アクティビティー

「認定NPO法人ぷれいす東京 2023年度活動報告会」報告

2023年度活動報告会集合写真

2024年5月25日(土)に、来場者・スタッフ含めて57名が会場に集まり、ぷれいす東京の2023年度の活動報告会が無事終了しました。YouTubeのライブ配信も同時に行い、多くの方にご視聴いただきました。写真は終了後に撮影した、ぷれいす東京スタッフ、サポーター、連携先の皆様による集合写真です(phot by Yoshiki Hase)。

報告会では、2023年度の活動について、HL(感染不安の電話相談)、セクシュアル・ヘルス・プロジェクト(SH)、Gay Friends for IDS、ネスト・プログラム、バディ活動、陽性者向けの相談、研究・研修など、各部門のスタッフから現場感満載の報告がありました。
活動報告会_相談部門
活動報告会_研究
また、30周年記念事業として、2年計画で「日本における HIV/エイズの歴史アーカイブ・プロジェクト」およびSolutions for Healthy Communities (SHC)からの助成金をもとにした「『LGBTの性の健康支援基金』CONSENT・プロジェクト」を行うことが話されました。さらに、30周年を記念して、京都のブランド「JAMMIN(ジャミン)」とのコラボによるチャリティ商品が期間限定で復刻販売していただけることになったことをお知らせしました。
CONSENTプロジェクト活動報告会_JAMMINコラボ

設立30周年記念トークでは、「ハッテン場調査(1996年)から読みとく〜コミュニティ、研究者、行政の連携のあり方」として、市川誠一氏(金城学院大学)と池上千寿子(ぷれいす東京理事)、コメンテーターに砂川秀樹氏(文化人類学者)を迎え、生島が司会をしてトークを行いました。
2023年度活動報告会3周年記念トーク

ご来場いただいたみなさま、ご視聴いただいたみなさま、参加していただいたみなさま、本当にありがとうございました。
当日、ご来場いただいたみなさまに、2023年度年間活動報告書をお渡ししましたが、PDF版をWebサイトにも掲載いたしておりますので、ご覧いただければ幸いです。

2023年度活動報告書(約5.4MB)

2023年度活動実績(報告書の中にも掲載されている実績の概要)

当日の模様は以下のぷれいす東京チャンネルでアーカイブをご覧いただけます。

ぷれいす東京2023年度活動報告会

5名の方から感想文をいただいたので、お読みください。

参加者感想文

「HIV感染から10年経って」HIKA(30代/男性/ゲイ/HIV陽性(2014年1月発症))

ぷれいす東京が主催するプログラム・講演に参加するのは、初めて参加した「ネスト・プログラム(感染がわかって6ヶ月以内のPGM)」以来10年ぶりでした。薬を飲み続けて10年以上経っていることに気づき、自分が陽性者であることも時々忘れてしまうため、改めて病気と向き合うことに勇気がいりました。話を聞いている時に「手が震えたらどうしよう」、「逃げ出したくなったら退出してもいいのかな」などと考えていましたが、現地で参加できて本当に良かったと思っています。

特に、「ハッテン場調査(1996年)から読みとく~コミュニティ、研究者、行政の連携のあり方」のトークが良かったです。市川誠一さん、池上千寿子さん、砂川秀樹さんらが同性間のHIVをどのようにして食い止めようとしたのか、そして、そこにどういった闘いがあったのか、時折涙しそうになりながら話を聞いていました。

「もしかしたらこの人達の努力や奮闘のおかげで自分は生きられているのかもしれない」と思い、「自分も恩返しではないけれどこんなふうに行動できたらなあ」「でもこんな強くいれるだろうか」などと揺れ動く感情を抱えつつ、自分なりに生きながらえていることのありがたさを何か形で残せたらなと思っています。そして、治療開始して10年後にこんなふうに思えるまで強くなったのだなあとなんだか嬉しく思います。

改めてぷれいす東京のみなさま、報告者の方々、生島さんに感謝しています。ここまでご尽力いただき本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。これからは若い世代も力になれるよう、自分なりに考えてみたいと思います。貴重な機会・時間をありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

「地道な活動を持続することの大切さ」MASA(リマインダーズ、50代、男性)

今回「ぷれいす東京」の活動報告会に初めて参加させて頂きました。

私自身はジャーナリストとして90年代に東南アジアで暮らし、その時に初めてHIV/AIDSの問題に関わりました。当時のカンボアジアではHIV/AIDSが爆発的に広まり、政府とNGO、国連合同エイズ計画が力を合わせてHIV/AIDSと戦っていましたが、一番印象に残っているのが、現場で働いていた地元の人々でした。患者のケア、HIV/AIDSの予防策、エイズ教育、そして残された家族のケアなど、それらはとても地道な活動でした。

今回「ぷれいす東京」の報告会に参加して、皆様が地道な活動を続けていること、そしてその活動を多くの人々に共感を得ようと努力していることを、感じました。シリアスな話でも、時にはユーモアを交えて話し、若い人を含めて広いターゲットに発信していることは、とても重要だと思います。

HIV/AIDSに真摯に向き合い、人々のために全力を尽くす皆様の姿は、とても勇敢でした。
どうぞこの活動を日本で続けて下さい。
ありがとうございました。

「後続世代が歴史を引き継ぐために」N.K(20代/ゲイ)

ぷれいす東京の活動に直接関わったこともなく(支援者としても利用者としても)、また年齢的にトークイベントの主題となった「ハッテン場調査」についても当時の状況を全く知らない状態で、今回のご報告の会を拝聴しました。

調査に関するトークでは、基本的な社会背景の確認が行われながら、なぜハッテン場調査が求められ、どのようにして行われたかというオーラルヒストリーをお聞きすることができ、大変勉強になりました。当時を知らない世代からすると、こういった近過去の出来事を調べようとしても、まとまった資料が少ないために一次資料を紐解くことが求められ困難を感じるため、このような機会がとてもありがたいです。

現在はHIVを取り巻く医療や情報環境は大きく変化しているかと思いますが、トークで池上さんが最後に語られていたこと――社会的病としての課題は変わっておらず、また、社会が変わることで新しい課題も生まれる、そういった課題に抗するにはさまざまに連携することが必要――が胸に残りました。

30周年記念事業として、歴史のアーカイブを進められていくということでしたので、何か支援できればと思っています。

「ぷれいす東京!時代が求める唯一無二の活動」マダム ボンジュール・ジャンジ(ドラァグクイーン/Living Togetherのど自慢MC)

今年も報告会に参加できてよかったです。相談の報告の中で、『手紙による相談』が42件とありました。これは薬物依存症など何らかの理由で拘置所等におられる方とのやりとりも示しているのだと思いますが、昨年より増加しているような印象を持ちました。コロナ禍を経た社会状況の中で、私はメンタルヘルスが悪くなっている人が増えているなぁということを日々実感しています。

4月に開催されたLGBTQ+の人権啓発イベント『東京レインボープライド』では、2日間の集客が過去最高の26万人を記録し、LGBTQ+をとりまくニュースを目にすることは10年前に比べたら格段に増えてきています。が一方で、依存症の問題やセックスについて語れる場は、まだまだ少ないと感じます。社会的に罪を問われた人たちが回復するプログラムは本当に限られています。そのような状況の中で、HIVの問題を根幹に研究を重ねながら、依存症を抱える人たちをも含めたサポートやゆるやかな居場所を作り、回復プログラム等に携わっている人や経験者もメンバーの一員であるぷれいす東京さん。その包括的な活動はとても貴重で、ますます必要で、目が離せません。微力ながら応援しています!

「ポジティブでエンパワメントされる場としてのCBO、そして引き継ぎ拡げていくこと」岩橋恒太(特定非営利活動法人akta / 40代 / 第38回日本エイズ学会学術集会・総会 会長)

ぷれいす東京が活動を開始して30周年、おめでとうございます。今年もこの素晴らしい節目に参加できたことを心より嬉しく思います。

活動報告の時間では、実際に活動に従事されている方々の生の声を聞くことができ、若手のエネルギッシュな取り組みを見ることができて、とても感動しました。登壇する人々、そしてそれを応援している聴衆の皆さんの活気が満ち溢れ、この場がエンパワメントの場であることを強く感じました。いつも活動の参考にさせていただいております。

後半の市川誠一先生を招いたトークショーでは、ハッテン場調査から始まった、MSMを対象とするCBOと研究者との協働の歴史を振り返る貴重な時間を過ごしました。登壇者それぞれの視点と経験が織り成す歴史は、一つのストーリーに集約されるものではなく、多様で深いものでした。しかし、その一つ一つが今のエイズ対策・研究につながっていることを改めて感じ、襟を正して聞き入りました。

今年11月に私は日本エイズ学会学術集会の会長を務めさせていただきます。これは久々の社会系の主催であり、さらにぷれいす東京の池上さん、生島さんが務められて以来、CBOのメンバーが会長を務めるのは初めてです。この報告会を通じて、単にバトンを受け取る単線的なことではなく、先駆者の様々な思いを広げていくことの一環として、しっかりと取り組むことの大切さを強く感じました。

2023年度活動報告会概要

■日 時 2024年5月25日(土)14:20〜16:40

■開催方式 会場(ワイム貸会議室高田馬場3階 Room C)およびYouTubeライブによるハイブリッド開催

■プログラム

  • 部門報告
    ホットライン / Gay Friends for AIDS / Sexual Health Project/ バディ / ネスト / HIV陽性者への相談サービス / 研究・研修 / 30周年記念事業
  • 設立30周年記念トーク「ハッテン場調査(1996年)から読みとく〜コミュニティ、研究者、行政の連携のあり方」
    【出演】市川 誠一(金城学院大学)、池上 千寿子(ぷれいす東京理事)
    【コメンテーター】砂川 秀樹(文化人類学者)
    【司会】生島 嗣 (ぷれいす東京代表)

■会場参加者・スタッフ 57名

「30周年記念「2023年度活動報告会」のご案内」のページはこちら

アクティビティー へ