陽性者と家族の日記

OUR DAYS

先日、東京・新宿2丁目にあるActaで開催された、HIV陽性者の日常を綴った展示
「OUR DAYS 僕らとHIVのLiving Togher日記」に行って来ました。

僕の場合、この病気と「つきあい」始めて、そろそろ2年が過ぎようとしています。
病気によって、日常の暮らしで「何かが変わったか」と言われれば、
変わったような気もするし…でも、大して変わっていないような気も…

ひょっとして、自分はまだ…HIVに感染した自分のコトを受け入れ切れていない
のかな?…なんて、そんな気持ちを引きずりながら会場を訪れたのですが…。

日記を公開して戴いた「ようすけ」さん、「しんいち」さん、「タカシ」さん
の日常を「読んで」いくうち、いつしか自身の日常を重ねながら、
ひとつひとつの言葉を噛みしめていました。

うん?

オレの気持ちも、やっぱり大きく変わってる!

今までに、数え切れない多くの人たちを傷つけてしまった、という確信。
人間て、結局いつかは必ず死んじゃうっていう確信。
人生なんてゲームみたいなもので、どうあがいても前に進めない局面に
出くわすこともあるんだ、という確信。
自分の人生のタイムリミットが、自分で思っているほどたくさんは残ってはいない、
という確信。

HIVに感染しなかったら、コミュニティに参加することもなかったし、
自分を含めたセクシャルマイノリティの仲間たちを、侮蔑して終わっていたに
違いない確信。
HIVに感染してしまったからこそ、自分が同性愛者であることをようやく認められ、
自分の病気やセクシャリティと協調して生きていかなければいけない、という確信。
そして…日本でも、HIVが同性愛者、異性愛者の垣根を越え、
ものすごいスピードで繁殖し始めた、という恐るべき確信。

そのために、自分に何ができるか…という確信は、
我ながら、まだちょっと心もとないのだけど…。

毎日、こうして…呼吸して、食事して、好きな人と一緒に過ごせる時間がもてる
幸福は、生きていられるからこそなんだ…そんな確信。

人生で「確信」が持てたこと、今までの数十年間で一度もなかったかも知れないな。
「確信」が持てる人生って、気持ちの揺るぎが少なくなる…そんなことも
「確信」できました。

この「みんなの日記帳」もそうですが…
色んな人の、いろんな人生があって、すべてがごちゃ混ぜになって共存してるから。

だから、現在が一番オモシロイし、一番大切にしたい時間です。

なぎさのペンギン

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