スタッフ日記

Rights,Light ライツ ライト。

先週劇団フライングステージの舞台を観に行きました。

ご存知ない方のために。
劇団フライングステージとは、カミングアウトしている「ゲイの劇団」を標榜し、ゲイであることにこだわったお芝居を1992年から作り続けている劇団です。
自分は旗揚げの直後からしばしば観に伺っています。

今回のお芝居のテーマはまさに「HIV」。
昨年起きた、HIVであることを告げなかったことで就職内定取り消しに遭ったことを訴えた裁判を題材に、本人やその周囲の人々を描いた物語です。
かつて「どう死ぬか」という描かれ方しかされなかったHIV/エイズを巡るお話は、今は「どう生きるか」という方向に完全にシフトしています。

もちろん完全なノンフィクションではないので、登場人物のキャラクターやお話の筋には独自の演出が施されているものの、自分が良く知っている人物を当てはめたりして、そんな発見も楽しみの一つでした。

HIVによって人生に変化を感じる人は多いかも知れません。
かつて自分自身も不当解雇の憂き目に遭いそうになったことがあり、とても他人事とは思えない内容でした。
あの頃、自分も「自分だけではなく後に続く同じような立場のみんなのため」と思って闘っていましたが、本当は自分が傷付けられたことに大きな怒りや悲しみを持っていたのだと今は思います。

折しも新型コロナウイルスと向き合わざるを得ない日常で、改めて「ウイルス」との闘い方・向き合い方・付き合い方について考えました。
舞台の最中にも、物語を中断させることなく上手く場内換気を行ったり、この時期ならではの工夫がたくさん見られました。
考えるだけではなく、そこで自然に動く感情に身を任せる心地良さを久し振りに味わった気がします。

真っ正面から取り上げるには、かなり重たいテーマかなとも思いました。
でも、そこは流石フライングステージ、彼ら流の料理でとても素敵な作品に仕上がっていました。
代表の関根さんを始め、この舞台に携わっているみなさんの真摯な姿勢が溢れ出るステージでした。

かとう

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