ピア+トーク

「生きるって人間臭い!」さーもんラン(初参加/30代)

私が今回このピアトークに参加して期待していたこと、それは自分よりヘビーな経験をされた方がスピーカーとしてトンデモナイ何かを話してくれて、私はその何かを聞いて自分はこの人より全然マシということを再確認することでした。hivの感染告知を受けて4ヶ月、即投薬だった私はこのピアトークで「生きる希望」を他人との比較で見出そうとしていました。
ピアトークで話をしていただいた2名の彼らは、とにかく社会のお世話に何度もなります。
それぞれの生い立ちや癒えない心の傷、トラウマはあるにせよ、覚醒剤やセックスに溺れ、警察のお世話になり、反省をしたかと思えばまた罪を犯し、また振り出しに戻されます。
一人目の方は、詐欺•恐喝•覚せい剤などで三回も逮捕されて、最近3年の刑期を全うしようやく出所したかと思えば、今は付き合っているパートナーがいて、色々あったけど今はこんな状況でも何とか生きていますよという方でした。
しかも彼は今、自分と同じ境遇の人達を救うべく、出所した後の社会復帰をする人達のサポートを行うnpo法人を設立するために奮闘しているということでした。これには私もちょっとびっくりしました。
二人目の方は幼少期に田舎のぼっとん便所に落ちてしまい叫んでも誰も助けに来ず、誰からも愛されない、誰も自分を愛してくれない、そんな自分を思春期に見失ってしまうところから話が始まります。
そして、家族の話、幼少期に味わった性的暴行、思春期から成年までに自分の身体を売って経験した性、覚せい剤に溺れ売人になり、逮捕されて出所して現在は精神科に通っていることなど、赤裸々に自分をさらけ出して話をしていただけました。途中感情が移入して泣き出しそうになりながらも、何とかこらえて(いたように思います)笑っていたのが私にはとても印象的でした。
お二人のこれまでの生きてきた体験はどれもこれも壮絶なものばかりで、まさに絶望としか言いようがありませんでした。
しかし依存についての質問が多々あった中で彼らの話を聞いていて感じたことは、決して褒められたような生き方ではないけど、一歩一歩何とか頑張って、ぶつかって、もがいて、苦しんで、いっぱい泣いて、一生懸命やっているんだけど、不器用な俺はこれでも笑って生きられるんだよ…というか生きるという「人間臭さ」でした。
それは同じ釜の飯を食ったり、他人の嫌な部分を見聞きしたり、時には口論となって最後は共感し合ったり…実は他人や社会との関わりの中で人間として最も根本的で重要なことであり、今の自分に一番欠けているものでした。
私はエイズの告知を受けた時、悲劇のヒロインひとり絶望の淵に立たされ、どこに何を頼ればいいのか分からず自暴自棄になり、一人で考えて自分で勝手に答えを出して、あーもうだめだ終わったと自分で決めつけていました。人に頼るということをしてこなかった自分は、他者とのコミュニケーションを極端に避け、プライドを気にしていつもひとりで行動していました。
でも彼らは違う。もう失うものは失った。隠すものなんて何もないさ。丸裸にされてすべてをさらけ出して「自分はこうなんだ!」と懸命に真摯に話をされていました。だからこそ彼らの生き方は不器用でも、他者との関わり方はちゃんといつも真正面からぶつかって生きてきたんだなぁと感じました。
生きるためには社会となんらかの形で繋がっていなければならず、どうしても他者に依存しなければ、他人と関わっていかなければ生きてない、そのためには自分をもっといっぱい出してぶつかって、共感して、泣いてくじけることもあるけど、でもいつか本当に大切な仲間と出会える、そうやって社会と関わることが大事なんだよっていうことをお二人は教えてくれたような気がします。
人との関わり合いってとても暑苦しくて面倒だなぁって感じることが往々にしてあります。だから話さない方がマシって思うこともある。でも今までの希薄な人間関係より、もっとたくさんの人といっぱい会話をして、病気以上にもっと自分をさらけ出して、一つ一つの出会いを大事にしていければいいなと今回のピアトークを通じてとても感じました。

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