陽性者と家族の日記

A Love Letter

11月の始め、長年連れ添ってきた僕の大切な人が 急に亡くなりました。

(前回の日記では ぼかして表現していました…)

 

四十九日の法要も終わったので、僕は 彼に手紙を書きました。

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はろー。しばらく会ってないけど 調子はどう?

君がいない日常に ちょっとだけ慣れてきたよー。

もちろん、突然過ぎて 今でも完全に受け入れられたわけじゃないけどね…

グワーッと号泣して スッキリ…ってな具合に解決できればいいんだろうけど そんなに単純なものじゃないな…傷が自然に乾くまで じっと待つしかないんだと思う。

 

毎晩、夜遅くまで…言葉じゃなく、スタンプの連続技でやりとりしていた僕らのLINE。

君の妹さんたちと一緒にテーマパークに行ったとき

「お兄ちゃんたち、バカップルじゃん!!」

と笑われたとき…僕らも顔を見合わせ 照れて笑ったね。

君がお母さんや妹さんに自分のことをいろいろと話してくれてたおかげで、僕は君の郷里に何度も同行して楽しい時間を過ごすことができた。

 

君が亡くなった後 僕は君のお母さんと一緒に いろんな役所を回って手続きをしたよ。

その合間に部屋の掃除をし 僕が知らなかった幼い時からの君の物語を たっぷり聞かせてもらうことができました。

欠けていたジグゾーパズルのピースがだんだん埋まっていく中で 僕は改めて 君を思った。

 

君はシャイで寡黙で 自分について多くを語ろうとしなかったね…なぜだろう?

君が何を考えているのか分からず 困り果てたりもしたけど…結局 僕は君から離れなかった。

優しそうな外見とは裏腹に 内面は気難しいところがたくさんあったよね。

でも それって 僕もそうだし。似たもの同士だって最初っから気づいてたんだよね。

僕は 周囲に誤解されやすい君をずっと守りたかった。

僕が苦しんでたのと同じ道をたどってるのが分かってたから ほっとけなくて。

 

「じゃ、また明日ね! おやすみー」

「おやすみー」

最後の夜、いつもと同じLINEのスタンプ会話。

ふたりとも かわいいキャラクターが大好きで…

ねえ!(^^)!

 

でも…僕たちに 翌日は来なくて 君は 僕の知らない遠くへ行っちゃった。

 

一緒に旅行に行った北海道や東北、関西、九州…楽しかったね。

女性アイドルグループの握手会、仙台や神戸にまで遠征したね!

でも…

一緒に近所のスーパーで買い物をし “おいしいね” って同じものを食べ、

映画館やコンサートの帰りに まったりとお茶しながら感想を語り合い、

隣の助手席で スマホの音源をFMトランスミッタに流しゴキゲンな顔して、

お互いの旅の前に 駅前の改札や空港の出発ゲートで笑顔で見送りあった、

何でもない一瞬一瞬こそが かげがえないものだったと思います。

 

ぶっちゃけ 一緒にいられたら もうそれだけでよかったんだよ。

君がどこへ行こうと、何をしようと構わなかった。

ずっとそばで輝いてくれていた 僕の太陽だったからね。

実は…パートナー っていう言葉の響き 限定的過ぎて好きじゃないんだ。

恋人で、親友で、親子で、兄弟で…もしかしたら…戦友でもあったのかな、

とも思います。

 

君のことを好きになって ほんとうによかった !

こんな幸福な経験は たぶんもう2度とできないだろうと思う。

 

できれば ずっと あの止まった時間の中で暮らせたらいいな…

 

でも…

共に暮らした時間の中で 君から教わったこと、影響を受けたこと、ともに分かち合ったことは…僕の中に今も生きている。

思い出じゃなく、経験として…君が僕の中にいるって はっきり分かる。

 

なので 僕の中に生まれた君のために

僕は もう一度僕の明日を始めることにしました。

 

“君の分まで生きる”のではなく、僕の中にいる君と一緒に

僕の人生を再始動しなきゃ。

この先の数十年を嘆くよりは、君も僕の未来を望んでくれてるはず…

でしょ?(^-^;

 

君と過ごした時間に イヤな思い出はひとつもないよ。

これが 僕の人生の最大の誇りだし いちばん大切なたからもの。

14年間 ほんとうにありがとうね。

一緒にいられて最高だったね! 君の笑顔は 世界一だよ!

 

そして これからもよろしくお願いします(^_-)

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なぎさのペンギン

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