スタッフ日記

30年ひと昔

ある大学のキャンパスで開催されていた「沈黙=死:エイズ危機とドラァグ」という公開講座に行きました。20世紀前半から現在に至るまでのアメリカのゲイ・アクティヴィズムの潮流にHIV/AIDSの登場が与えた影響と、エイズ・アクティヴィズムの位置づけなどを重ねていくお話でした。

1981年に初めてAIDSの症例が報告されてから、今年で丸30年。先だって東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映されたドキュメンタリー『あの頃、僕らは―いま語られるエイズの記憶』など、HIV/AIDSと、HIV/AIDSを取りまく人たちの歩んできた歴史を振り返る機会が増えています。

 

参考:

●カイザー・ファミリー財団による、アメリカのHIV/AIDSの登場からの30年間を追うドキュメンタリー映像 http://www.kff.org/hivaids/062111vid.cfm

●アメリカ政府の保健社会福祉省による、HIV/AIDS30周年の特設サイト http://aids.gov/thirty-years-of-aids/

 

HIV/AIDSの登場で、その感染機会の多さなどからとりわけ大きな影響を受けたゲイの危機に際し、コミュニティ内でレズビアンなど他のセクシュアル・マイノリティたちと大きく団結する契機となったというアメリカの例が紹介されたことに対し、聴衆のひとりから、日本ではゲイのHIV/AIDS活動とレズビアンたちとはともに年々離れていってしまっているのではないかという投げかけがあったのが印象に残りました。個人的にも、その辺りは道半ばかと感じているところです。

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HIV陽性者参加支援スカラシップ委員会の恊働シンポジウムなどで、日本でもHIV/AIDSにかかわる医療の進歩や、免疫機能障害の認定など現在ある社会制度ができた背景などに言及があると、以前の状況を知らない比較的若い参加者らから新鮮な反応があります(興味のある方は、過去のスカラシップ報告書などもご覧ください)。

はばたき福祉事業団、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラスとぷれいす東京の共催でお送りする今度のHIV陽性者参加支援スカラシップ委員会恊働シンポジウム企画は、今年見直しの検討が行われたエイズ予防指針をテーマにした『HIV陽性者によるエイズ対策への参画』。今月末の日本エイズ学会学術集会・総会に行かれる方は、ぜひこちらもよろしくお願いします。

おーつき

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