スタッフ日記

Hello from DC, Part 6

UMD1推定では、アメリカの大学生のおよそ500人に1人がHIV陽性であると言われています。

メリーランド大学で働いている友人から、アメリカの典型的な(※本人談)大学でHIV/AIDSやLGBTがどう扱われているか教えてあげるから見においでよーと言われ、会議場から電車で20分ほどのところにある大学のキャンパスにお邪魔してきました。

メリーランド大学カレッジパーク校は、学生37,000人、教職員4,000人ほどを抱える州立の総合大学。一般的に私立大学の方がレベルが高いと言われるアメリカで、公立大学でありながらさまざまな大学ランキングの上位に入る名門校です。 キャンパス内で学生(や教職員)がHIV/AIDSに関するサービスを受けられる場所としてはまずヘルス・センターとそれに併設されるクリニックがありますが、他のさまざまな学生向けサービスもHIV/AIDS、そしてLGBTフレンドリーな配慮がなされているとのことです。

例)

  • ヘルス・センターでは毎年入学式の頃に無料HIV検査を実施。常設のHIV検査も安価で、学外の人たちも利用できる。
  • 学務課には、LGBTの学生の対応を専門とするスタッフがいる。
  • カウンセリング・センターにはLGBT対応のカウンセラーがいて、毎日LGBTの学生およびLGBTを親に持つ学生向けの相談受付時間が設定されている。
  • キャリア・センターではLGBTフレンドリーな企業のリストを作成し、LGBT向け就職フェアを主催。特別なニーズを持つ学生には、本人に代わって企業に連絡するなどさまざまな就職支援を行う。
  • 8名のスタッフを擁するLGBTセンターがキャンパス内にある。カミングアウトしているLGBTの教職員リスト(しかも長〜いリスト)を作成しネットワーク化したり、学内にたくさん存在するLGBTの学生サークルをコーディネートしたりするのも業務のひとつ。LGBT卒業式などのイベントや、キャンパス内外へ向けたLGBT問題に関わる研修も開催。
  • LGBTスタディーズが学部生の副専攻として選べるほか、LGBTスタディーズ概論は一般教養科目のひとつに設定されている。
  • LGBTの学生向けに数種類の奨学金が用意されている。etc.

日本の大学とはだいぶ様相が異なるのではないかと思いますが、印象的だったのは、HIV陽性者の相談を受けているヘルス・センターの看護師のお話。HIV陽性とわかった学生の多くは、これまで一部の開発途上国の問題だという感覚だったHIV/AIDSがまさか自分の身に起こるとは思わなかった、などとショックを受けるといいます。日本よりHIV陽性者数が多く、またHIV/AIDSに関わるメッセージがだいぶ目に見える環境にある人たちでも、本人が意識をしなければやはりHIV/AIDSは他人事となるのかもしれません。

UMD2

ヘルス・センター

 

UMD3

LGBTセンター

おーつき

スタッフ日記 へ