陽性者と家族の日記

感染で窮する子供たち

少し前のことになりますが、あるテレビ局が主催するチャリティイベントに参加する
機会をもちました。
パプアニューギニアで暮らすHIV陽性者の子供たちの生活を追ったドキュメンタリーを、女性アナウンサーが自身の取材体験を交えてレポートするという報告会でしたが、現実の過酷さは僕の想像を遥かに上回るものでした。

報告にあった小児陽性者の多くは、感染ルートが母子感染によるものでしたが、
陽性者である親族を介護中、事故で自身も感染してしまった少年のケースについては、あまりのやりきれなさに涙が出ました。
感染が発覚した途端、少年は家族を含む近隣社会から事実上隔離され、
監視され、差別の白い目にさらされながら暮らしています。
現在の彼は、治療どころか家族から満足な食事すら与えられていないのです。

女性アナウンサーの報告で印象に残ったのは
「アフリカの現状を取材した際も胸が痛んだが、地域社会のみんなが
助け合いながら生活している印象があり、若干の救いも感じられた。
しかしニューギニアは違った。男性の絶対的優位が揺るがないこの地域では、
女性や子供といった社会的な弱者である陽性者が社会から隔絶され、
徹底的な排他を受けている」
という言葉でした。

自分にとって、HIV陽性者との告知を受けなければ、
「なんだ、よくある児童福祉のチャリティか…」
程度の関心で終わっていたに違いない話題。
今の自分には…微々たるものではあるけれど…
子供たちの苦悶がどれほどのものであるか、想像力を働かせることができる。

改めて、このイベントに参加できた幸運に感謝しています。

なぎさのペンギン

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