運営委員のつぶやき

矢島 嵩

今年はいろいろなことをチャレンジした年だったような気がします。一番大きかったのはやはりエイズ学会。シンポジストとして「ピア・サポート」や「陽性者 スピーカー」の話を連日大勢の前で話したり、医療系の学会の座長を当事者である僕がつとめたり、それはそれは画期的で意義のあることだったのだけれども、 正直言ってちょっと疲れました。ただ、その後にあちこちから反響があって、このチャレンジが次につながると良いなーと期待しています。もともと学会なんて 特に興味があったわけではなく、どこかの研究所で顕微鏡ばかり覗いている人たちの内輪の会でしょ!くらいの認識でした。たしかにそんなおもむきも無くはな いだけに、こうやってぷれいす東京のようなNPOが中心になったり、 僕みたいな研究者でも医療従事者でもない人が発言することって、すごく大きな変化なのだろうと我ながら思うのです。

この10年、こつこつとweb NESTやPGMやスピーカー活動といったことを、とにかく必要だと思うこと、できることを何とかやってきたけれども、やはり閉塞感もあったかなと思うの です。活動の輪が一気に大きくなる訳でもなければ、活動資金が天から降ってくるわけでもない。急に政府がマイノリティに理解を示すようになるわけでもな い。けれども新規陽性者は増え続け、社会的支援の必要性は増すばかり。僕が感染を知ったときに感じたこの社会の「生きづらさ」は、 10年たって軽減されたのでしょうか。社会はどれだけ変化したのでしょうか。

ひとりひとりができることは小さくて限りがあるので、時には途方に暮れてしまうわけだけど、ネットワークの可能性を信じることはとても大事ですね。みなさん、来年もどうそよろしくお願いします。

矢島 嵩

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