陽性者と家族の日記

A Letter to me.

半年前の僕へ~

『HIVに感染している』ということを告げられ混乱と恐怖で体中がはちきれそうだよね。
今まで普通に送ることのできた生活すべてを失うと思ったよね。
そして「死」の足音をはっきり聞いたよね。
ただ呆然とするしかないよね。
病気になったことを後悔する余裕もない程だよね。

HIVは今はまだ治せない病気。
治らない病気になることはとても不幸なこと。
今までとまったく同じ生活はできない。
正真正銘「身体障害者」になった。

これは事実。

でもね、案外平気みたい。
すぐに死ぬわけじゃない。
ちゃんとコントロールできれば大きな問題なく普通の人とほぼ同じ生活ができる。
これは本当。確認できたよ。
ちょっとした工夫がいるけどね。

それから他の陽性の人の経験を聞いて、いろんな不安に光が見えてきたんだ。
特に大きな光が。。。
今はひとりぼっちの僕だけど、
人を好きになって付き合うこともできるんだって。
そりゃ今までより難しいかも知れないけど可能だって。
ネガティブの人とも付き合い始めたって人もいるよ。
これも事実。

だから大丈夫。なんとかなる。

今だから言えるけど、僕はこの機会に大きなものを得た。
一度立ち止まって自分の人生の立ち位置を確認できるという機会を。
そして自分を支えてくれる周りの人たちのありがたみを。

人はいつかは死ぬ。
「これからをどう生きるか」をしっかり考えることができた機会。
このことを意識して生きることで今までとは少し違うけど、
素敵な生活ができそうな気がするんだ。
こういう形でその機会を得たことは素直に喜べないけど、
せっかくだからプラスに持って行こうと思うんだ。
ブレずにやるのはすごく難しいけどね(苦笑)

なっちゃったもんは仕方ない。
でもなっちゃっても先に「光」はちゃんとあるんだ。
だから今は心を落ち着けることに集中して。

大丈夫。
これからもたくさんの幸せはやってくるし、たくさん笑えるから。

感染を知って半年が経ちました。
この機会に感染を知ったばかりの自分にお手紙を書いてみました。
僕から僕への手紙だけど、感染を知ったばかりでどうしていいかわからない人に読んで欲しいです。
そんなあなたもこの手紙のあて先です。

たたみ

陽性者と家族の日記 へ