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ぷれいすトーク 『感情の「みかた」』の感想文を掲載しました

ぷれいすトーク 堀越勝さん(右)2018年1月27日に、認知行動療法の専門家である堀越勝氏(国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長)(写真右側)を招き学習会を開催しました。
「つらい感情も、あなたの「味方」になります」という言葉は、多くの人たちの心を動かしました。「ぷれいすトーク」という誰にでも開いた場でもあり、いつもより広がりのある顔ぶれでした。遠方から初めてこの会のために来た方、家族や友人を誘っての参加、以前ぷれいす東京で活動していて久しぶりにいらした方などが参加してくださった。また、陽性者やその周囲の人たちだけでなく、普段あまりHIV/エイズへの関わりがない方まで、幅広い層の参加があり、84名を数えました。また開催して欲しいという声も聞こえて来くるくらい、貴重な講演でした。
堀越勝さんに、この場をお借りして、お礼を申し上げます。

参加者感想文

「感情が発するアラーム」とんすけ

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私はHIV陽性、双極性障害、脳血管障害、糖尿病…決してポジティブ感情になれない環境下で更に、誰にも助けて!とも言えず貝のような毎日を送っています。唯一の救いは通院先のカウンセラーと主治医と話す時間のみ。助けて!と言える友人もいないので今回のような講演会に自ら参加しようと行動に移したのは初めてのことでした。

堀越先生のお話にもありましたが、行動は自分の考え、やがて感情を変えていくというお話はとてもわかりやすく、私でも実践できそうだと思いました。

感情が発するアラームから逃げるよりも気づいている方がいいというお話はアラームから逃げている私にとって胸の痛い話ではありました。

毎日生活していて不安のアラームが鳴りっぱなし。まともに聞いていたら「いやーーーー!」と叫んでしまいます。すぐにはできないかもしれませんが、不安の感情のアラームを一つ一つ聞き、医師やカウンセラー、親友などに話せるようになれたらいいと今日の講演を聞き、少しずつ行動に移せたらと思いました。

とてもわかりやすく感情、人間関係、自分自身の内面について教えていただいてとても勉強になりました。また機会がありましたらもっと詳しくお話しを伺いたいと思います。

私のような精神科に通い、カウンセリングを受けている者でもココロの中がモヤモヤしている毎日が今日のお話で少しスッキリしました。やはり行動は大切ですね。

今日は本当に貴重なお話、ありがとうございました。今後の参考にさせていただきます。

「わたしのすべては感情と関係からできていた」江間繁博(出版社勤務)

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生物としての「わたし」は何十兆個もの細胞からできている。でも、人としての「わたし」はそんな無機質なものじゃない。ひと時も感情と関係から無縁ではなかった。

いま、心のなかにどんな感情があるのか、なぜそういう感情が出てきたのか、その感情によってどういう考え方や行動につながったのか。その仕組みに気づいて、もう少し自分のことを離れて観ることができたら、ずいぶんと気を楽に過ごせたんじゃないかと思う。
きょうの堀越勝先生のお話はそのことを教えてくれた。

「喜び」という感情はいいのだが、厄介なのがネガティブ感情の「怒り」「悲しみ」「不安」。いつもふとしたことで現れ、しだいに大きくなり自分を苦しめてくる。堀越先生はそれを、自分のなかに何が起こっているのかを知らせてくれるアラームなんだという。アラームとして受け止め、心のなかに及ぼしている感情の働きに気づくことで、その感情を小さくしていくことができる。その時に大切なのが人と信頼や安心できる関係を持てているかが重要。そういう人が三人いればいいそうです。

人は一人で生きていけないし、もし周りに心の苦しみを抱えている人がいれば、そういう関係を築いていてあげたいと思うし、わたしがそうなった時はそういう関係を持っていたい。関係性が築けていれば「頑張ってみよう」という言葉も禁句ではないという。

「ラサへの歩き方 祈りの2400㎞」という映画を見た。チベットの聖地ラサへ五体投地で巡礼をする旅を描いたドキュメンタリー。そこに登場する人たちが、穏やかな時間とともに、物事を受け入れ、人を認め合う姿のなかに、感情と関係の豊かな世界がありました。

「“傷付いた人は、愛され、支えられる必要がある”という言葉がずっと聞きたかったんだ」しんしん

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日々生まれ変わりたいと願っている自分自身のため、支援職としての認知行動療法への関心から参加。誉め言葉も否定的に受けとめがちな、セクマイの親友を連れて。

「ネガティブな感情こそ自分の味方になり得る」という冒頭の言葉に、ノックアウトされた。感情とそんなに自覚的、意識的につきあったことはなかった気がする。怒りは、危険を知らせてくれるアラームだという。

何かとても重要なことを伝えようとしてくれていることは、わかった。でも、最初は図式を多用した抽象的な内容についていくのもやっと。それが質疑応答の時間になって、心をわしづかみにされた。

「『他人は変えられないから、自分をまず変える』という考え方をどう思われますか?」というような質問だったと思う。「それを聞くと、裁かれた気分になります。まず、傷付いた人は、愛され、支えられる必要があります。寄り添うことから始めないと」という返事に、すっと、気が楽になった。

この言葉が、私はずっと聞きたかったんだと気づいた。自分を変えようと思いながら、心の痛みを一時的に忘れようと、つい悪循環に陥っていたから。

堀越さんにも人に言えない秘密があるとうかがって、ご自身の回復の過程も、できれば、お聞きしたかったなと思った。会場でご著書を入手。以来、少しずつ読んでいる。自分にかける言葉の大切さなど、深く深く心に浸透してきている手応えがある。堀越さん、ぷれいすの皆さん、ありがとうございました!

「話し方ではなく聞き方の大切さ」白幡 晶(大学教員)

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妻が“ぷれいす東京”でボランティアをしている関係で、今回の講演を知り、参加させて頂きました。ご著書『感情の「みかた」』は、すでに共感を持って拝読していましたが、感情の扱い方に対する考え方や相談事例のお話を通して、非常に誠実な堀越先生の臨床家としての姿勢や適格なアドバイスにあらためて感銘を受けました。教育機関に従事する身としても、「関係をよりよくしてくれるのは、話し方ではなく聞き方である」など、多様な悩みを抱える学生たちに対応を迫られる大学教職員にとって、重要な視点をご教示いただいたと思っています。

情報が氾濫するストレスフルな社会環境で悩みを抱える人々との対応では、相談業務に従事する方たちが、クライエントの負のエネルギーに自らが巻き込まれることを回避する必要があるように思います。その意味で、悩みの本質をわかりやすく解説頂いたご講演は、クライエントの怒りや喪失感の源とともに、相談を受ける側の明確な立ち位置も示してくださっているのだろうと思います。質疑応答を通して、そのことも強く感じた次第です。

「人生は春夏秋冬の絵画のようなもの」森田和弥(マリア・ボーゲン)(役者、歌手、心抽象画家)

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黒は色々な違う色からできている
絵描きをしてる友人に昔聞いた言葉を思い出した
真っ暗闇のような僕の感情…
いつの頃からだったんだろうか
僕は自分の感情を抑えるようになったのは…
幼稚園の頃は、無邪気に好きな女性アイドルを真似して歌って踊ってた…

あの楽しかった気持ちを素直に出せなくなったのは…
長年言葉にもならなかった
僕の「…」。

男なのに女みたい…
オカマ…

心がガラスみたいに粉々になったような
怖くて悲しくて苦しかったこの気持ち
ゴミ箱に捨ててしまおうとしてたら、本当の自分がわからなくなって僕は離人症になった

ゲイをカミングアウトして
悲しいことも辛いことも嬉しいこともし
絵にしたり、歌にしたり、芝居をしていきたい
それがエネルギーになるから

僕は僕の「みかた」になる
味方
見方
診方
人生は舞台のように幕が開くことと、閉じることに似てる
沢山の感情を知ることは、愛の広さや深さを表現できる人になるためと思う

舞台に立って役を演じる時
どこからか大きなエネルギーが湧いてくる

自分では誰か他の人を演じながら
喜怒哀楽の感情の引き出しが
こんな自分にあったのか
不思議に思うほど
人生に起きる良いことだけでなく、悪いことも糧になっていると思う瞬間だ

「心は人に与えられた土地のようなものである」

僕は「人生は、舞台のよう」に思う
幕の向こうにいるもう一人の自分の心がより広く深く豊かになるための舞台
感情はガソリンのようなエネルギー
操作できる自分の心を育てるのは、今の自分の役なんだ

 

ぷれいすトーク『感情の「みかた」 〜つらい感情も、あなたの「味方」になります。〜』 概要

■日 時 2018年1月27日(土) 18:30〜20:30(開場18:00)

■会 場 新宿区戸塚地域センター 多目的ホール(7F)

■ゲスト 堀越 勝さん(国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長)
【プロフィール】
米国にて臨床心理学博士。米国マサチューセッツ州クリニカル・サイコロジスト。長年米国の病院に勤務ののち、筑波大学大学院、駿河台大学大学院などで教鞭を取り、2010年より現研究所勤務。著書:『感情の「みかた」』(発行:いきいき株式会社(現:株式会社ハルメク)、他著書・論文など多数。

■参加者 84名

■主催 特定非営利活動法人ぷれいす東京

■後援 ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会

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