay Friends for AIDS / Sexual Health Project/ バディ / ネスト / HIV陽性者への相談サービス / 研究・研修 / 30周年記念事業 - トークコーナー
「PRISM調査 2794人の思い ~LGBTQ+の医療の未来を変えるのは誰か~」
【ゲスト】
・高井 ゆと里さん(東京大学 特任研究員 / Tネットアドバイザー)
・武田 裕子さん (順天堂大学大学院医学研究科 医師)
・吉田 絵理子さん(一般社団法人にじいろドクターズ 医師)
【聞き手】
生島 嗣 (ぷれいす東京代表)
■会場参加者・スタッフ 50名
2026年5月24日(日)「2025年度活動報告会」【ハイブリッド開催】のご案内ページはこちら。