スタッフ日記

Greetings from Busan, Part 1

釜山は東京より気温が少し低く、薄曇りの空模様が続いています。

Bexcoという訳で、26日(金)に開会した第10回アジア・太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)に、前回に引き続き参加させていただいています。

オープニング・セレモニーの舞台では、主催者側からは要人のあいさつや芸能人のショー・タイム、コミュニティからは韓国で初めてのHIV陽性者の公の場でカミングアウト、韓国政府のHIV/AIDS対策に対するプロテストetc.etc.と、すでに会議のテーマ「Diverse Voices, United Action」の通り多様な声と結束した(?)行動の一端を垣間見た感がありました。

StopFTA本日27日(土)に参加したプログラムの中で特に印象的だったのが、刑務所におけるHIV/AIDSをテーマにしたセッションです。セックス・ワークや薬物使用など、多くの国や地域で違法と見なされている行為とそれに関連したHIV感染や、閉ざされた環境下で弱い立場におかれた収監者・服役者たちのHIV感染への脆弱性など、刑務所におけるHIV/AIDS対策はとても重要なトピックです。このセッションでは、収監中のHIV陽性者が2,000人を超えるという台湾でソーシャルワーカーらが行っているグループ支援の取り組み例や、服役者の間でピア・リーダーを育ててHIV/AIDSの啓発を行っているネパールの例、インドネシアからは刑務所内でのHIV/AIDS予防啓発や支援のニーズに対する一般社会の理解を得るべく行われたメディア・キャンペーンの例など、とてもインスピレーショナルな発表の連続でした……が、そこで突然、数人の活動家たちがセッションの会場に飛び込んできました。この日、会議場内で自由貿易協定(FTA)などに抗議するデモに参加していた韓国人活動家が地元警察に拘束されたので、セッションを止めて、抗議をする連帯の輪に加わってほしいとのこと。聞くところによると、活動家は後に釈放されたものの状況は予断を許さず、実際に会議場でもこの時に開催中あるいは開催予定だったセッションの一部が中止になったようです。

※抗HIV薬のジェネリック医薬品を開発・販売しているインドがEUとFTAを締結しようとしているほか、韓国とアメリカの間でもFTA締結の動きが進められています。インドとEUのFTAは第三者による医薬品の臨床データの利用の禁止など特許権を強化するもので、安価なジェネリック医薬品の製造や流通を阻み、主に開発途上国のHIV陽性者に抗HIV薬が行き渡らなくなることが危惧されています。

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なお、今日はぷれいす東京がはばたき福祉事業団日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラスと協働で運営しているHIV陽性者参加支援スカラシップ委員会のこれまでの取り組みを紹介する2題のうち1題目のポスター発表「The Needs of PLHIV and Function of NGO-initiated Scholarship for the National HIV/AIDS Conference in Japan(HIV陽性者のための学術集会参加支援プログラムの取り組みと、そのニーズと効果についての考察)」を行いました。実はポスター展示会場は立地が悪く、参加者も少なくやや寂しい雰囲気でしたが、逆に、足を止めてくれた人とはひとりひとりとじっくりお話しをすることができました。とある国で国内学会に設けられているスカラシップに応募したことがあるというHIV陽性者の人からは、このHIV陽性者参加支援スカラシップは学会そのものからは独立して陽性者の立場に近いNGOが運営しているというのが非常にユニークな取り組みだ、との感想も。

そんなHIV陽性者参加支援スカラシップは、今年も11月の日本エイズ学会学術集会へ向けて参加者を募集中です。くわしくは、こちらの特設サイトをご覧ください。

以上、釜山からおーつきがお伝えしました。


MeetingPlace★おまけ★

釜山のターミナル駅にある待ち合わせ場所の日本語表記がすてき。

おーつき

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