陽性者と家族の日記

みかさの山に・・・

 娘が学校で百人一首大会をやっているので、
ここのところ毎晩、覚えるのを手伝っているのだけど、 
「天の原ふりさけみれば春日なるみかさの山に出でし月かも」
という安倍仲麿のうたを久しぶりに見て、
すごくなつかしいような苦しいような気持ちになった。

 海外に住んでいる時に、HIVに感染しているということがわかり、
「日本に帰れるのかな」という想いでいた夜に月を見て、
このうたがふと心に浮かんだことを思い出したから。

 私は故郷に帰ることができて、今、
小さい頃からみなれた山々を見ているわけだけど、
この人は結局、中国から帰国できなかった。
なんか、時代も状況も全然違うのだけど、
やけに気持ちがわかるような気がして、じーんとなった。

 

 

つばさ

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