アクティビティー

第31回日本エイズ学会学術集会・総会のご報告

2017年11月24日(金)~26日(日)に、中野区で、ぷれいす東京代表の生島が会長を務めた第31回日本エイズ学会学術集会・総会が開催され、無事終了しました。

第31回日本エイズ学会学術集会・総会 「お礼のあいさつ」
http://aids31.ptokyo.org/news/212

また、下記サイトでは学会の様子がわかりますので、興味のある方はごらんください。
第31回日本エイズ学会学術集会・総会 SNS
Webサイト http://aids31.ptokyo.org/

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学会に参加・協力していただいた方々の感想文をお届けします。

参加者感想文

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【超多忙のなかで感じられた感謝の念と出会い】井上 洋士(放送大学/株式会社アクセライト)
第31回日本エイズ学会学術集会とTOKYO AIDS WEEKS 2017は私にとって試練でした。
座長や演者など計9つの役割をいただき、当日でさえ「私はどこで何をしたらいいの?」と、グーグルカレンダーの言うなりに動いていました。それでも貴重な時間を割いて私の話を聞きに来られる皆さんに、何を提案し、やり取りしようかと、私なりに考えたつもりです。結果、大勢の方々にご参加いただき、また出会えたので、それだけでも満足。HIV Futures Japanプロジェクトでは展示ブースを出したのですが、ほとんど私がいない中で多くの方に搬入から撤去までしていただき、一体感と感謝の念を抱かされました。
残念だったのは、自分の出番以外のセッションにほとんど出られなかったこと。とはいえ、ここで出会った人たちとのネットワークを大切に、今後もHIVの課題に取り組んでいきたいと思います。貴重な機会本当にありがとうございました!

【POSITIVE TALK 2017】高久 陽介(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+))
今学会から、複数のHIV陽性者がスピーチを行う「POSITIVE TALK」という企画が新たにスタートしました。私はJaNP+でのスピーカー派遣事業の経験を活かし、スピーカーの募集から当日の座長まで担当させていただきました。
残念ながら、このセッションの良さを紙面で伝えることは困難です。大勢の前で緊張しながら、自ら経験や思いを言葉にするHIV陽性者の姿に触れてもらうしかありません。しかし、専門家が集うエイズ学会で、あえてHIV陽性者が登壇し、その語りに耳を傾ける意義について説明するならば、それは「HIVがいかに人生に影響を与えているか」という私たちにとっての真実を証明する場が必要だということに尽きます。治療が進歩し、福祉制度が整い、ウイルスを抑制すれば他者への感染が防げると言われる今だからこそ、意味があるように思います。
2018年は大阪、2019年の熊本で開催される日本エイズ学会でも、引き続きPOSITIVE TALKセッションが組まれるようです。ぜひご参加ください。

【わくわくしたエイズ学会】砂川 秀樹(ぷれいす東京)
第31回エイズ学会学術集会・総会(以下、学会)の開催期間中、私は、フェイスブックのライブ放送を担当しました。このライブ放送では、海外ゲストやプリナリースピーカーの方、各部門長などのインタビューをおこないました(海外ゲストには、高井明子さんが通訳やインタビュアーを務めてくれました)。
この動画は、現在も学会ページで観ることができます(フェイスブックで「#AIDSjp」と検索を…アカウントを持っていなくても観られます)。
今回初めておこなわれた「ユースプログラム」への参加者へのインタビューは、未来への希望を感じられるものでした。
今回の学会では、PrEP(暴露前予防投薬)という新しいテーマが注目を浴び、また、MSM(男性と性行為をする男性)のセッションも目立っていたこともあり、私にとってはワクワクできた学会でした。その様な学会に関われたことをとても嬉しく思います。

【感想文タイトル】島田 恵(首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 )
学会でのユース・プログラムは、初の試みだったようです。プログラムのポイントは、“リアル”を知り、学際的グループで意見を交わすことでした。
まず医師から抗HIV療法の進歩を学び、コーディネーターナース、薬剤師、ソーシャルワーカーから陽性者支援の実際を知り、陽性者お二人からは服薬や恋愛のしくじりを伺いました。その後、学際的グループで①今日初めて知ったこと、②将来どのような専門職になりたいか、③今から自分にできることについて、意見を交わしました。各自の意見はテーマ別に色の違う葉っぱに書き、それを大きな木の枝に貼ってその木をバックに写真を撮りました。
このプログラムに参加したユースの皆さんは、それぞれの専門性と違いを知り、逆に自分の専門性を知ることになったのではないか、そして陽性者の方の体験を伺い、一個人としての自分自身にも目が向いたのではないかと思います。今後も続くと良いと思うプログラムです。

【学会を振り返って(薬剤師編)】 Pharm(薬剤師)
今回のエイズ学会の感想を、参加した薬剤師数名に聞きました。皆さんの感想は一様に、とても面白かった! 臨床系全般に言えるのかもしれませんが、興味のある口演やシンポジウムの時間配分も良く、動きやすかったようです。
1日目の夕方に開催された「HIV感染症薬物療法認定・専門薬剤師認定講習会」では、感染症コンサルタントの青木眞先生が症例解説をしてくださいました。200名を超える参加者があり、立ち見が出るほどの盛況でした。
2日目の共催シンポ、薬剤師ワークショップ「HIV 感染者の生涯にわたるレジメンマネージメント(合併症と薬物相互作用 ― 薬剤師の観点から)」には事前登録した薬剤師約60名に加え、当日見学者も約60名が集まり、熱い議論が展開されました。
中野市役所に掲げられたレッドリボンをバックに記念撮影をするなど、楽しく3日間を過ごすことができました。関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。

【かかりつけ歯科医はいますか?】(鈴木歯科クリニック)
私がぷれいす東京の生島さんとの出会いをきっかけとして陽性者の歯科治療を始めた頃は、まだまだ死に至る病として恐れられ、差別も偏見もあり歯科開業医では治療できない、診療拒否の問題もありました。
あれから23年が経ちます。抗HIV薬の開発により、今では慢性疾患として天寿を全うできる疾患として認識されるようになって来ました。歯科医療は、すべてのライフステージに関わる医療です。普通の患者さんと同じように健康寿命を延ばすことを考えましょう! 歯周病と全身疾患(糖尿病、肺炎、HIV感染症など)の関係性も近年の研究により明らかになってきましたし、歯科も歯の治療をする時代から口腔ケアを中心とした管理の時代になりつつあります。
その為には、何でも相談できる話せる信頼できる「かかりつけ歯科医」が必要になってきます。痛い時に行く歯科医院より、健康管理のための歯科医院です。是非ともかかりつけ歯科医を見つけておいて下さい。

【エイズ学会学術集会の事務局を経験して】折茂 淳
今回、縁があり事務局を担当しました。学会の開催にあたっては、資金集めや広告宣伝、様々な手配や関係先との調整など多方面の諸案件を解決していく必要があり、1年以上前から学会運営の専門会社を交えて準備を重ねてきました。打合せの際に、それぞれの意見が折り合わず口調が厳しくなる場面もありましたが、それも学会を成功させたいという、互いの気持ちからであり、そうしたやり取りを通して連携が強まりました。
夏以降は生島さんが思い描いている事を実現するためのサポートに注力しました。中野区庁舎にかかった大きなレッドリボンを見た時はとても嬉しく感じました。
学会当日は突発的に発生する諸事の対応に追われ、始まったと思ったら、あっという間に終わっていたのが実感です。準備期間から学会当日まで多くの方々に支えられ、協力していただいたおかげで大任を果たすことができました。とても貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

【第31回日本エイズ学会臨床部門】岡 慎一 (ACC)
臨床部門は、治療の進歩により、感染者の高齢化や、新規感染者を増やさないための予防が重視されていた。この点では、臨床部門はより社会部門との連携を強くしていく必要があるが、プレイス東京の生島さんを会長として開催された本学会は、まさに時をえたものであったと思う。
今回の臨床部門では、海外演者としてアジアではHIV診療の最も進んだ国タイからチュラロンコン大学のKiat教授に来ていただいた。アジア人の体格に合わせた治療薬の減量や、タイでの曝露前予防のお話しは、今後の日本での治療・予防に大変示唆を与えてくれるものであった。
社会との合同で行われたHIV将来予測と流行阻止のシンポジュウムは、今後の日本の疫学研究のあり方に一石を投じたものであった。
この学会を契機にして、新規感染者の減少につながっていくことを祈念している。

【ユースプログラムを主催して】関根 祐介(東京医科大学病院 薬剤部 )
2017年11月26日、第31回日本エイズ学会において、ユースプログラム「日本のHIV/AIDSチーム医療/支援はオモシロい!」を行いました。本プログラムは、医療・福祉を学ぶ学生にHIV/AIDSへのイメージをアップデートし、HIV/AIDSチーム医療/支援の面白さを伝えることが目的です。
当日は34名の学生が参加してくれました。はじめにHIV/AIDS医療の基礎講座、医療者の先輩トーク、陽性者によるしくじりトーク~服薬編/恋愛編~を聴講し、グループワークを行いました。グループワークでは①新しく知ったこと、②今すぐにできる事、③将来のキャリアの為にしたいことについてディスカッションしました。
参加者からは、陽性者の経験や悩みを聞けて視野が広がった。他学科・他職種との交流ができた。などの声があり大変好評でした。本プログラムを通してHIV/AIDSに携わる若い力が生まれたとこと思います。

【声を上げ続けていきたい】齋藤達也(AIDS感染当事者)
AIDS学会のスカラシップ制度が無くなっても、当事者参加の声をつなげていきたい、そんな想いが燻っていました。クラウドファンディングならどうだろうか? 有志の会やスポンサー色のない生の声をと思っている時に、ぷれいす東京の代表の生島さんから、文集に拘らないで参加者の声をアップデートしてみたらどう?との提案もあり、短い文章でInstagram #AIDSjpで医療従事者、当事者など交流スペースに来られた方々の過去現在未来へ繋ぐメッセージボードが完成しました。
当事者参加意識の高い医学学会としては数少ない貴重な体験をさせて頂き、皆さんのひと言に次のAIDS学会でもバトンを繋いで行って欲しいと想いを強くしました。

【感想文タイトル】YUJI (ぷれいす東京)
ボランティアとして初めて参加しました。エイズに関する研究等をどのように進んでいくのかを知りたいと思いました。
TOKYO AIDS WEEKS 2017 は事前のボランティアでしたが講義で手話通訳付いてる事で聴覚障害者の方に安心して参加出来た事を嬉しく思いました。第31回日本エイズ学会・学術集会では私と相方と一緒にボランティアとして参加し、照明係を担当してきました。
発表では薬歴等を大変に勉強になりました。英文で全然読めませんでした(笑)
これからももっと知識等を学びながらボランティアスタッフとして活動を進んでいきたいと思います。実行委員、スタッフ方の皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

【社会系から6年越しの学会会長】市川 誠一(人間環境大学看護学部)
基礎、臨床、社会の3領域で構成される日本エイズ学会、2017年総会は6年ぶりの社会系会長の主催でした。
エイズは、1981年に米国から報告された後天性の免疫障害による死亡事例が発端でしたが、その後世界的な規模の公衆衛生上の課題であることがわかりました。とりわけ偏見と差別によって脆弱な対策環境におかれた人々がもっともHIV感染を受けています。このことからも社会におけるエイズへの取り組みが重要であることは明らかです。私たちの健康問題は、それをかかえる人たちが参加してこそ一つ一つ解決していけるもので、今年のエイズ学会では随所に参加型の企画が盛り込まれていました。
また、中野区役所、商店街と社会のさまざまな構成メンバーの参画もあり、学術研究の発表と社会への啓発がコラボしたような感じでした。ボランティアの皆さん、コーラスの皆さん、生島さん、ご苦労様でした。 最高に面白かったです。

【感想文タイトル】HIBIKI
生島会長のリーダーシップのもと、基礎・臨床・社会の三者間の相互理解を深めるための様々な努力が感じられました。
基礎部門担当としては、、、二人の海外演者の基礎企画特別講演も、基礎・臨床・社会の相互理解に貢献できたのではないかと思っています。特にNittaya博士の講演は、3部門を統合するもので、期待とおりの内容でした。また、Hendrik博士は、講演だけでなく、インタビュー等を含め、いろいろな方々とコミュニケーションをとって活躍してくれました。
一方、シンポジウム、ワークショップおよび一般演題では、純粋なBasic ResearchからTranslational Researchまで活発な議論が行われ、次世代を担う若手研究者の今後の活躍への期待を肌で感ずることができたと思います。

【初めてのエイズ学会】bda ORGANIC((株)スパイスアンリミテッド )
今回、初めてエイズ学会に出展させて頂き、セクシュアル・アメニティ・ブランド「bda ORGANI」を、医療従事者の皆様に初めてお披露目させて頂きました。
私たちのブランドは、「セックスに関わるすべての人がセックスを楽しめるように」をミッションに立ち上げた「セクシュアル・ヘルス次世代基金」を通して、売上の一部をセクシュアルヘルスに関わる活動団体の取り組みに公募型、基金助成する予定です。
今回のエイズ学会では、医療従事者様やHIV患者様のサポートをされているソーシャルワーカーの方などとお話でき、とても勉強になりました。また、ブランド開発に当たりアドバイスを頂いた性感染症などに関わる医師の方々にも再会でき、完成した商品を見ていただけました。
今後も様々な皆様よりアドバイスを頂きながら、お役に立てるようなブランドや基金を目指していけたらと思っております。
貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。

【感想文タイトル】 ヒロト(ぷれいす東京)
HIVはきわめて私的なできごと、秘めたる自分事にすぎなかった。それが、初めて学会に参加して、みんなのできごと、仲間とともに語るできごとになった。
僕の仲間は「同じ境遇にいる人たち」だと思っていた。でも、いまの僕の仲間は「同じ思いを持つ人たち」だ。
ごく普通の参加者とともに、ごく普通の会場でプログラムに参加して発表を聞く。ごく普通の業者さんや、ごく普通のスタッフさんたちと協力し、笑い、励まし合いながら一つのものを作っていく。たくさんの人たちと共に走る中でいちばん変わったものは、他でもない僕の中の「世の中に対する偏見」だったのかもしれない。
多角度からの発表やトークには、ハッとさせられる多くの知見があった。僕らの価値観を変えるかもしれない大切な言葉や気づきは、すでに開かれた場所にある。僕らが接近しようとしないだけで、学会の側が「接近困難層」というわけではないことに、これまで学会に足を向けたことがない人はぜひ気づいてほしい。

【エイズ対策の曲がり角で示したコミュニティの決意】 長谷川 博史(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)
日本のエイズ対策の歴史を考える時、今回のエイズ学会の意義は大きい。
抗HIV治療が進んだ現在、これまで手を携えて歩んで来た医学セクターと社会セクターの間に微妙な距離感が生まれている。またMSM対策についてもコミュニケーション手段の変化にともない新たなアプローチが求められている。そんな中で社会のHIV/エイズに対する偏見はほとんど解消されず、新たに感染を告知される患者はその偏見を自らに向けることも相変らず多い。
そんな状況の中、永年HIV陽性者支援に尽力して来た生島会長の思いは医学とコミュニティの連帯の再確認にあったのだろう。全体として学会長の思いが十分に反映された学会だったように感じた。特にコミュニティに向けたTOKYO AIDS WEEKS 2017の学会との併催は両者の連携の必要性を改めて提言した。
また、今学会長は初めて自らのセクシュアリティを公表したゲイであったことも明確に記憶と記録に留めておきたい。

【笑顔のステージ】加藤 力也(ネスト・プログラム)
TOKYO AIDS WEEKSでのゲイ合唱によるミニ・コンサートも今回で3回目。
過去2回は国立国際医療研究センターでの開催でしたが、今回は日本エイズ学会の会場でもあるコングレスクエア中野の地下ホワイエで行われました。
少ない練習を自主練習で補ってもらいながら迎えた当日。30名弱の参加者が全員で顔を合わせたのもこの日が初めて。指揮のなおきさん、ピアノのべーすけさんの指導の下、本番に向けてテンションが上がります。
思ったよりも小さいステージにぎゅうぎゅうになりながら並ぶと、高い天井とひしめくお客さんの顔が見えました。
演奏が始まりました。会場に響く自分達の歌声。リズムを取りながら聴いて下さる人、人、人。会場が一体となって楽しむ感じがとても嬉しくて、思わずステージのみんなも笑顔に。
6曲を歌い終えて、急遽打ち合わせにもなかったアンコール。最初に歌った『POP STAR』を再演。楽しい雰囲気で締め括ることができました。
来年もまた笑顔で再会できますように。

【今回の学会開催地の議員として感じたこと(学会と地域振興の連携)】石坂わたる(東京都中野区区議会議員)
区の担当者の協力によって区役所の外壁、中野駅の駅頭、駅前商店街に掲げられた大きなレッドリボンの垂れ幕。今回の学会とウィークスを振り返り、区長から「民間団体や商店街など、関係者との連携体制ができ、地域振興を進める機会になった。最新のHIV医療の現状や研究成果に区民も接することができた。この成果を今後は行政の取り組みに生かしたい。」との発言もありました。
今回の中野区側のエイズ学会、エイズウィークスの担当は保健所や健康福祉部ではなく、都市政策推進室の「都市観光・地域活性化担当」が担い、いかに産学公の連携に地元の商店街や住民を巻き込み、来街者に中野区の取り組みをアピールするかに重点が置かれ、区は今回の会場調整や商店街でのフラッグ掲出の調整、学会やイベントなどの情報発信を担いました。その結果、日本全国から学識経験者・医療関係者・福祉関係者など、多くの方々に中野区を知ってもらい、区民や街ゆく買い物客・通勤者にも、掲出されたレッドリボンなどを通して、レッドリボンやHIVについて考えるきっかけを供することができました。今後の学会開催等が「地域に好影響をもたらすイベント」として他の多くの自治体にも受け止めてもらえたらと思います。

第31回日本エイズ学会学術集会・総会

■日 時
2017年11月24日(金)〜11月26日(日)

■会 場
中野サンプラザ
コングレスクエア中野

■会 長
生島 嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京 代表)

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