運営委員のつぶやき

生島 嗣

台湾LGBTパレードにプライベートで参加した。
5万人を超える参加者がいるパレードで、
LIVING TOGETHERのメッセージを伝えたいというのがその動機だった。
ぷれいす東京、JaNP+、aktaのスタッフなどにも参加を呼びかけた。

どうせ訪問するのであればと、3つのNGOと交流することにした。最初はプライベートのはずが、いつしかそちらがメインの様になってしまった。
JaNP+の長谷川さんにも情報収集の手伝いをしてもらいつつ、団体を選考し訪問や交流が実現した。3つのNGO、検査や教育、啓発に取り組む団体、陽性者や周囲の人たちの支援を実践する団体、そして当事者団体を訪問した。(実は1団体は数時間後なのだが)
プライベートの旅行なので、3泊4日間の滞在のうちの1日は、ゆっくりすることにした。

台湾では昨年は2000人の感染者が新規に報告されている。そのうちの約1500人は男性同性間の行為による感染者だ。この数字は、人口が日本の6分1であることを考えると、すさまじい数字だ。すこし、前までは、薬物使用による感染の爆発が話題になっていたのだが、そちらはかなり落ち着いていて、今は、MSM(男性とセックスをする男性)が主な感染経路となっている。

ある晩に、政府系組織、台湾CDCの高官、同性性間の結婚に取り組む団体のスタッフと会食した。

ゲイ、バイセクシュアルの病気であると、取り組むこと、そこにお金を投じることは、その集団への差別を助長することになるという声がLGBT系の活動家からも行政の施策担当者からも聞こえてきた。この二人とも、非常に魅力的な人たちで、同性婚が認められる国になるなればいいなと思う。だが、彼らのエイズ対策へのスタンスは、社会の男性同性愛者への理解が整ってから、状況が整ってから、集中的な対策を取るべきだという意見だ。費用がかかることを考えると、性的な少数者全般からの理解も必要だし、もちろん国民からの理解も求められる。しかし、他国のことながら、MSMへの対策がかなり遅れるのはと心配してしまう。

ふと、80年代にアメリカで起きたことを思い出す。レーガン政権はエイズ対策を同性愛者やヘロイン中毒者などの問題だからと公衆衛生上の問題として扱わなかったのだが、このことが、後にアメリカのエイズ拡大につながったと指摘する声もあるのだ。

日本が、あるいは自分たちの活動が、まだまだ課題があるなかで、アジアのことを心配するなどというのは、どうなのだろうと自問自答もするが、国際社会から孤立し、国際的な支援も入りにくいこの国のHIV/エイズの動向について、今後も関心を持っていきたいと思う。

今回の訪問では、複数人の中国語を話す方々が同行してくれたのだが、その効果は絶大であった。
パレードをみた人、僕らと交流した人たちのなかから、
10人を超える個人や団体の職員が、
「感染があっても無くても、わからなくても、僕らはすでに一緒に生きている」
という中国訳のメッセージを彼らのfacebookにアップしてくれた。
それが、何よりもうれしいことだった。
不管有無感染愛滋
或不知有無感染
我們都生活在
同一個世界

生島

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