web NESTとは
web NESTは、HIV陽性者とそのパートナー・家族・ともだちのために役立つ情報や、それぞれの経験を共有したり共感したりすることができる場を提供しているサイト。
1999年12月にほんの小さなコンテンツでスタートし、2度のリニューアルを経て、2015年7月31日にぷれいす東京サイトと統合しました。
web NESTは、HIV陽性者の有志とぷれいす東京のスタッフで構成される「web NEST 運営委員会」が企画・運営し、定期的にミーティングを重ねながら進めていました。ぷれいす東京との統合に伴い、web NEST運営委員会も発展的に解散しました。
web NEST立ち上げの背景と経緯
ぷれいす東京のスタッフとHIV陽性者の有志が集まって、ホームページを立ち上げてみようという話が持ち上がったのが1999年。当時、ぷれいす東京が提供するサービスは、個別相談やボランティア派遣、そしてHIV陽性者同士が情報交換や交流ができるようなプログラムが充実してきたところでした。しかし、東京での開催に限られたため、参加したくても参加できない人がたくさんいるのではないか、実際に会うことには躊躇があるが他の陽性者がどのようにしているのかを知りたい人もいるのではないかといったことが話し合われていました。そこで、その頃多くの人が利用するようになったインターネットを活用しようということになり、まったく経験も技術もない状態で、とにかく陽性者のためのホームページを作ろうということになったのです。
そして、その年の12月1日に「NEST W3」という名で、ほんの少しばかりのコンテンツでこのサイトは始まりました。その後、「HIV陽性者に役立つ情報や経験の共有・共感の場をウェブ上で提供する」ことを目的として掲げ、よりよいサイトにするために毎月一回ずつ運営のためのミーティングを持ち、さまざまなことを話し合いながら運営をしてきました。
その間には、サイトの名称を「web NEST」と変更したり、新たなコンテンツのスタート、大幅なリニューアルもありました。そして、2011年11月に2度目のリニューアルをして、5つのweb NESTメインコンテンツと、ぷれいす東京/ネスト・プログラム案内ページなど、230ページ以上のコンテンツとなりました。
そして、2015年7月に、ぷれいす東京サイトと統合し、全面リニューアル。より多くの人たちに情報を届けるべく、あらたな一歩を踏み出しました。それに伴い、web NEST運営委員会も発展的に解散しました。
沿革
1999年6月 |
ネスト・ホームページ準備立ち上げ |
1999年12月1日 |
「NEST W3」として運用開始 |
2000年1月 |
「掲示板」設置 |
2000年2月 |
「リンク集」掲載 |
2000年8月 |
「HIVに関するよくある質問集」2カテゴリー4問にてスタート |
2001年6月 |
「ホームページNEST W3」交流会開催、18名が参加 |
2001年7月 |
名称を「web NEST」に変更 |
2001年10月 |
「編集後記」スタート |
2001年12月 |
「HIVに関するよくある質問集」に「家族・パートナーからの質問」を新設 |
2002年7月 |
「みんなの日記帳」スタート |
2003年3月 |
web NEST運営委員会の規約とグランドルールを作成、運営方法とメンバーシップを明確にして再スタート |
2005年3月12日 |
「web NEST」リニューアル(関連記事はこちら) |
2005年3月 |
「用語集」掲載 |
2005年12月 |
「HIVに関連したよくある質問集」:「女性陽性者からよくある質問」のカテゴリーを新設 |
2006年9月 |
新システムの「掲示板」設置 |
2008年 |
「リンク集」のカテゴリー見直し作業完了。計13カテゴリーに。 |
2009年7月 |
携帯サイト「mobile NEST」オープン |
2009年12月1日 |
web NEST 10周年(関連記事はこちら) |
2011年9月 |
「掲示板」終了 |
2011年11月14日 |
「web NEST」2度目のリニューアル(関連記事はこちら) |
2015年7月31日 |
ぷれいす東京サイトと統合して、あらたな一歩を踏み出す(関連記事はこちら) |
web NEST関連記事 アーカイブ
「LIVING TOGETHER のネクストステップ」
ぷれいす東京代表 生島 嗣
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ぷれいす東京設立21 年目の活動を始めるにあたり、2つの新たなプロジェクトを企画しています。これまで同様、HIV感染が判明した後に相談サービスを必要としている人、同じ立場同士で交流したいという要望を大切にしつつ、さらに、より広くHIV に関心を持つ人たちと接点を作り出していく予定です。
<中略>
2つ目のプロジェクトは、この20周年記念事業のしめくくりとして、ぷれいす東京のWebサイトの大規模なリニューアルを進行中です。これまでいくつかのサイトに分かれていましたが、今回は、一般向けサイトと陽性者向けサイトを合体しています。1998年に団体のWebサイトがオープンし、翌年には、HIV陽性者とパートナー・家族向けのサイトとして、NEST W3(現「web NEST」)が開設されました。スタート時には、サイトの入り口には、「HIV/エイズへの肯定的な関心があるか?」という質問を設置し、YES と答えないと中に入れないようになっていました。その後、2005年のリニューアルの際に、このゲートを撤去し、より開かれたサイトに変化しました。
NEST W3/web NEST は、HIV陽性のスタッフが献身的に関わり運営してきました。このWebサイトには、当事者が情報発信することで、ぷれいす東京に来ることが難しい仲間たちとつながり、経験を共有できるメリットがあります。その一方で、匿名のネット社会で、偏見に基づく批判や差別に巻き込まれるのではという不安もありました。しかし、それを乗り越え、質問集への回答を寄せてくれた人、日記を書き続けてくれた人、ネットワークでつながってくれたブロガーさんたちなど、リアルなHIV とともに生きる人たちの声にあふれていました。
こうした声を求めていたのは、HIV陽性の告知を受けた直後のHIV陽性者やそのパートナー・家族はもちろんですが、それ以外にも、HIV に関するそれぞれのリアリティに向き合おうとする人たちがいました。それは、HIV感染不安におびえる人たちであったり、支援者だったりもしました。HIV検査を受ける人にも、周囲で感染の事実を知らされる人たちにも、それぞれの向き合い方があり、それらは連続しているものだということがわかってきました。
そこで、今回のリニューアルでは、ぷれいす東京とweb NEST を合体し、より広く、連続したかたちでの情報発信をしていくことになりました。
今後は、学習会の場、Webサイトを通して、よりリアルにHIV とともに暮らす人たちの声、HIV検査に向き合おうとする人たちの声、支援者の声など、皆様と共有していきたいと考えています。
(ぷれいす東京Newsletter No.85(2015年5月号)より)
「web NESTリニューアルしました!」
「2度目のリニューアルにあたり」 web NEST運営委員 矢島 嵩
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web NESTが2011年11月14日にリニューアルしま した。1999年 12月にスタートして以来、2005年3月が1度目のリニューアル、そして今回が2度目となります。 今回は、大幅なコンテンツの変更や組み替えはなかったので、言わばマイナーチェンジなのですが、実際にはサイトの印象や使い勝手は一新されたと思います。 大勢のH I V陽性者やその周囲の人たちの協力によって積み上がっている、web NESTの貴重かつ膨大なコンテンツを、「よりわかりやすく」「より探しやすく」「より見え やすく」「より整理して」お届けするというのが、今回のリニューアルの目的でした。そのために足掛け2年以上は話し合いをかさねてきて、一筋縄ではいかないところも多いにありました。それでも、おかげさまで何とかここまできて、目的の何割かは達成できたのではないかと思っていますが、いかがでしょうか ?
今回工夫したことがいくつかあります。ひとつは、質問集やリンク集や日記などのweb NESTのオリジナルコ ンテンツと、ネスト・プログラムの案内などが混在しないように改良したことです。そのために、グローバルナビゲーション(どのページにも共通して付いている目次のような部分)を 2 種類に分けたり、トップページを整理したりしました。お知らせが一覧できるようになり、一方、質問集やリンク集や日記などへの導線も確保されてより多くの人が閲覧するようになりました。
また、「web NESTとは」の中には沿革を、「ネスト・プログラム」には各プログラムの過去の実績(各回の参加人数や感想文など)を新たに掲載することにしました。過去の記録をきちんと残していくことは、いろいろな意味で今後に役立つことと考えました。
そして、このサイトがどういう主旨のサイトで、何を大切にしているのかが、初めて訪れてくれた人にもはっきりと伝わるように、トップページにフラッシュによる メッセージを出しました。実はこのメッセージは数ヶ月毎に変わるのですが、根本となる「web NEST らしさ」は常に変わりません。これからも web NEST をどうぞよろしくお願いします。
誰もが同じじゃないけど、
どこかで分かり合える
人それぞれだけど、
ひとりぼっちじゃない
ここでさまざまな経験や考えにふれて、
自分らしく生きるヒントを探してみませんか
be yourself
HIV陽性者とそのパートナーや家族、ともだちのために
(ぷれいす東京Newsletter No.72 2012年02月号より)
「web NESTが10歳になりました」
ぷれいす東京/web NEST運営委員 原田 玲子
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HIV陽性者とパートナー・家族・友人のためのサイトweb NEST ができて10年、ここまでくる間には、山あり谷あり、いろんなことがありました。時間をかけて運営委員会を立て直したこともあります。私自身、やめたいと思ったこともあります。でも、「告知直後に情報を探して、web NEST をすみからすみまで見た」、「アンサーを読んで自分だけじゃないと思った」という声をきくと、いやなことはみんなふっとび、これからもがんばろう! という気持ちになりました。そして、いつも誰かいっしょにやってくれる人がいた、ひとりではなかったということもとても大きかったと思います。
サイトの話が持ち上がったのは、私がネスト・スタッフとなって1 年たった頃です。これからはインターネッ トの時代、ネストにこられない人もいるから、陽性者のためのサイトがあるといいねと、ネスト利用者(女性1 名、男性2名)と一緒に立ち上げました。1999年12月1日に「NEST W3」としてスタート、2001年に名称を「web NEST」と変更、2005年リニューアル、2009年7月携帯サイト「mobile NEST」開設、同年12月1日でまる10年になりました。はじめたときは小さなサイトでしたが、多くの人たちの参加・協力のおかげで、今では230ページ以上の充実したサイトになりました。
web NEST は、陽性者の有志が中心となって、ネストにかかわるスタッフといっしょに運営委員会を持ち、主 体的に企画・運営されています。現在の運営委員は6名、私の役割は、議題の作成、連絡調整など、運営が円滑に進むようにすることと、サイトの更新作業です。サイトの編集は初めてでしたが、やってみたら面白くて、夢中になりました。今も楽しんで作業をしていることが、個人的に長続きしている理由の一つかもしれません。 運営の中心は、月に1 回開かれるミーティング、web NEST運営委員会です。顔をあわせて、コミュニケーションをしっかりとることを大事にしてきました。意見がぶつかったときも、お互いの考えを理解し、web NEST としてはどうするかを決めてきました。話し合うことがたくさんあったり、議論が白熱したりして、終電に遅れそうになったこともありますが、10年間、毎月毎月話し合いを積み重ねて、今のweb NEST になりました。
話し合いのなかで、サイトづくりで大切にしたいこともはっきりしてきました。一つは、匿名情報が行き交う ウェブ空間で、信頼してもらえるサイトにすることです。そのために、情報を更新し、更新日を明記したり、運営委員のプロフィールと「編集後記」を公開して、どんな人たちが運営しているかわかるようにしたりと工夫しています。
もう一つは多様性です。たとえば、「みんなの日記帳」では9名の陽性者がそれぞれの日常をつづっていますが、個性はもちろん、年齢・性別・居住地域・セクシュアリティなどもいろいろです。女性の陽性者やパートナーなど、情報が少ないと思われる人たちのことも意識して取り上げています。 三つ目は双方向性です。運営側が一方的に情報を提供するのではなく、多くの人が参加、協力して経験を共有 できる場をつくってきました。たとえば、「よくある質問集」では、46の質問に対して延べ約500人の陽性者やその周囲の人がアンサーを書いていて、それを読んで、自分なりの答えを探るときの参考にしてもらえるようにしています。「リンク集」でも、陽性者やパートナーが経験を語っているサイトを50以上掲載しています。
web NEST をやってきて、なにか役に立ちたいと思っている陽性者や周囲の人がたくさんいることを知りまし た。こうした人たちの思いに支えられて、web NEST があるといってもいいかもしれません。web NEST をみた人たちが、ほかの陽性者の経験や情報にふれ、自分らしく生きていくときの参考にしてもらえたら、なによりもうれしいと思います。これまでさまざまな形でweb NESTに関わってきた人たちも運営委員の人たちもきっと同じ気持ちだと思います。これからも「あってよかった」と思っていただけるサイトづくりをしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
(ぷれいす東京Newsletter No.64 2010年02月号より)
「web NEST リニューアル!」
「web NEST リニューアル! HIV 陽性者とその仲間たち」のためのホームページ web NESTは、1999年12月1日に少しのコンテンツで始まって から5年以上がたち、大きなサイトに成長しました。より快適に利用してもらえるように、3月12日にリニューアルしました。web NESTに関わる様々な立場から改めてこのサイトを紹介します。
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■「web NEST を振り返って」(web NEST 運営委員 はらだ)
「ウェブのことなど何も知らない、はらださんがネストの 利用者と一緒にホームページを作るというのがいいんだよ。」 と言われてその気になり、立ち上げてしまえばおしまい!と 思っていたら、大間違い。更新していくのが大変なんだと気がついたのは、オープンしたあとでした。
1999年にオープンしたときのコンテンツは3つ。2000年に「リンク集」「掲示板」「よくある質問集」が始 まり、2001年に「編集後記」、2002年には「みんなの日記帳」が始まりました。
今の「web NESTらしさ」ができていくまでにはいろいろな出来事がありました。「よくある質問集」を始める時、最初は相談員が答える形式を考えていました。それが、複数の陽性者の回答集にしようよということになり、この時に陽性者の視点に立ったホームページづくりという、web NEST の基本姿勢ができたのだと思います。また、リンク集も当初は厚生省(当時)が上にあったのですが、あるとき、ピアのサイトなんだから、陽性者やパートナーのページが先じゃないかということで、今のようになったのです。「みんなの日記帳」が加わったのも大きな出来事でした。疑問、質問にだ け応えるのではなく、陽性者の日常が伝わることで、バランスのとれたホームページになったと、その存在の大きさを改めて感じています。
web NESTは、個人のサイトと違い、合議制で進めているのでフットワークが軽いとはいえません。山あり谷あり、関係者も入れ替わりがありましたが、熱心な運営メンバーと 強力な助っ人、質問集の回答者や、日記帳ライター、そして多くの利用者の方々に支えられてここまできました。
今回のリニューアルでは、利用上の注意を明示した上で、扉をなくしました。web NESTを必要としている人やHIVに肯定的関心のある人がアクセスしやすい、より開かれたサイトにしようという試みです。課題はまだ山積みですが、これからも一つずつ積み上げていければと思っています。
■「さまざまな思いを持っている方の場所を繋ぎ続けること」(web NEST 運営委員 bukki)
私が運営委員になってから約二年半が経ち色々な方とリンク集を通して知り合うことができました。始めのうちは自分自身の作業でなかなか相手先のことが考えられなく、いたって事務的なやり取りでしたが、ある陽性者の方に「事務的で少し連絡しにくい感じでした。」と言われたときに、自分がやっていることはその方たちにとってはとても大きい存在なんだと気がつき、もっと人間らしさ《心》が必要なんだ と改めて実感しました。
それからは必ず自分自身から出てきた感想や思いを依頼時には書くようにしました。それ以来ただリンクの依頼をしていたときよりコミュニケーションが取れるようになり、私も楽しく作業が出来るようになりました。インターネット、メールのやり取りと一見すると冷たい言葉に聞こえてしまいがちですが、そこに込められている思いが今ではよく伝わるようになりました。
今の生活が大変な方、他の方にも勇気や出来るということを伝えたい方、さまざまな思いをつなげるリンク集はホント にすばらしいものだと思います!まだまだやるべきことやら なければならないことはたくさんありますがこれからも多くの方の思いを繋ぎ続けていきたいと思います。
■「web 上でのピア・サポートという試み」(web NEST 運営委員 矢島 嵩)
「なにか自分にできることはないか」そう考えている陽性者たちが実は大勢いることを、web NESTを通じて知りま した。web だからこその匿名性と、当事者だからこそのリ アルさを両立させるための工夫をすることで、多くの当事者が web上で経験を共有することが可能なのだということがわかりました。HIVの治療方法だけでなく、通信技術の変化が、陽性者の21世紀の生活を変えていくことになるのかも知れません。
「よくある質問集」では、約 70名ほどの陽性者たちが書いた360のアンサーを掲載しています。そこには一つの正解はなく、回答者の数だけの事実が並んでいます。このリアリティが、陽性者と仲間たちの役に立つことを信じていると同時に、「エイズは他人事」と思っているたくさんの人たちにも届くことを期待しつつのリニューアルです。 新しい一歩を踏み出したweb NESTをどうぞよろしくお願いします。
(ぷれいす東京Newslettter No.45 2005年5月号より)