陽性者と家族の日記

ビワとアンズ

初夏を過ぎ、これから秋にかけて果物が一年で一番おいしい季節だ。
イチゴは盛りを過ぎたけれど、サクランボにスイカ、
しばらくすればモモやブドウもラインナップに加わるから、
僕のようなフルーツ王子! にはたまらない毎日が続く。

最近は輸入品の増加やハウス栽培の普及で、年間を通じて
店頭で見かける果物の種類が増えた。
いつでも美味しい生が食べられるのは嬉しいのだけれど、
季節感が薄れてきたことも確か。

そんな中、「ビワ」と「アンズ」だけは頑なに旬を守っている。
どちらも果汁にあふれた上品な甘さがたまらない。
マンゴーみたいな濃厚さとは縁遠いが、自己主張が控えめだから
飽きが少ない。
「和なし」もそうだけれど…こういう繊細な舌触りを好む自分は、
根っからの日本人なんだなあ、と苦笑させられる。

この時期、僕のティータイムにはビワとアンズが彩りを添える。
曇り空を眺めながらオレンジ色の幸福に浸るのが、つかの間のぜいたくだ。

なぎさのペンギン

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