デンマークでの同性婚
昨年12月、デンマークで友人のゲイカップルの結婚式に出席しました。
厳密に言うと、市役所に婚姻届けを出す際の宣誓式で、
日本でそういった式がないので、書類を提出する手続きを想像していました。
実際には、市役所のスタッフ3名が、伝統的な衣装に身をつつみ、
二人の宣誓を証人として見届けてくれる、より儀式的で、
より暖かく、より感動的な式でした。
立ち会うスタッフは、まるで自分の知り合いの式かのように、
一緒に喜んでいるように感じられましたし、
式に出席した私たちを楽しませようという気持ちが伝わりました。
伝統ある市役所の小規模な集会室で行われた式には、教会のような宗教色はありません。
個人同士が自由意志で結婚を誓い、それを市民社会の代表が見届ける、
というデンマークの社会に根付いた民主主義の深いものを感じました。
結婚した二人は、実はデンマークに縁もゆかりもないイギリス人とカザフスタン人のカップル。
そんな二人がなぜ、デンマークで婚約したのかというと、
諸事情で英国申請した婚約が承認されるのに時間がかかっていたので、
居住者でなくてもカップルの婚約を認めるデンマークで先に結婚したとのこと。
申請すればすぐに承認されるわけではなく、二人は関係性を証明するために、
会話アプリの過去の会話のやりとりを証拠書類として提出する必要があったそうです。
登録費用は日本円で2万程度で、3人の大人が30分程度時間を費やしているので、
デンマークの高い物価を考慮すると、営利目的では受け付けているわけではないようです。
式中に、予想以上に感情がこみあげてきたのですが、同時に、
どんなメリットがあり、何が目的でデンマークは、居住者以外の同性婚を受け付けるのだろう、
しかも、こんなにフレンドリーなスマイルで、歓迎してくれるのだろうと疑問に思いました。
式の証人となったコペンハーゲン市役所(市役所が結婚を受け付けて、証明書を発行)の
スタッフに素直にこの質問をききました。
そうすると、「ただ人間として当たり前のことをしているだけです」という回答。
使い古された自由、平等、人権といった言葉が、あらためて尊く、温かく、そして力強いものだと感じました。