陽性者と家族の日記

深海の街

先日、深海の街へひとりで行ってきた。
そこには大勢の人達が行き交って集まっているのに
誰ひとり声を出さず、ただただ歩いているだけだった。
海深く潜ってきたから声を出せば体から空気が抜けて
死んでしまうからだろうか。
潜水服宜しくフェイスシールドを着けて波なんて
起きない深海なのに大勢の人達と僕は揺れていた。
ちょっと離れて、ずっとそばにいるのにそばにいない感覚。
言葉も交わさないのにテレパシーで近づいている感覚。

昨年末に行くと決めていた、深海の街。
もしかしたら行けないかもしれないと何度不安になっただろう。
でも、先日行ってきました。100年待った位の気持ちでした。
また、行けるだろうか、あの街に。

きっと、100年後、2021年を思い出す時に、あの街の風景を想うのだろうな。

IHO 拝

IHO

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