小春日和
明け方近く 地表にたまった湿っぽい冷気を
おだやかな陽の光が じっくりとあたためていく
秋から冬にさしかかるこの季節の魅力に目覚めてから
そう長い時間は経っていないような気がする
春のような若さも 夏の華美な飾りもない ひたすらに澄み切った空
幾重かにまたがった筋雲が さりげなく凍りつく
明るいぬくもりに気をとられ シャツの袖を捲し上げていても
肌をすべる風に 北から流れ来た大気の鋭さを感じ
あわてて手首を覆いなおす
目を閉じるとひろがる 薄赤い色の帯の中に
静寂と一緒に溶け込んでいく 自分のからだ
新しい春には どんなことが待っているのだろう
厳しい冬をよけ 僕の心は少し先の未来へと飛んでいく