運営委員のつぶやき

矢島 嵩

web NESTの最後にあたって、
何を書いたらいいのかわからないまま、〆切が来てしまった!
ともかくキーボードまかせにつらつらと打ち綴ってみます。

どこかで本当に必要としている人に、
どれくらい役に立ったのか/立たなかったのか?
なかなか実感が得にくくて、
「これでいいはず」と言い聞かせる気持ちだけで勝負していたような、
“やじろべえ”のように不安定で安定?した日々だったように思います。

個人的にはきわめてアナログな生活をしているにも関わらず、
必要に迫られて苦手意識満載でインターネット上での活動をしていたことも影響していたかと思います。
双方向性を持ちにくい旧態依然とした仕組みを永らえてきたことも反省すべきだったと思っています。

それでも15年間続けてきたのには、
僕なりの意義がありました。

それは、少しおおげさに言うとこんな感じです。

不当に貼られた負のイメージを、
自身にさえ向けてしまう惨さが生む不幸がどこかにあるとしたら、
それをほんの少しでも軽減できる自分になりたかった。

病(やまい)を持ちながら生きることの不自由さだけでなく、
人間関係や情報の断絶がもたらす孤立は、
まさに人間がもたらすもの。
だからこそ、人間が何とかできることなのではないかと。

インターネット上で、地道に当事者の声をつむぎつないできたことが、
もしも、誰かが孤立から抜け出すきっかけになったり、
ちょっとしたよりどころになっていたとしたら、
やっていて良かったと思えます。

この15年間を俯瞰してみると、
抗HIV薬と情報システムが劇的に変わり、
あえて言葉を選ばずに言えば、
ヘビーなエイズが、イージーな慢性感染症に変わりました。

それでも僕の中にある厳しいイメージは払しょくされていなくて、
もしかしたらそんな僕みたいな人が、
いくつもの中継基地を経たインターネットの先の先にいるような気配がいまでもします。

でも、時代は移ろい、
僕のこの感覚はいまの時代の主流ではなくなっているかもしれません。
おそらく人もシステムももっと軽やかなものにバージョンアップされるべき時期が来ている、
僕もそう思っています。

至らないことばかりでしたが、
長きにわたり皆さん本当にありがとうございました。

矢島 嵩

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