スタッフ日記

バンコク記(4)

RainbowSkyAssociationバンコクからサワッディーカ。
LGBT向けのドロップイン・センターや、MSMとトランスジェンダー向けの診療所などを運営する現地の団体、Rainbow Sky Association of Thailandを訪問してきました。世界基金とタイ政府から提供されたリソースにより、タイ全土で40名を超えるフルタイム・スタッフが計9ヵ所の施設の運営に携わっているそうです。

バンコクでは、推計で男性人口の3パーセントほどであるMSM・トランスジェンダー(MTF)が、新規HIV感染全体の4割を占めるとのこと。

バンコクのLGBT向けドロップイン・センターは、ゲイなどに人気のショッピング・エリアの地下鉄の駅の出口の隣にありました。ピア・エデュケーションによる性の健康のプロモーションに力点を置き、イベントを開催したり、ハッテン場やバー、マッサージ・スパなどの他、大学や公園でアウトリーチを実施したり。

Condom政府の提供でバーなど、MSMの集まるスポットほぼ全てに置いてあるというコンドーム・ディスペンサーは、コンドームをサイズ別に陳列

 

 

 

HCT一方、MSM・トランスジェンダー向け診療所の方は、“コミュニティ・クリニック”という位置づけで、ゲイが多く住む郊外の住宅地にビルを構えていました。日中は働いている人が多いので夜中まで開いていて、匿名で診察券やカルテが作れる上、年2回までは無料でHIVと梅毒の検査が受けられます(確認検査まで診療所内で実施)。検査から治療までワンストップで行えますが、ここでもピア・サポートを重要視していて、HIV陽性告知を受けた人へのポスト・カウンセリングは、トレーニングを受けた陽性者が担当するのだそうです。

なお、タイでは多くの企業が従業員の採用時にHIV検査を実施し、陽性だったら不採用とする慣習があるとか。これらHIVの差別的処遇に対し、タイ王女の働きかけで、検査をやめた企業に助成金を出すなどの取り組みが行われているそうです。

DesireAttitude待合室にはゲイ雑誌

 

 

 

 

 

 

11月20日は、Transgender Day of Remembrance(ヘイト・クライムの犠牲となったトランスジェンダーを偲んでつくられた国際的な記念日)でした。

タイは“ニューハーフ”文化や、性別適合手術のツアーなどのイメージも強いところですが、ライセンスを持っていて合法的に性別適合手術を実施できる医療機関はわずかで(政府も、どの医療機関にライセンスを与えているかは公表していないとか)、費用も高額。Rainbow Sky Associationには、合法ではない手術で医療事故などの被害にあったトランスジェンダーからの相談も多く寄せられているのだそうです。

また、形成された膣を診ようとしない感染症科の医師など、トランスジェンダーに対する医療の現場でのスティグマも指摘されています。

Hormonesトランスジェンダーに対しては、ホルモン療法など、性別移行に関する詳しい医療情報も提供

おーつき

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