スタッフ日記

逆転人生。

先日NHKで放送された『逆転人生〜どん底からはい上がった人々の、真実の物語』をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
日本のLGBT活動の先駆者、南定四郎さんのこれまでの軌跡を辿る番組でした。

南さんと最初にお会いしたのは、1992年の夏。
全国のゲイ・サークルが集まった交流合宿の場でした。

私は学生時代、地元の北海道でゲイ・サークルに所属していて、東京の団体などとも親交を持っていました。
卒業して東北で働き始めたその年に、仙台で交流合宿を行うという案内をもらい、勇んで参加しました。
その合宿で活動の歴史を学ぶために講師としてお招きしたのが南さんだったのです。

当時還暦を迎えたばかりの南さんは他の誰よりもお元気で、バイタリティに満ちた方だなという印象でした。
10代の頃から読んでいたゲイ雑誌「アドン」の編集長であることは存じていましたが、今とは比べ物にならない程暗かったゲイ社会で、道を切り開いていらしたのだなと感銘を受けたのを覚えています。

それから2年後の1994年、東京でパレードを開催するという案内が届きました。
詳細が良く分からないまま、住んでいた東北から前泊で東京へ。
日本青年館の大広間に多くのセクシュアル・マイノリティの仲間が雑魚寝。
パレードに参加するかどうかも決めずに上京したのですが、ここで歩くことに決めました。

番組の中では、このパレード開催に当たってなかなか理解を得られず、人を集めるのにとても苦労したことが描写されています。
私は地方在住で、ただ単にキラキラした都会のお祭りに参加するような軽い気持ちでいました。
開催の陰では、南さんを始めたくさんの方々の苦労があったのだと思います。

パレード当日、急遽女装で参加することになり、この日が自身もドラァグデビューとなるジャスミンさんにウェディングドレスをお借りして、メイクも他の方にやって頂き、準備は全て負んぶに抱っこ。
集合場所は新宿中央公園でした。
タクシーを降りた瞬間、メディアのカメラのフラッシュの嵐で、有名人にでもなった気分(笑)。
南さん達と先頭集団を歩かせて頂きました。
2mはあるドレスの裾を友人に持ってもらい、自分のセクシュアリティをオープンにして胸を張って歩ける幸せを噛み締めました。

実はこの1994年という年は、ぷれいす東京設立の年でもあります。
今から26年前、ここがスタート地点だったのだと思っています。

番組は今だと見逃し配信をしているようです。
未見の方はぜひご覧ください。

https://www.nhk.jp/p/gyakuten-j/ts/JYL878GRKG/

↓初パレード参加時の私です(笑)。

かとう

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