スタッフ日記

ソウルのプライドパレード参加&NGO訪問

5月30日〜韓国のソウルに3泊4日で行って来た。今回は6月1日のソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル/Seoul Queer Paradeに参加するためだった。プライドパレードには、7万人もの人が参加したという。会場の周辺にはいくつものキリスト教の保守グループが「同性愛は罪だ、キリストに帰れ」というメッセージを大音量す、プラカードを掲げるなかでの開催だ。もちろん、会場内にはパレードを支援するキリスト教徒たちも大勢いた。

今回もHIV予防啓発を行う団体、LGBTユースのための支援センターを運営する団体なども訪問した。そして、薬物使用とHIVを研究テーマに活動するグループともミーティングを行った。新たな出会いがありネットワークが広がる旅でもあった。

Seoul Queer Paradeの20周年記念イベントとして開催されたピンクドット・ソウルにも参加した。富山大学の林先生といっしょだったので、大まかな内容も理解できたので、大変に大きな刺激をうけた。
オープニングはLGBTの弦楽合奏によるオープング。圧倒的に女性が多くを占める。その他、アーティストによる演奏。ドラァグクイーンによるパフォーマンスなどが楽しいステージが続いた。そのあと、性的少数者への差別がなくなるために尽力してきた人たちを紹介しますと、司会者。「同性愛者への差別がなくなると国が壊れるという人たちがいますが、そんなことないですよね?」会場が賛同の声で沸き立つ。その後、「差別の撤廃に尽力してきた人たちを紹介します」とアナウンスがあり、性的少数者の人権活動家、フェニストグループ、視覚障害者、身体障害者、移民支援など様々などの代表者からのスピーチがった。彼らは「包括的差別禁止法」の制定にむけて動いてきた、これまでの闘いの歴史を振り返るときでもあったようで、レズビアン女性の司会者も思いが溢れて声をつまらせていた。
カウントダウンからのLEDライトの点灯、そしてエンディングは、少女時代「Into the new world」 と Lady Gaga「Born this way」。#SeoulPinkDot

そしてパレードには、12のフロートが出たのだが、その1つが東京レインボープライドだったので、一緒に歩かせてもらった。差別が激しい中、若者の意識は徐々に変わりつつあるのかもしれない。パレードの中で、幸せそうな二人を見るのは、60歳の自分も孫を見るような気分で素直に嬉しくなった。そして、親の会のメンバー達の存在も強力だった。親と言っても40代前後の若めな感じですが…。今回のコースはかつての王宮の城門であった「光化門」の前を通るコースである。主催者の思いが伝わってくる。

 

チョンノにあるiSHAPを見学した。iSHAPの見学をした。HIV検査は平日は唾液検査キット、週末は血液による迅速検査を提供していて、年間に5,000件の検査を提供しているという。トランスジェンダーのスタッフもいて、トランスジェンダー向けの検査会も始まっていた。
また、上限200人だそうだが、PrEPのトライアルがはじまっていた。

イラストレーターのナファン(Nahwan Jeon)さんに紹介してもらって、DDingDong(@띵동)を訪問した。このNGOは、LGBTの若者向けに相談や支援を行う団体で、オフィス、ドロップイン、相談室、シャワースペースなどを見学させてもらった。ちなみに利用者の安全のため、この場所は非公開だそうだ。
写真をみると、ものすごい立派な事務所なのだが、政府や企業の支援がなかなか得られないなか、篤志家による寄贈でこのオフィスが開設されたのだそうだ。レズビアン女性、ゲイ男性、トランス女性のスタッフもいるし、HIVの担当者もいてもちろん対応し、弁護士のスタッフもいる。10代の若者をメインにしているので、親の権利は絶大なので、シェルター機能もあるけど、今の所は既存のリソースに繋げる機能がメインだそうだ。
ナファンさんは、DDingDongを支援する展覧会「Sun Sun Sun, Here It Comes」を開催したりしている。

DDingDong
https://www.facebook.com/ddingdong119/
(ENG)
https://www.ddingdong.kr/xe/notice/2013?ckattempt=2

Anual report
https://drive.google.com/file/d
/0B3W5P2hDKzK6YUtWS2g0ZmV0TzA/view

イラストレーターのナファンさん
展覧会「Sun Sun Sun, Here It Comes」
https://katami.stores.jp/items/5cd6c8404da8525bd2a8d47a

 

POPという研究グループのメンバー、協力者と薬物使用、HIVなどについて情報交換をした。通訳は林先生にお世話になった。新たな発見、相互ネットワークが広がりそうで楽しみだ。

今回の旅で一番びっくりしたのは、HIV陽性の人たちが性行為をすることで、処罰される法律が残っていることだ。古い法律らしく、実際に運用はされていないようだが、ただ、陽性者が治療で感染の可能性がないにも関わらず、聞いた側がパニック状態の際に、この法律を根拠にトラブルになる事例もあるという。パレード会場で若いHIV陽性者たちのグループがこの法律の撤廃を求めるキャンペーンを行っていた。これも応援したい。

韓国の若手のHIV陽性者グループによる、ソウル・プライドパレード内でのキャンペーン。陽性者が性行為をすると罰せられる法律(1987年)があるそうだ。こうした法律があることで、カミングアウトした際にHIV陽性者がバッシングされたり、必要以上に弱い立場に立たざるを得ないそうだ。「#19条撤廃」「#19조폐지

パレードのアフターイベントでは、同性婚を実現しているニュージーランドから、在韓国大使のターナーさんと夫の池田宏さんがカップルで韓国コミュニティにエールを送り、大きな声援を得ていた。彼らの前任地は東京であった。

3泊4日と短い滞在ではあったが、素直にヘイトな人たちの声の前に、立ち続け声をあげている彼らの姿に感動を覚えた。なんとなく、長いものに巻かれて生きているところがあったが、初心を思い出した気分だ。

生島

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