陽性者と家族の日記

会いに行けるヒーロー

ぷれいす東京さんのWebサイトがリニューアルされてからはじめての、実に久しぶりの投稿(いつもながらに 反省)。

またよろしくお願いします !

 

今日は 僕が考える”ヒーロー論”について書かせていただこうと思う。

「ヒーロー論?なにそれ?」と感じる方もいらっしゃるのではないかと思うけど…..

 

子供のころ、TVでやっていた怪獣や宇宙人が出てくるヒーロー番組をよく見ていた。

自分で言うのもなんだが(! ) 男の子にしては優しすぎる性格だったせいか 正義の味方である巨大な姿をしたヒーローが、暴れまわって街を破壊する悪者怪獣をやっつける、いわゆる格闘シーンには興味がもてなかった。

にもかかわらず 毎週 ひきつけられるように見ていたのは「特撮」で表現された世界が ふだん僕らが暮らしている日常の世界とどこでどうつながっているのかに興味を持ったからだ。

たとえいっときの間でも 異次元に迷い込んだような空想ができるのが楽しかった。

当時の特撮は、”宇宙船”がピアノ線で吊られていたり、巨大ヒーローの背中にジッパーのつまみが丸見えになっていたりと 現在のCG全盛の時代からは想像もできないほど「チャチ」かった。。。

けれど あのチープな感じだから よかった。

大人数の撮影スタッフが、ああでもないこうでもない、と 色々工夫しながらミニチュアのセットを調整しているような そんな裏方仕事のにおいが TVの画面を通じて 見ている子供にもうっすら理解できた。

そこには確かな”ヒトのぬくもり”が感じられた。

幼いながらに 大人が一生懸命汗を流して作っている”ウソの世界”に その努力に 敬意を表していたのだと思う。

 

大学生の子供がいてもおかしくないような大人になった今でも 僕はTVで戦隊ヒーローや着ぐるみ特撮のSFドラマを楽しみに見る。

今は 格闘シーンも楽しみだ。

スーツアクター と呼ばれる”中のヒト”たちが あえて顔を見せず 自分の存在を隠したままで自己表現している姿に 強く引かれるものを感じたから。

しかし さすがに時代は変わった….

子供番組といえど、その大半が デジタルの力によって表現された 緻密で寸分の狂いもないヴァーチャルなCG映像で作られるようになった。

すげえな、こんなことまでできちゃうの、と驚きに目を丸くはするけれど 同時になんとなしの寂しさも感じていた。

イマドキの幼児や児童って ちっちゃなうちから こんなに”完璧に再現されたリアルな世界”を見せつけられることに慣れてしまうのか。

手づくりの温かみがあふれるものをハナからバカにして成長しちゃうって どうなの ? という気がしていたのだ。

 

今年の夏から始まった「ウルトラマンX」は CGを使ってはいるものの ミニチュアや着ぐるみを多様した昔ながらの作りになっている。

流行に逆らうようにあえてチープな特撮も適度に取り入れ だからこそ登場するキャラクターに感情移入できるように計算されている。

これが素晴らしい !

 

たとえば

「サンタクロースって ほんとうにいるの?」

という問いかけは 現代の子供たちにとって もはやお笑いの対象でしかないのかも知れない。

おなじように あのヒーローの中に入っているヒトがプロのスーツアクターで、仕事で演じているんだ なんて とうの昔に気づいているのかもしれない。

 

にも関わらず、遊園地などで行われる特撮ヒーローのショーは 今も昔も 子供たちには大人気。

いや 特撮に限らない。

アニメやゲームの二次元キャラクターでしかないはずの ジバニャンやコマさんに会いに 子供たちはショーに行き、着ぐるみのキャラクターに友だちと遊ぶかのようにはしゃぎ、握手したり一緒に写真撮影をして笑顔のポーズを決める。

なぜだ?

ゆるキャラがここまでブームになったのも ”ほのぼの”や”癒し”を求める現代人のせわしなさだけが理由でないと感じる。

小さいときから こうしたヒーロー特撮ものを見てきた、最初から作りごとだと分かっていながら それでも そこを面白がって楽しんできた。

そんな子供たちが大人になって 親になって わが子を一緒に連れ 自分も楽しむために行っているのではないか?という気もする。

 

会いに行けるアイドル、という国民的な少女グループがいる。

けれど、実は日本には何十年も前から会いに行けるアイドル、すなわち スーパーヒーローたちがいたのです。

「僕は正義を守るために一生懸命に悪を倒すよ。

だから君は 学校で勉強やスポーツをがんばれ ! 」

なーんて言われたら 最初っからウソだなんて分かっていても ついつい うれしくなっちゃうよね~。

そういう人間の感情の動きって 完全無欠に作られたものからは導き出されたりはしない。

みんなが信じるもの、どんな時代でも 人々が求めているもの。。。

それは やっぱり そこになんらかの人間的な魅力を感じられるものに尽きるよなあ。

改めて そう思うのです。

 

なぎさのペンギン

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