陽性者と家族の日記

愛しのあぶさんへ

影浦安武。ニックネームは「あぶさん」。
僕はあなたを、子供のころから数十年にわたって理想の男と仰いできました。

1946年生まれのあぶさんはプロ野球選手で、南海(現・福岡ソフトバンク
ホークス)へのドラフト入団が有藤や衣笠、田淵たちと同じ年。
学生時代は地区予選で大活躍するも、飲酒がばれて謹慎処分になるほど
の酒豪。プロ選手になってからも、昼間は居酒屋で一升の酒を呑んだくれて
いるのに、夜の試合では別人のように豪快なスイングでファンを魅了。
60歳を超えているのに、今だに現役のプロ選手。信じられへん。

告白します。あぶさんに惚れています。
奥さんのサチコさんに代わり、自分が女房になりたいなどと、
愚にもつかぬことを考えたりもします。
もちろん、あぶさんがノンケであることは承知してます。

もっと悲しいのは…あぶさん、あなたが架空の、水島新司が描いた
マンガの世界の住人で、この世の人ではないってことです。

ああ、それでもたくましくて、やんちゃで、でも優しくてかわいらしいあぶさん…
初めて出会ってから30年、今でもあなたのことがめっちゃ好き。
僕の人生にもいろんなことが起こって、下戸だった僕も、ちょっとは酒が
呑めるようになりました、遅まきながら。
だからあぶさん、今度、一緒に酒をつきあってくださいね。
あなたとへべれけになるまで酔っぱらって、酔いつぶれてみたい。

それが、僕の永遠の初夢です。

なぎさのペンギン

陽性者と家族の日記 へ