陽性者と家族の日記

夭逝の代償

 今日は東京駅にある美術館に行ってきた。

 自分は絵画はヨーロッパの古い時代のものが好きで、日本のものはあまり見る機会が無いのだが、今回の画家有元利夫氏はかなり以前から興味があって、明日で展覧会が終わりという事だったので是非行こうと思った。
 内容は、この画家の生涯の主要な作品がほぼ揃っていて、正直驚いた。没後20年近く経つのだが、生前から注目され人気もあったので、管理が行き届いて散逸が少ないのかも。
 古風で、幼い頃の夢に出て来た様にも思える郷愁漂う絵を目の前に、しばし現実を忘れる。

 この芸術家は、38歳でこの世を去った。
 天才は夭逝するのか、夭逝したから天才なのか。
 若いうちから天才のまま長寿を全うする人もいるし、若いうちに才能を使い切って後半生はつまらない作品ばっかり作ってしまう人もいる。
 ただ事実なのは、惜しくも夭逝したことによって、生前の作品が皆によって注目され、賞賛され、もっと長生きしていたらどんなものを創り出していただろうか、と後々まで語り継がれる事である。

蔵人

陽性者と家族の日記 へ